3-2 処罰
事件勃発から2週間が経過し、美空さんは停学が明けて学校に復帰した。
一方、瑠果さんによると阿部先生は授業の雑談で「なぜ生徒指導部の馬鹿な連中はあの暴力女を退学にしなかったんだ、そのせいで停学明けからは怯えないといけないから余計居心地が悪くなる。」と生徒指導の先生と美空さんの悪口を言っていたらしい。
しかも阿部先生は生徒や他の先生に事の顛末を話していたがみんな揃いに揃って自業自得だと思っているようだ。
そして話し合いの場が設けられ、僕たちACEのメンバーも同席する事になり今は高等部の会議室にいる。
話し合いでは阿部先生が自分のやった事を棚に上げて美空さんを悪者に仕立て上げようとしたが美空さんはあくまで正当防衛だと主張しているため平行線となっている。
だが、瑠果さんが同席していた理事長に対して「理事長、これを聴いてくれ。」と言うと理事長は「これは、ボイスレコーダーじゃな。お主が聴けと言うならそうするぞ。」と言って再生ボタンを押した。
すると、瑠果さんが「阿部が美空に対して何したか知ってるか?」と聞く声が流れ、「美空?風紀委員の京山さんの事ですか?」と聞き返されて瑠果さんが「そうだよ、彼女が阿部を殴った理由を教えてくれたら助かる。」と言うと相手の女子生徒は「阿部先生が京山さんの胸を揉みました。」と話した。
この録音を聞いた理事長は「ほう、こんな事をしてたんじゃな。」と阿部先生に聞く。
すると阿部先生は「こ、これは出鱈目ですよ理事長。おそらく僕を陥れるために青柳が質問した女子に『セクハラしていた。』と答えるよう強要したんでしょう。」と弁明した。
だが瑠果さんは「やれやれ、そんな悪足掻きをするとは思ってたよ。だからあたしが聞き込みをした女子を呼んでおいたよ。入ってもいいよ。」と言って人を入れる。
そしてその女子生徒は「青柳先輩に対して答えた事は真実です。セクハラの事は私が独断で答えました。」と話した。
阿部先生に追い打ちをかけるように奏さんが「それじゃあ男子に対する暴力はどうなのですか?」と聞くと「それは無実です。確かに手当てが施されていた男子生徒は何度か見かけましたがみんな転んだのでしょう。」としらばっくれた。
その発言の瞬間ノック音が聞こえ、「失礼します」という声と共に高等部の養護教諭と思われる人が入ってきた。
その人は「阿部先生の発言は真っ赤な嘘としか思えません。怪我を診た所とても転倒してできるとは思えないものでした。」と言い、「怪我した生徒から診察を受けた病院を聞き出してそこに連絡を取った結果、生徒の担当医は口を揃えて『確実に他人によって負わされた怪我です。』と仰ってました。」と理事長に報告した。
それを聞いた理事長は「これで合点がいったな。」と言い、「阿部先生、お主は今日を以て解雇じゃ。」と阿部先生に告げた。
自分に対する処罰を聞いた阿部先生は「そんな、せめて謹慎か減給でお願いします。」と懇願するが理事長は「駄目じゃ。お主は多くの生徒を傷つけた。本来なら斬首にするか鮫の餌にしたいところじゃが実際にやったらこっちが殺人罪で逮捕されるから解雇にしたのじゃ。」と発言したことで僕は(怖い・・・発言が過激すぎる・・・)と恐れおののいた。
そして会議室を出ると高等部の生徒が「阿部のやつ、教師クビになったんだって?これでこの学校は平和になるわー。」やら「あいつクズだったからな、ざまあみろってんだ。」といった声が聞こえた。
後ほど生徒指導の先生に「何で美空さんを停学で済ませたんですか?」と聞くと「阿部先生、大学の時に俺の姉貴を妊娠させて中絶を強要してたんだよ。あの時は殺意を覚えたほどだったから殴られたと知った時は『あんな事したからだぞ、ザマー。』って思ったよ。だから停学で済ませたってわけ。」と答えた。
そして、「今思うと姉貴の妊娠が分かった時に半殺しにしといたら良かったかもなー。」と発言し、僕は「やっちゃ駄目ですよ。」と言った。
そして数日後、阿部先生の後任と思われる人が赴任して来た。
その先生は顔色が悪く髪も長くぼさぼさであるため幽霊を連想させる見た目をしていたがその先生が壇上に上がると「今日からこの学校で働くことになった佐伯です。担当は数学です。皆さんよろ・・・ゴホッ」と挨拶するや否や咳き込む。
その直後、「皆さん・・・」と発言しようとするとその場で倒れ込んだ。
これには生徒や他の先生はパニックになり佐伯先生は担架で運ばれて行った。どうやら佐伯先生は喀血したらしく壇上には血だまりができていた。
その後、教頭先生が「えー、お騒がせして申し訳ありません。」と全校生徒に謝罪し朝礼は継続された。
朝礼が終わり、教室に帰っている最中も「あの先公やばくねえか、いきなり血を吐くなんて。」やら「きっと体が弱いんだろうな。」といった佐伯先生の噂話が聞こえており僕は(セクハラとかするような人じゃなければいいんだけどね。)と心の中で思った。
これで佐伯先生の人柄次第では平穏に過ごせると思っていたが事件はまだ終わってなかったのであった。




