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非日常の後の日常って落ち着くよね

パーティーが終わった翌日。


「…眠い」


イーナが起こしに来てくれたが、まだまだ寝足りない。

このまま一日中だって寝れそうな気がする。


「お疲れなのは分かりますが、起きてください。でないとカール様が悲しまれますよ」

「うーん」


昨日カールから「パーティーではあまり一緒に居られなかったから、明日は一緒に過ごそうね!」と言われた。

その時は正直疲れていたから適当に返事をしたが、なんかめんどくさくなってきたなー。

このまま寝てようか。

そうしよう。


「おやすみ…」

「うーん…そこまでお疲れなら私からカール様へお伝えしておきますので、お休みくださいませ」


おお、やっぱりイーナは優しいーな。ふへへ。

そんなくだらないことを考えながら再び眠りに落ちて行った。



「う…ん」


二度寝から目が覚めたが、微睡みの中でふわふわとしてる感じがする。

たっぷり寝すぎたのか、頭がぼーっとしているのか。

でもこの感覚嫌いじゃない。

惰眠を貪った贅沢な感じが堪らない。

これから毎日惰眠しようと思います。


ゴロンと寝返りをうつと、手が何かに当たった。

かたいな、なんだろう?

ぺたぺた触ってみると表面は柔らかいが、奥の方は硬かった。

何か分からず引っ張ったり、指で突いたりしていると急に手が掴まれた。


「ひぅ!」


びっくりして意識が急速に覚醒した。

心臓がドックンドックンと今にも飛び出してきそうなほど、騒いでいる。

一体なんだ!?と見てみると、そこにはこちらをジト目で見つめてくるカールがいた。


「イルメラ?私の顔は触り心地が良かったかい?」

「ひっ!」


笑顔なのに後ろから「ゴゴゴッ!」とオーラが出ているのが見えるような雰囲気のカールを前に、俺はなす術を持っていなかった。




「んいー…もう、ひゃめれ、くらひゃい」

「ダメだよ。今日は一緒に遊ぼうと約束していたのに、昼過ぎまで寝てたんだから。せめてこれくらいはさせて欲しい」


俺は今カールの手によって、顔をもちもちされている。

そりゃ子供のほっぺはぷにぷにしてて気持ちいいってよく言うけどさ、だからってそんなに触られるとほっぺが落ちるんじゃないかと思うんだ。違うか。


ていうかやりすぎだ!

つつくな!つまむな!ひっぱるな!

抵抗とばかりに手足をジタバタさせると、流石に解放してくれた。


「ふふ、ごめんね。…さて、イルメラの目も覚めたことだしお茶でもしないかい?」

「おお…」


目を覚ましたらお茶をするって、なんだか貴族っぽい!

そうやって優雅な一日を過ごすんですね。

うむ、苦しゅうないぞ。


現在は昼を少し回ったくらいの時間で天気も良いため、庭でお茶をすることになった。

テーブルの真ん中にビーチパラソルみたいなでかい傘がさしてあり、日が当たるのを防いでくれている。

そして、お茶と一緒に出てきたクッキーなどのお菓子。

今日はまだ何も食べていなかったので、お腹がペコペコだ。


俺の今日の朝昼ご飯はクッキーか…。

まあ、美味しいからいいや。

ポリポリポリポリ…。


前世の頃から甘いものは好きだったが、この身体になってからはさらに大好きになった。

今だってミルクと砂糖をたっぷり入れた紅茶と、甘いクッキーのハッピーセットを胸焼けすることなく食べている。

ああ、幸せだ。


「昨日は楽しめたかい?」


カールからそんな質問をされた。

うーん…疲れたけど楽しかったかも。

特に王子と王女の二人はなんか色々すごかった。

何故かダンスに誘ってきた王子。

ポンコツな王女。

王族の二人と知り合えるなんてとても光栄な(心臓に悪い)ことだ。


「うん、楽しかった、よ」

「そうか。それなら良かったよ」

「兄様は?」

「私は…そうだな…イルメラとご飯が食べれて楽しかったよ。フフフ…」


カールの目が死んでいる!

ずっと御令嬢に囲まれていたから大変だったのだろう。

世の男子が聞いたら、きっと血涙を流して羨ましがるに違いない。

俺はイルメラになってからそういうのは感じなくなったが。

記憶はないけど、イルメラの精神的な部分は残ってたのかもね。

だからと言って男性が好きかって聞かれると首を捻らざるをえない。

でも女性もそういう目では見てないんだよな。

そういうの、まだ5しゃいだからわかんなーい。


「何を百面相してるんだい?」

「…え?」


クスクスとカールが指摘してきたが、まさか顔に出ていたとは。

俺は前世の学生時代に「お前って何考えてんのかわかんないよな」とクラスメイトに太鼓判を押されたくらい、考えてることが表情に出にくいはずなのに。


「さて、そろそろ冷えてくるから中に入ろうか」

「うん」


今の季節は春だから夕方が近くなると冷え込むのだ。

メイドたちがテキパキと手際よく片付けをしてくれた。

屋敷に入ってからは、本を読んだり、トランプっぽいものをした。

そうして、カールと一日遊んであげたのでした。

楽しかったよ。

お読みいただきありがとうございます!沢山のブクマ、評価励みになります!


次話は金曜日に更新予定です。

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