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序章
大自然に囲まれた街に一人の少年がいた。
彼は毎日のように屋敷の図書室へ通い、一冊の古文書を読んでいた。
もう数百年も読まれた事がないような、埃まみれで簡素な古文書だ。
本の名は【神々との約束】―――
千年の昔か、それ以前か。
神々は人と共に在った。
いつの時代であっても。
どんな世界だとしても。
物語でさえも。
人の愚かさは変わらない。
争いを続けること。
この大陸もそうだった。
終わることのない争いを繰り返す人々を憂い。
少しでも命の灯火を守るため。
神々はこの大陸を分断した。
それは人との共存の終焉。
神々は世界に別れを告げた。
そして沈黙した。
世界に残されたのは、
わずかな残響のみ。
数百年も経たぬうち。
別れた人々は互いを忘れた。―――
少年は何度も冒頭を読んだ。
なぜこの文章に惹かれるのか自分でも分からない。
何気なく手に取り開いた古びた一冊。
少年は知る由もない。
本を見つけたのではなく、本が彼を呼んだことを。
そして、この出会いが彼の未来を照らす道標となることを。―――




