ノアが出会った日2
「え、すごいんだけど!すごく頭いいんだね。いつも成績表って持ち歩いてるの?」
何で持ってんの?自慢?自慢なのか?ジト目で見ると、慌てて
「なっ何言ってんのさ。そんなわけないよね。この前ここの面接受けたときに今持ってる鞄に入れておいたのがそのままになってただけだから!成績表なんていつも持ち歩くわけないでしょ。まぁ、今日はこれから必要になっちゃったわけだけどね。」
ハハハと力なく笑う丸メガネの男を見ていると、ハッと急に慌てた様子で
「!キミに声をかけられてびっくりして弟に話すみたいに話しちゃってたけど・・・あの、えーと御貴族のご子息様ですよね?護衛の方もいらっしゃいますし・・・申し訳ありませんご無礼をお許しください。」
急に改まってきた。別にいいのに。急に声をかけたのはこっちからだし、何ならさっきから俺の方がタメ語で話しちゃってるし。
「こちらの方から不躾に声をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。僕の方が年下ですし、そのままの話し方でお話頂いてかまいません。申し遅れました。僕はハワード家次男ノア・ハワードと申します。」
「え!ハワード!?ハワードってあの?」
「あのが、どのか分かりませんが多分のそのハワードです。」
文官やってたってんなら知ってるだろうよ。父親も王城で働いている。ミス押しつけたのが父親じゃないことを祈るのみ。
「あぁ・・・申し遅れました。私ミラー男爵家次男、トーマス・ミラーと申します。ハワード伯爵とは直接の部下ではありませんでしたが、お話をさせていただいたことがあります。ご子息は大変優秀であられると・・・あなた様でございましたか」
おうおう地雷踏みまくってくれてんじゃんか。
「それは兄の事でございますね。」
!!!みるみる顔から血の気が引いている。そして父親は仕事先でも兄の自慢をしていたのか。聞かされる部下も『将来が楽しみですね~』くらいの感想しか出てこないぞ。
「あ、あのご子息がお二人居るとは聞いていなかったものですから・・・申し訳ございません」
「大丈夫ですよ。父も兄のことは自慢ですので仕事先の皆さんにもつい話をしてしまったのでしょう。僕は父の自慢となるような息子ではありませんし・・・」
さっき次男っていったよね?ちゃんと聞いとけよ。
「ところで、次の仕事のツテはあるのですか?子供の僕がこんな事を言うのも何ですが、人に勉強を教える事は得意ですか?出来れば僕の家庭教師になっていただきたいんですが・・優秀な兄の方でなくて申し訳ないんですが」
そう言うとまっすぐ俺を見て
「ノア様、私は男爵です。あなた様の家庭教師としては爵位が低すぎます。せっかくのご厚意大変嬉しく思いましたがお受けすることは出来ません。」
はぁ・・・一般的にはそうなんだけどね、俺としては頭のいい人に教えてもらいたい訳よ。男爵でも平民でも優秀な人材を評価しないで爵位が高位ってだけでチヤホヤする世の中にうんざりしてるわけよ。
「そういうのいいから。一般的にとか爵位とか。俺はさーあんたがこんなどこの誰ともわかんない子供相手に丁寧に色々教えてくれたり、頭いいのに腰低そうなお人好しそうな感じに好感もってるわけ。あんたが俺のこと気に入らないとか付き合いにくそうって思ってんなら無理にとは言わないけどちょっとお試しでとりあえず教えてくんない?」
急に猫をかぶるのを辞めて話し出すと、一緒に居た護衛と二人でこれ以上目が開きませんよと言うくらい目を見開いてあわあわ言っている。
いやごちゃごちゃめんどいよ。
「早速で悪いんだけど魔方陣の改良について相談に乗って欲しい。ちょっと魔方陣の専門書のコーナーまで来て!」
未だ放心状態のトーマスの腕を引っ張って専門書のコーナーまで連れて行った。
だって俺たち図書館の入り口横のベンチでずっと話してたんだぜ。




