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暗闇の世界に漂う

 暗い部屋で母さんの帰りを待つ。

電気も水道も止められている。部屋にはゴミがあふれ、何か食べたいけど、カビて固くなった食パンしかない。何日も何も食べていない。もうおなかが減ったのかどうかもわからない。

 ドアをノックする音が聞こえるけど、誰がきても出てはいけないと母さんに言われている。

お節介な大人が僕の生活環境を変えようと連れ出すけど、すぐに母さんが迎えに来て、その後殴られるからもう放っておいて欲しい。息を潜めて立ち去るのを待つだけ。でも今はもう、動けそうに無いから息を潜めて待たなくてもよさそう。




 前世の夢だ。母さんは父さんと離婚した後、俺を一人で育ててくれた?けど、彼氏が出来て家を空けることが多かった。放置され、電気も水道も止められたアパートの部屋で多分俺は死んだんだと思う。

そして、今世はコカトリスの毒で16歳で死んだのか・・・思えば親ガチャに失敗してばかりだ。神様も前世苦労した分、今世はご褒美くれても良かったんじゃ無いの?まぁ、神を信じたこと無かったのに、今更神様っていったところで説得力ないか・・・いつも暗がりで過ごしていたな。だから明るさに執着があったのかもな。ただ明るいだけで、多少の悩みは消える。暗いと余計なことばかり考えてしまう。

 そして、今も暗い。ここがどこかわからない。白く明るくないから天国ではなさそうだ。そんなに今世悪いことしたかな?人に怪我はさせたけど、殺したわけじゃないしそれで地獄行きは厳しすぎないか?

 目を開けているのか、閉じているのか・・・それほど暗い。ずっとここにいなきゃならないのかな。それはちょっと辛いな。

 どうして、前世も今世も人から愛してもらえないのだろう。親が子供を愛するって無条件で与えられると思っていた。だって、自分たちで望んで子供を作ったんじゃ無いのか?愛する自信が無いならどうして子供を作るのか。作られた方の身になって欲しい。もし来世も生まれ変われるなら、どうか愛してもらえますように。それが無理なら、もう生まれ変わらなくていい。

 もう生きるのが辛い。このままずっとここに居ようか・・・・暑くも寒くも無い。ただ真っ暗な空間で何もせず横になっていようか・・・



 水の音が聞こえる。バシャバシャと何かを洗う音。


 「ノア?」

 

 ノア?ノア?俺の名前はノア?望?あぁ、望は前世の名前か・・・なにが望だったんだ。なんの望みも無かったな。暗くて臭い部屋で餓死したガキの名前が望って笑えないだろう。


 「あぁ、もう少し生きたかったな・・・」

 「ノア!気がついたのですか!?」

 誰?俺に話しかける人なんてこの世にいたっけ?


 そっと目を開けると、暗がりの世界では無くてぼんやりとした灯がついた天井があった。


 「暗いな・・・もっと明るく出来ないの?」

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