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黄昏急行 ~昼が来れば焼け死ぬ星で僕は仲間と旅をする~  作者: わけあり団子


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プロローグ

はじめまして、本作を開いて頂きありがとうございます。

本作品はカクヨムでも投稿しています。小説の内容は一切差はありません。

https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896

意識が浮上してくる感覚は、深い水底から光の方へとゆっくり引き上げられるようだった。


最初に感じたのは重さ。体は鉛のように重く、指一本動かすことさえ困難に思えた。


次に感じたのは振動。規則的なリズムで体が揺れている。どこかで聞いたことのある音――。レールを走る列車の音だ。


まぶたを開けようとする。一度、二度。三度目でようやく薄く開いた視界に錆びた天井が映った。補修をしたのか金属板が継ぎ接ぎされている。


目を左に動かすと窓には一面の荒野。緩やかにカーブを描いて走る列車の後部には僅かに太陽が顔を出し、車内をオレンジ色に染めていた。


「あ……目が覚めたんですね。よかった」


声が聞こえた。柔らかく、優しい声。人間の声に似ているが、どこか機械的な響きが混じっている。


視線を右に動かすと、自分の傍らに一体の人形が座っていた。いや、人形というには語弊があるかもしれない。


人間の女性を模した、しかし明らかに人間ではない存在。左耳から鼻、左の頬にかけて多くの歯車が動いているのが見えている。首や関節部分には金属の継ぎ目が見え、瞳には淡い青色の光が宿っていた。


「ああ、無理はしないでください。あなたは長い間、コールドスリープで眠っていたんですから」


コールドスリープ。その言葉が頭の中で反響する。記憶が霧の中にある。自分が誰なのか、どこから来たのか、なぜここにいるのか――すべてが曖昧だ。


「私はルナ。見ての通り人間ではありません。オートマタです」


ルナと名乗った人形は、自分の胸に手を当てて微笑んだ。その表情は驚くほど人間らしかった。


「あなたは私たちが探索してた坑道の奥深くに眠っていたんですよ」


坑道。暗闇。冷たい空気。断片的な映像が脳裏をかすめる。


窓の外を見ると、荒涼とした大地が後方へと流れていった。赤茶けた岩肌、砂漠のような風景。そして黄昏色の空――。


「危ないところだったんです」


ルナの声に緊張が混じった。彼女の視線が窓の外、登りゆく太陽へと向けられる。


「もう少し発見が遅れていたら……」


車両の奥から足音が近づいてくる。重い力強い足音だ。視線を向けると、熊を模した大型のオートマタが顔を覗かせた。


その肩には鳥型のオートマタが止まっており、くるくると目を回してこちらを見つめている。


「ルナ、様子はどうだ?」


熊型のオートマタが低い声で尋ねた。


「グリム、おかえりなさい。大丈夫、意識を取り戻したわ」


「彼の名前はグリム。あなたをここまで運んできてくれたんです」


ゆっくりと目を閉じる。感謝の意思が伝わったのか、熊型のオートマタが反応した。


「気にしないでくれ」


そう答えると、グリムの肩に乗った鳥型のオートマタが小さく「カァ」と鳴いた。


「彼はエドガー。この列車の目といえばわかるでしょうか。周辺情報を収集、解析してくれています。あなたを担いだグリムの先導役をこなしてくれたのも彼になります」


エドガーがもう一度小さく鳴く。


「さぁ、今はゆっくり休んでください。コールドスリープで凝り固まった体も一晩もすればほぐれてくるはずです」


ルナが優しく言った。彼女は古びた毛布を持ってきて、こちらの体にかけてくれる。


少しすると、あたたかでやわらかな眠気が襲ってきた。


みたことのない景色、オートマタ。古びた列車。


ここはどこなんだろう。自分は一体……。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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