表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/27

パーティーに出席してもパリピにはならない

何故こんなことに。

俺は今、王子のお披露目パーティーに参加していて、その主役である王子とダンスをしていた。

周りからの視線をかなり集めてしまっているようで、なんだか恥ずかしい。


ああ、本当にどうしてこうなった…。



時は少し遡って、パーティー会場に入ってすぐ。

クラインベック家が会場入りすると、今までざわざわと話し声が聞こえていたのに、ピタリと止み静かになった。

そして、クラインベック家というより俺が見られているような気がする。

何か変なところがあっただろうか?。


自然な風を装い服装を確認してみる。

ドレスは白を基調に青い小さなリボンが袖や胸辺りにあしらわれているものだ。

鏡で見たときはイルメラによく似合っていた。

更に装飾品として俺の瞳と同じ色の琥珀色をした髪飾りをつけている。

まだ5歳なので色気は皆無だが、それでもイルメラの美貌と合わさり綺麗な仕上がりだった。

特に変なところはないようで安心した。


「皆んなが見ているのは、イルメラが可愛いからだよ」


そっとカールが耳打ちしてきた。

確かにイルメラは前世基準でも滅多にお目にかかれない程の美幼女だからな。

つい見てしまうという気持ちも分かる。


「やだ。私を…兄様が盾になって、お願い」


気持ちは分かるがそんなに見ないでくれ!

カールの背中に隠れるように逃げると、「しょうがないなあ」と言いたげな顔をしながらも周囲の目線から庇ってくれた。


会場内で他の貴族たちと挨拶をしていると、文官っぽい人が扉から出てきて会場内の全員が静まり、その文官に注目した。


「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。ご存知の通りアルフォンス殿下が無事、精霊の祝福をお受けになりました。この大変目出度い日に、王家主催のパーティーを開宴しましたのは、ーー」


校長先生か!

話しが長すぎて飽きてきたわ!


話しを聞き流していると、突然周りから拍手が聞こえてきてビクッとしてしまった。

なんだなんだと顔を上げてみれば、どうやら王家の人たちが入場したらしい。

王、王妃、王子は同時に入場してきて、少し高くなっているステージのようなところで立ち止まった。


王はまだ若いようで、見た感じ20代中盤くらい。

金髪碧眼という如何にもといった感じだ。

そして、安定のイケメンでした。

この世界、美形多いっすねー。モブ顔の人まだ見たことないよ。


王妃は赤髪のクール美人って印象の人だった。

スタイルも良いし、所謂モデル体型というやつで正直惚れてしまいそう。

是非『お姉様』とお呼びしたい。

本当に呼んだら怒られそうだけど。


そして本日の主役である王子。

名前は『アルフォンス・スペルフォード』というらしい。さっき聞いた。

彼はまだ6歳ながら理性的な目をしており、随分と大人びている。

容姿は、父と同じ金髪碧眼で顔は母親に似たのか中性的だった。結論、イケメン。知ってた。


「我が子、アルフォンス・スペルフォードが精霊に祝福を受けし今日という日に皆が集まってくれたこと、感謝する。存分に楽しみ、共に祝ってくれ。今日の主役は私ではないから、あまり多くは語らないでおこう。…それでは、共に王国を支えし同胞よ、乾杯!」


その言葉で皆んなが一斉に持っているグラスを王へ向けて少し掲げることで、乾杯をする。


それからは各々が好きなように過ごした。

挨拶回りをする者。料理を食べる者。友達とお喋りする者。

俺はカールにお願いして、料理のとこまでついて来てもらった。いや、連れて来てもらったと言うべきか。

こんなところで一人行動は難易度が高いと思います。ありがとう、カール。


この身体になってから野菜が好物になり、もはや準ベジタリアンと呼べるほどだ。前世の頃から野菜は好きだったが、それでもここまでじゃなかったし、肉の方が好きだった。


そんなこともあり、野菜をもりもり食べていた。

カールは料理を二、三口食べてもう満足したのかそれ以上は皿も置いてしまったし食べないようだ。

もったいないなあ、こんなに美味しいのに。


「イルメラ、あまり食べすぎないようにね。この後辛くなるよ」

「もしゃもしゃ…?」

「ふふ、忘れたのかい?もうすぐダンスがあるんだよ」

「っ!…もしゃもしゃ」


そうだった、忘れてた!

でも、取り敢えず皿に盛ってしまった分は食べてしまおう。

もしゃもしゃ、もしゃもしゃ。


ふぅ、ご馳走様でした。

野菜だけだったせいか、お腹いっぱいになるということはなくダンスくらいなら大丈夫そうだ。

…横っ腹が痛くならないように祈っておこう。


横っ腹の神様へ祈りを捧げていると、楽団と思しき人たちが楽器を持って入場しステージで準備を始めた。

準備はすぐに終わり、早速とばかりに演奏が始められた。


するとダンス用に開けられていた空間へ、複数の男女のペアが出てきて踊り出した。

年齢は様々で、10歳くらいの子供たちもいれば、熟年の夫婦もいる。


ダンスか。

ダンスは楽しかったから、ちょっとやってみたい。

必死に踊っているように見せて「話す余裕ありません!」って感じを出せば、相手と話さなくても大丈夫だよな。

でも自分から話しかけたくないなあ。

……誰かに誘われたらでいいや。


そんなことを考えていると、カールの周りに女子たちが集まり始めてあっという間にその輪から弾き出されてしまった。

どうやらダンスのお誘いらしいが、「女性からのお誘いを断るのは紳士としてあるまじき行為」という風潮があるので、カールはその場から抜け出せずにいた。


一人になってしまったよ。

どうしようかなあ。


するといつの間にか前に王子がいた。


「お嬢様、私と一曲踊っていただけますか?」

「…はい?」

お読みいただきありがとうございます!ブクマ・評価いつも励みになります!


投稿が遅くなってしまいすいません!今後は隔日投稿などになると思います。楽しみにして頂いていた方、ごめんなさい!


今後とも応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ