あっさりとした結論
「白離姉妹」
以外にも事態の収拾を行ったのは悪夜だった。
「この暗殺には、唯人は巻き込むなって魔王たちから言われている」
うん?複数形で言った事に少し引っかかるところがあるが、放置する。
「「「え~」」」
白離さん達は不満そうに唇を尖らせるが、悪夜も引かなかった。
「絶対にだめだ。今の魔王たちは人間を大事にしているから、何かあったら俺が殺される」
天月もそれを聞いて青ざめた。
「うちの上司はその魔王たちの一人がとても大好きだから、私まで危ない事になるかもしれません……」
そしてぶるぶると首を横に振った。
「いえいえ、巻き込まなければいいんですよ!」
どうやら天使と悪魔は方針を決めたようだ。
「「無関係のものは即刻立ち去るべし!!!」
そう言ったとたんに姉妹の姿がぶれて、いなくなった。
「これで心おきなく話せる」
「そうですね」
いい仕事をしたと言わんばかりの顔で頷いている。
「こいつはいいの?」
まだこの空間には彩樹がいる。それを指差して尋ねる。
返ってきたのは辛らつな言葉だった。
「私はあの神と知り合いな時点で唯人とは認めません。それは唯の化け物です」
「いいんじゃねぇの?普通の人より悪魔寄りだぜ?そいつ」
………
「お前、天使と悪魔に化け物認識されてるよ」
「なんでだろうね」
彩樹は気にしていなさそうだ。むしろ……
「でも、君とおんなじ顔の人に言われていると思うとぞくぞくするよ」
顔を赤めて喜んでいる。
「本題に入らないの?」
母さんのもっともな突っ込みに我に返って話を続ける。
「結局どうするの?」
「仕方がないから、こちらに降りてきている魔王にアドバイスを求めてみる」
おお!悪夜が魔王と会話するらしい!
ドキドキしながらその一挙一動を見守る。
悪夜は…
どこからか携帯電話を出す。
↓
アドレス帳を出してボタンを押す。
↓
「あ、もしもし。悪夜です。魔王様、今一寸お時間よろしいでしょうか?」
『別にいいよ』
携帯かよ!?
魔法じゃなくて文明の利器を使用しちゃうの!?
しかし、僕の心の中の突っ込みを無視して話を進めて行く悪夜。
「今、少し困った状況にあっていてですね…」
『どうした?』
「暗殺対象をいまだに暗殺できていないんですよ」
『それは早めにしてくれないと困るぞ』
「しかし、相手が身代わりを使ってきたのです」
悪夜の電話風景ってなんか面白い。電話相手なのにへこへこしている。
しかも、魔王相手で緊張しているのか、顔にわき出ている汗の量がすごい。
『なら、魂探査を使えばいいだろう…』
「あっ!!」
『用がそれだけなら、もう切っていい?琴音を待たせているんだ』
「それはすみませんでした!アドバイス、ありがとうございました!」
ぷつっ
つーつーつー
「魂探査が使えるの、忘れていた☆」
お茶目なふうにてへっと舌を出す悪夜を殴りたくてたまらない。
「これで、身代わりの方は解決しましたね」
天月は微笑むが、一度失敗してしまったから、簡単にはいかないと思う。
「じゃあ僕が、増えたであろう警備の相手をしようか?」
「…僕の心を読むな。だが、その申し出はありがたい。頼む」
「決まりね!行ってらっしゃい」
母さんに家を追い出された。
ひどい。
でも、今日でこんな非日常的な事は終わらせてやる!
「暗殺に行こうか」
もうすぐ完結です。
急展開;