魔力があれば体力はなくてもいいよね
魔法技量測定をするための教室に到着した。
そこは教室と言うよりかは体育館のような造りになっていて、奥の方には的らしき円形の物が横一列に数個並んでいる。
「魔法技量測定では、10メートル離れた距離からあの的に向かって魔法を使ってもらいます。攻撃系、回復系の方問わず的の中心に近ければより高得点となります」
そう説明されて各自空いている的の所へ並び魔法を発動していく。
皆んなの魔法を見ていると、的を破壊した人はいないけど今のところ全員が的に当てられていて、これで外したら絶対恥ずかしいやつだよこれ。
ていうか、私の魔法って撃ち出すものではないんだけどどうしたらいいんだこれ。
そんなことを考えていると、どうやらアルが魔法を使うようで皆んなざわざわと注目しだした。
だがそんな視線を受けているアルは一切緊張していないようで、リラックスしたまま魔法を発動させる。
アルの右手が光出し、そのまま掌を的へ向けるとビームが発射された。
勿論、的は跡形もなく消失していた。
いやー、やっぱりビームはかっこいいなー。
どうか私には向けないでくださいね。
アルは達成感を表情に滲ませた笑顔を私に見せてきた。
あまりの魔法の威力に唖然としていたが暫くして復活した皆んなが、「すげー」や「やばい」とか語彙力が低下した感想を言い合っていて、なんだか私も鼻が高い。
実はあのビームをアルに教えたのは私なのだ。
元々アルの使える魔法が光魔法で、周りを明るくしたりするくらいしか使い道がないと言われていたが、私は前世の知識から光ならビームとか撃てんじゃね?と思いアルと一緒に試行錯誤した結果できたのがあのビームである。
やっぱり魔法がある世界ならビームを見たいよね。
さて、そんなことを考えていると私の番が回ってきた。
適当に的の真ん中に花咲かせたろ。
「えい」
ポンッ!
見事に的の真ん中から花が咲いたが、いかんせん的が床から垂直に立っているので、花は床と水平に生えてしまい残念な見た目だ。
花が重力で垂れているのが、まるでしょぼーんとしているかのようだ。
だが、的のど真ん中から花は生えているので、これは満点を頂けるのでは?
得点を付ける係の人を見ると、無表情ではあったが親指を立てて『いいね』としてきたのでおそらく大丈夫なのだろう。
私もグッと親指を立てておいた。
全員の測定が終わり、教室へ戻ってくるといつの間にかお昼になっていたようで、すぐに昼休みのチャイムが鳴った。
クラスの皆んなは、弁当を持参して来た者、購買へ行く者、学食へ行く者とそれぞれ友達同士で昼食を取るようだった。
私は昨日アルと学食で食べようと約束をしていたので、2人で食堂へと向かう。
学園の食堂はかなり大きかった。
利用している人も多いようで、席もだいぶ埋まっている。
食券を買い料理を受け取り、空いていた2人用の席に着く。
因みに貴族が多く利用するからか、メニューは豪華な物が多かった。
アルと適当に雑談をしながら食べていると、話題は自然と先ほどの魔力量と魔法技量の測定の話になった。
「イルの魔力量が多いのは知っていたけど、まさかあんなに光るとは思わなかったよ」
「私も、びっくりした」
びっくりどころではなく目がお陀仏するところだったが。
きっと来年からはサングラスをしながらやるのかな?
シュールだな。
「アルの、ビームも、すごかった」
「ありがとう。イルが教えてくれたおかげだよ」
なんか今の遠回しに自分を褒めた感じになってしまった気がする。
そんなつもりじゃないの。
本当よ?
信じて。
話しをしているとあっという間に時間が過ぎて、昼休みが終わりそうな時間になった。
食堂から移動を開始し出した人がちらほらと出てきたので、あまり混まない内に教室へ戻ることにした。
午後の授業は身体測定をやるらしく、また移動となった。
なお、体操着に着替えるとのこと。
男女別で行うらしく女子は体操着を持って別の教室へ移動して、そこで身長、体重を測った。
両方ともあまり去年と変わってなかった。
身長ぇ…。
それが終わると今度は、50メートル走や握力測定なんかもあった。
結果はほぼ全ての種目でクラス1番だった…下から。
グスン。
ま、まあ?私には魔力があるから全然気にしてないんだから。
ないんだから!
そして、今日はこれだけで終わりとのことで、男女教室に揃ったらホームルームをして解散になった。
その日の夜、私は枕を濡らしたのだった。
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このまま更新していきたいところではありますが、今後は話しの展開や構成などを考えたいので不定期更新とさせて頂きます。
楽しみにして下さっている方にはご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします。




