癒しにはアニ?アネ?どっちもいいよね
誕生日の翌日。
昼食を食べ終わった昼下がり。
俺は屋敷の敷地内でフローラの散歩をしていた。
まだ子犬だからちょろちょろ走り回るかと思ったが、すごく大人しい。
横に並んで俺の歩くペースに合わせてくれている。
なんてできた犬なんだ。
紳士の鑑だね。
そう、フローラはオスだった。
女性名付けてごめんね。
庭の広いところに到着したので、リードを離してやると、待ってましたとばかりに走り回り始めた。
おやおや、そんなにはしゃいじゃって。
まだまだお子ちゃまですな〜。
「ワン!」
「ぴっ!」
なに!
急にこっち向いて吠えないで!
名前つけたときもそうだし、心でも読めるの!?
いや、そういえば前世の頃からよく吠えられてたな。
一体何故なんだ。
釈然としない気持ちのままに、持ってきたフリスビーをフローラのいる方向へ飛ばす。
だが力み過ぎたのか、大きく逸れてしまった。
「やべ」
「やべ?」
フリスビーが全然違う方へと飛んで行ってしまったため、反射的に漏れた言葉を聞いたイーナが「あら?下品な言葉が聞こえたような気がしたのですが。気のせいかしら?うふふ」と表情と声音で語っていた。
ひえっ!
「あっ、や…ぎ、みたいだよね、フローラって」
「?…山羊?」
イーナをごまかせたみたいだけど、俺の発言を受けて「やぎ…山羊?え?そうは見えな…でも白いから…」と理解しようと頑張っている。
俺にはフローラが犬にしか見えないけど、山羊に見えるよう頑張ってくれ。
そんな感じでイーナを見て楽しんでたら、いつのまにかフローラが俺の足元まで来ていた。
なんとフリスビーを咥えている。
頭いいな。
じゃあもう一回行こうか。
「えい」
今度はそれほど力を込めずに投げた。
するとフリスビーは綺麗に真っ直ぐ飛んでいった。
フローラは投げたと同時に走り出し、投げてから1秒後にジャンプして咥えてキャッチしていた。
犬ってこんなすごいの?
何かが化けているんじゃないだろうか。
また咥えて戻ってきたので、また投げてやった。
またまた咥えて戻ってきたので、またまた投げてやった。
またまたまた咥えて戻ってきたので、またまたまた投げてやった。
またまたまたま…………。
一時間後。
いい加減腕が疲れてきたので、フリスビーはやめにする。
幸いフローラも疲れたのか、文句はないようだ。
ふわぁ…。
運動したから眠くなってきた。
イーナが木陰に敷物を敷いてくれたので、行儀が悪いかなと思いつつも横になるとフローラが目の前まで歩いてきたので、撫でてみると最高にもふもふだった。
そのまま捕獲して抱きしめると、とても気持ちよくてあっと言う間に眠りに落ちてしまった。
◇
目が覚めると、敷物に座っているイーナの膝の上で丸くなり、撫でてもらっているフローラを見つけた。
あーあ、あーあ。
そうやって、他の女のとこに行くんだ。
一緒に寝たのに、もう私には興味ないって言うの!?
また後でもふらせてください、お願いします。
ていうか、俺まだイーナに膝枕されたことないのに、まさかフローラに先を越されるとはね。
あー、イーナも嬉しそうに撫でてるし。
羨ましい。
イーナってときどき怖いけどお姉ちゃんみたいな感じがして、甘えたくなるんだよね。
お姉ちゃんみを感じる。
フローラをもふるのと比べるのが難しいくらいの癒しです。
「お嬢様、お目覚めになったんですね。…あら?」
フローラからイーナの膝を半分奪い、頭を乗せて寝転がる。
「ふふ、どうされたんですか、お嬢様?」
「ちょっと、だけ」
「お嬢様がお望みならいつでもお貸ししますよ」
そう言って頭を撫でてくれた。
また眠たくなってきた。
フローラがこっちに寄ってきたのか、頬にもふもふとした感触がして、とても安らぐ。
これがアニマルセラピーか。
正直なめてました。
それに負けないくらいイーナの撫で方は気持ちいい。
これがアネマルセラピーか。
なんじゃそりゃ。
もうだめ…ねむ…。
その夜。
一緒に寝ようとフローラを部屋に連れてきたが、なかなか寝付けなかったのでもふもふしてたら、離せとばかりに肉球でたしたしと叩かれたのだった。
肉球も気持ちいいです。
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一度でいいからもふもふの大型犬に抱きついてみたい。
次回の更新は明後日です。




