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神々の残響  作者: 蒼凪 悠
アルスティア国

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第二十二話 登録しとく?

もけもけ鳥について説明をしておこう。

この鳥は山の山頂から中腹(ちゅうふく)住処(すみか)とする中型の獣である。

恰幅(かっぷく)のよい成人男性程度の大きさの胴体に、太い脚が二脚。

長い首の先には巨大な顔と(するど)く黄色い(くちばし)、巨大な羽が付いている。

しかし、空を飛ぶことはできない代わりに、「キエエェェェ」と鳴きながら高速で走る事ができる。

頭から尻尾にかけて黒から紫のマダラ模様で、なんとも気色悪(きしょくわる)い生き物である。

狩は意外と簡単で、まっすぐ走る事しかできないので待ち伏せして横から一突きで仕留められる。

厄介なのは、暗闇で大群で現れた時だ。なので基本狩は日中に行われる。

この鳥の肉は身が引き締まってコリコリとした食感と脂身部分はぬちょっとしている。

何が美味しいか、イマイチわからない鳥である。



◇◇◇◇◇◇



「ただいまーっ!」

「お帰りなさい、ポピン。」

「春!悠真は?」

「悠真様なら部屋で遊んでるんじゃないかな」


ポピンは居場所を聞くや否や、悠真の部屋に走っていった。

勢いよくドアを開けて開口一番!


「悠真!皇国との取引について正式に話し合いが始まるにょ!」


悠真はコンを撫でながら、長椅子に寝転がっていた。

その上に飛び乗ったポピンは悠真を揺すりながら続ける。


「早ければ次の便で大使が行って話してくれるって!」

「こら!わかったから年頃の女の子が男に簡単に飛びつくな」

「にょ? 悠真照れてるにょ?」

「そんな事はないが早く降りろ、早くしないと・・・」


時すでに遅し。

ドアの隙間からは真っ黒な殺気の中で、こっちを見つめる真っ赤な目が見えていた・・・。


「はいポピんちゃん、おじさんから降りましょうねぇ〜」


春はポピンの脇を(つか)んで引っ張り簡単に持ち上げた。

対して変わらない体格なのに、そんなに簡単には持ち上がらないだろうに・・・。


「にょっ!!春は今ポピンを子供扱いしたにょ!同い年のくせに!」

「はいはーい!良い子だから大人しくしましょうねぇ。はい(あめ)ちゃんあげるからねぇ」

何味(なにあじ)にょ!?」

「それよりポピン、地下室工事の人がポピンが帰ったら下に来るようにって伝言だよ」

「わかった!行ってくるにょ!」


ポピンはドアも閉めずに飛び出して行った。

元気なやつだ・・・・。


「年頃の女の子に乗っかられて、さぞかしご機嫌でしょうねぇ・・・・おじさん」

「いや、そんなことはありませんよ春さんや・・・」

「ふーん。」

「イタタタ!」


春は思いっきり悠真の頬をつねって言った。


「はい、悠真もいつまでも家で遊んでないで、なんかしなさい!」

「はい・・・・お母様。」

「あぁっ!?」

「嘘です、春ちゃん・・・」



家を追い出された悠真は街をぶらぶらと歩きながら、沢山ある店を見ることにした。

武器屋・防具屋・薬屋・宝石屋・服屋・食料品屋・肉屋・魚屋・・・切りがない。

街の中心部まで来たところで一際(ひときわ)大きな建物があった。


「レゾナス・シーカーズ?何屋さんだ?」


悠真は躊躇(ためら)う事なくそのドアを開けた。

中は広い空間で、奥の受付場所のような仕切られた場所。左右の壁には沢山の貼り紙、吹き抜けの中二階には休憩所なのか、机と椅子が沢山設置されていた。


「なんだここ、役所かなんかかな?」

「おはようございます。今日はどの様なご用件でしょうか?」


キョロキョロしていた悠真を(あや)しんだのか、一人の女性が声をかけてきた。 


「あぁ、おはようごさいます。用ってのはないんだ、初めて見る建物だったから何なのか、わからず入ってしまって」

「あぁ、そうでしたか。ここは【レゾナス・シーカーズ】と言って、遺跡や危険場所の調査から街の住人のお手伝いまで、依頼をうけてそれを【シーカー】と呼ぶ登録者に斡旋(あっせん)する場所ですよ。最近では穢人(けがれびと)の調査・討伐(とうばつ)も国からの依頼であったりします。」

「へぇ!何でも屋さんか?」

「まぁ、そんな所ですかね。ハハッ」


なぜか苦笑いをされてしまった・・・

まぁ、周りを見る限り屈強(くっきょう)な戦士達!と呼ぶに相応しい奴や、ガチガチの鎧に身を包んだ者、軽装だが、武器をあちこちに仕込んでそうな女性まで沢山の人がいる。 みなシーカーと言う登録者なのだろう。 パッと見、田舎者丸出しの悠真を見て、まさか共和国にはない神響術(しんきょうじゅつ)の使い手とは思わないかもしれない。


「そ、そうか。ありがとう,教えてくれて。 ちなみにだが、誰でもシーカーってのにになれるのかい?」

「十五歳以上で,ある程度戦う事や特殊能力(とくしゅのうりょく)を持っているも人なら大丈夫です。 受けれる内容もランクごとに違いますので、力量にあったお仕事を選べます。」

「仕事?では報酬がでる?」

勿論(もちろん)です!壁に貼ってある紙には依頼内容と報酬額が載っているんです。」 

「なるほど、よくわかりました。ありがとう」

「はい、依頼お待ちしてますね!」


(うむ、依頼者側として見られるのか・・・そんなに弱そうかな俺。)


頭をぽりぽりかきながら、昼食の時間だと家に向かった。

ドアを開けると、いい匂いが炊事場から漂う。


「ただいま春。」

「あ、おかえりなさい。もう出来るから座って待ってて」


食卓の上には四人分の食器が並べてある。

もう当たり前のように人の家で飯を食べるポピンとメティラの分だ。


「またあいつら来るのか?」

「二人っきりで食べたいのもわかるけど、まぁ良いんじゃないっ」

「いゃ、そんな事は言ってない・・・」 


あの夜以降、春は二人だけの時には悠真が言ったように幼馴染として接するようになった。堅苦(かたぐる)しい言葉づかいもしない。悠真はそんな春の方が性に合っていた。なぜか怖さも倍増したようだが。

そうこうしているうちに、二人もやってきて美味しそうな魚の照焼きが、皿の上に乗せられた。


「今日も美味しそうな料理だな!春」

「そんな、メティラはお城で毎日目が飛び出る様な美味しい物食べてるでしょ。」

「いや、春の料理を食べるとなぜか落ち着くんだ。」

「あら、嬉しい事言ってる」

「私もだにょ・・・」

「二人ともありがとう」


なんか春がお母さん化してきている。

まぁ、それよりポピンの様子がおかしい。


「なにか問題でもあったか、ポピン」

「そう。問題なんだにょ・・・」

「なにがあった?」

「・・・予算が足りないにょん・・・」 

「・・・・」

「なっ、なぜだポピン!予算はかなりの額が国からでているはずだ!」

「メティわかってるにょ!国王様も、セイラ様まで私に力を貸してくれてるにょ。でも・・・」

「でも?」

「国中のありとあらゆる宝玉を取り寄せまくってたら、軽く予算をこえたにょん!」

「・・・国中の宝玉ってどれくらい」

「ん?とりあえず蒼玉(そうぎょく)を三十個と海青石(かいせいせき)を三十個、虎目石(とらめいし)を三十個、その他五十個にょ」

「・・・・馬鹿か!それは足らなくなるに決まってるじゃないか!」


珍しくメティラが怒こっている。

ポピンはショボンと小さくなっていた。


「とりあえず断りなさい!」

「わかったにょ・・・・」


メティラがポピンに小言を行っている間、悠真は考える。


「自分達で取りにいけたりしないのか?」

「それは無理にょ。国の管理下だから。あとは廃坑(はいこう)をダメもとで探ってみるのもいいけど、廃坑は危険だからって【レゾナス・シーカーズ】に登録してる人しか立ち入る事ができないにょん・・・」

「それって街の中央にあるやつだよな?」

「にょ、知ってるの?」

「朝、何だろと思って入ったら説明してくれたんだ。」

「でも、シーカーに頼んでも、報酬も用意しなきゃだし、結局何も見つからなかったら大損にょ」

「・・・・・」

「シーカーって誰でもなれるんだろ?俺たちがなって、ポピンの依頼を受けたら良いんじゃないか?」


『おおおおっー』



◇◇◇◇◇◇



「んで、簡単になれるのか?その【シーカー】ってのには?」

「なんか、ある程度の戦闘ができたり特殊能力(とくしゅのうりょく)?があればなれるらしい。」

「なんだ?特殊能力って?」

「さぁ?」

「特殊能力というのは【レゾナスアーツ】の事だ。共和国の人間は騎士学校で学び、鍛錬を繰り返しレゾナスアーツを習得する。」

「じゃぁ、シーカーになってるのは騎士学校ってのを卒業した限られた人間ってことか?」

「全てではない。習得したが騎士にならなかったもの、騎士を引退したもの。中には自己流で攻撃術を学んだもの。」

「なるほど、皆手練(てだ)れって事か。」

「でも、悠真や功には誰も叶わないさ。私より強いのだから。」

「ハハハ、そう見てくれるかねぇ・・・」


悠真は、朝(のぞ)いた時は依頼者にしか見られなかった事は言わずにおいた。

家から十分ほどで【レゾナス・シーカーズ】に着いた。メティラが(各国の街に支部がありここが本部だ)と教えてくれた。

三人で中に入ると朝より人が多く、強面(こわもて)のシーカー数人がこちらを(にら)みつけている。


「悠真、なんだか物騒なとこだな・・・・。」

「ま、大人しくしとけばいいさ」

「命をかけて依頼を受ける者もいる。当然だな。」

「メティは大したもんだよ、堂々として。」

「当たり前だ!私はレゾナス騎士団副隊長だぞ!」

「あ、そうでした・・・。」


奥のカウンターへ向かうと、一人の女性が三人に気づき急いで駆け寄ってきた。

女性たちは皆同じ制服を着て胸に名札をつけている。この三十代ぐらいの女性は【ヨラ】と書かれている。

シーカー達は国家騎士団の鎧に身を包んだメティラが気になるようだ。


「これはメティラ副団長様、ようこそいらっしゃいました。本部長に御用でよろしいですか?」

「やぁヨラ、今日は違うんだ。実はこの二人をシーカー登録してほしいんだ。」

「はぁ、こちらの方々ですか・・・。」


ヨラは案の定、俺たちがそこらでフラフラしている若者と思っているらしい。

そんなに弱そうかな・・・・服のせいか?悠真は考えているが、功は何もお(かま)いなしにキョロキョロ見回していた。


「あぁ、ランクは最上級のマスターでも良いぐらいだ。」

「ええっ?」


メティラの発言に、ヨラを含め周りにシーカー達がどよめく。

そして案の定、強面のシーカー数人が近寄ってくる。


(おいおい、よくある新人イビリってやつか?面倒臭いな。)


少し身構える悠真と、功。

功が革鞄に手を伸ばしたが、悠真はそれを(さえぎ)った。


「メティラ様!本日も大変お美しく!お会いできて光栄です!」

「・・・・・」

「あ、ありがとう。日頃から騎士団の依頼をこなしてくれて、シーカーの皆さんには感謝する。」

「何をおっしゃいますやら!」


強面(こわもて)達はメティラの前まで来て直立不動になり、頬を赤く染めて挨拶した・・・。

周りのシーカー達もメティラに向かって拍手している。

(さすが副団長、まぁその美貌で副団長だもんな・・・・。人気ない事ないよな。)

しかし、ホッとしたのも束の間だった。


「しかしメティラ様、そいつらはなんです?さっきからメティラ様にも()()れしい!」

「彼らは瑞穂皇国(みずほこうこく)から来てくれた私の親友だ。」

「なるほど、別大陸の人間ですか・・・・。」


少し殺気を感じる。

悠真は穏便(おんびん)に済むよう、笑顔を絶やさずにいた。


「でしたら、どれほどのものか手合わせ願いたいですな・・。」

「やめておけ、到底叶わぬ。」


皆がメティラの発言に耳を疑った。

無理もない。ここにいるのは重装備の戦士が大半なのに対し、二人はヒラヒラと袖がある羽織と下は袴の皇国の服装だ。

受付係でさえ依頼主としか判断できないほど悠真達の見た目は・・・・弱そうなのだ。要は商人のように見えているのだ。

その時、シーカーたちの隙間から、数人の男が攻撃を仕掛けてきた!


「はあっ、すまない悠真、功。」


メティラはため息をついて場を開けた。これは身で分からせてくれと言うことだ。


「功、()なすだけだぞ」

「はいよ」


その数秒後に仕掛けた三人は宙に舞っていた。

何が起こったかもわかっていないようだ。

まだかかって来ようとするシーカー達。


「運よく投げれただけだ!もっとかかれっ!」

「あぁ、メティラ様に気を使って手を抜いただけだ!」


武器を手にした物まで現れ、悠真と功は囲まれた。

メティラが片手で頭を抱え、悠真と功の肩に手を置いた。


「すまないが悠真、功。残響を解放してやってくれないか?こいつらはそれが一番効くのだ。」

「ハハハ、わかった」


悠真と功は目を(つぶ)り集中する。

両手の人差し指と親指を合わせ胸の前で【菱形(ひしがた)】の手印を組んだ。


『残響解放』


周りの薄いレゾナス(残響)が弾け飛ぶほどの残響を(まと)う。

髪が逆立ち、埃や空気までもが舞い上がる。

それは蒼白(あおじろ)い光に包まれた神が降臨したかのように・・・

その場にいた全員が後退りし、その光景を脳裏に焼き付けられた。

ほんの数十秒だけの神懸(かみが)かった時間で十分だった。メティラは皆を見渡して言い放った。


「見てわかったか?この二人には私すら勝てん!今のでさえもまだ半分ほどのレゾナスだ。我々でいうならセイント級、もしかしたらエクシードに到達されているかもしれん!自分の命が欲しければ、決して余計な事はするな。」

「おいおい、なんか分からんがみんな引いてるじゃないかよ・・・・」



□□□□□ラティの日記□□□□□

◯月×日

今日はレゾナス・シーカーへ行った。

そこで馬鹿野郎どもに悠真達のレゾナスを見せつけてやった。

今日も綺麗なレゾナスだった・・・・。

あの濃厚な蒼白い光・・・。

カッコイィ・・・。

はっ! 春に聞かれたらやばい事になる!

でもこれで問題なく登録できるだろう!

さすが悠真!ついでに功も!

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