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カノンを捜して~Ⅱ  作者: 塘夜 凛
6/22

6 藤沢さんの片思い。 Ⅰ

今回は藤沢さん(葵に恋する女の子)の視点です。

果たして彼女は何処まで頑張るでしょうか・・・

東京でそこそこ人気が有ったイタリアンレストランをセクハラ・パワハラで辞め友達の尚子の紹介で弁護士事務所へ訪れた。そこでスラっとしたイケメン弁護士、本田葵さんを紹介される。

元彼と別れたばかりなのにどうかしていると思い、裁判中は極めて冷静に努めた。


示談が成立してお礼にと半ば無理矢理食事に誘った。

途中、本田さんのバイブ音が鳴る。

着信の名前を見て優しい顔でふっ・・・と笑い『チョット失礼』と断って電話に出る。


「もしもし・・うん・・良いよ・・何?・・・・うん・・・一緒に行くよ・・・分かった休暇取る・・・お休み・・・」


あっ・・・この人こんな表情も出来るんだ・・・裁判中ずっと無表情か眉間に皺寄せてたのに・・・

切れた電話を愛おしそうに見つめた顔がすっと戻り私に向き直る。


「恋人からですか?」


何気なさを装い然りげ無く聞いてみた。

もう失恋かなぁ・・・と思いきや・・・


「幼馴染です。家族旅行に行けるかどうかの確認です。」


「幼馴染と?」


「正確には幼馴染の本宮家と家の・・本田家です。実家が隣同士なんですよ。」


嬉しそうに話す彼。

でも私の感ではさっきの電話の人と何か特別な関係性を持ってると思う。


「そういえば藤沢さん、未だ次のお店が決まってないならシェフとしてアルバイトしませんか?」


「はい?」


「そんなに高い日当は出せませんが、船で沖縄に行きますので一週間。宿泊と交通費はこちらが持ちますので・・・ダイビングや観光もするみたいですし・・・無理にとは言いませんが・・・」


「行きます。タダでいいです。私も行きたいです。沖縄・・・行った事無いし・・・」


「そうですか・・・では・・・お願いします。」


やったーチャンス到来。新しい恋に突進しよう・・・

そうして初めて葵さんの個人携帯のナンバーを教えて貰った。この日は興奮して中々眠れ無い。


翌日朝から早起きし沖縄へ行く準備をする。大きなキャリーバッグにお気に入りの可愛い服や勝敗下着、アメニティーを詰め込みハッとなる・・・水着・・・すぐさま尚子に電話を架けてショップで水着を選んで貰った。


「やっぱ葵さん狙いで行くならビキニでしょ・・・」


「ええ~っ・・・ビキニ・・・殆ど裸じゃない・・・」


「今時何よ。裸で迫らないと優子の何で落とすつもりよ・・・」


「でも胸で釣られても切ない・・・」


「折角親から貰ったその遺伝子を無駄にしてどうするの?」


「うぅ・・・頑張るよ・・・」


自慢じゃないが胸だけはDカップ。ぴっちりした服を着ると大体男の人の視線は胸に行く。

コック服来ててもバカ男(元彼)は後から触って来た。余計な事まで思い出して不愉快になる。

でも葵さんがこの胸にクラっと来るだろうか?・・・まさかね。そんなタイプではなさそう・・・

悩んだ末に可愛いフリルの付いたピンクのビキニを買った。




当日は羽田空港で待ち合わせをし、搭乗口へと向かう途中で美味しそうなチーズケーキやチョコレート等大量購入する葵さん。それ等を支払って機内へ乗り込む。慣れてるな・・・お土産ですか?・・・


「この前東京バ○ナがいいって言うから買いに行ったら・・藤沢さん知ってましたか?アレ12.3種類あるんですよ・・・だから全部買って帰ったら甥っ子や未來に怒られました。」


笑いながら嬉しそうに話す葵さん。子煩悩なんですね高感度UPです・・・ってか未來さんって誰?・・・電話の人ですか?・・・聞けない・・・

地元の空港に着くと一番上のお兄さんとお子さん達がお迎えに来ている。その中に中学生か高校生位のシルバーヘアーのイケメン君がいる。


「お帰り。」なさい。」蒼くん。」お父さん。」


?????あれ?今この子お父さんって言わなかった???


「あっ・・・藤沢さん・・家の長兄の梓と甥の楓と姪の椿。と幼馴染の子供の未來です。こちらは電話で話した藤沢さん。今回シェフとして来て頂いたから失礼のないようにね。」


「「「「はじめまして。」」」」


自己紹介を終えミニバン?に乗り込むと港迄直行した。車の中で空港で買ったお土産を未來君に渡すと彼は困った顔をして『ありがとう。でも次からは要らないからね・・・』とお礼を言いながらも受け取ると甥姪にも回していた。


港に着くと唖然・・・私、クルージング旅行とかセレブの世界と思っていた・・・

船の入口にイケメンとゴージャスな美人が立っていた。葵さんはその人達に私を紹介する。

イケメンは本田家の次兄で瑛さん、美人さんは幼馴染の花音さん。暫くすると違ったマッチョなイケメンさんが来て彼は花音さんのお兄さんと言われた。そうなるとあの未來君はどちらのお子さんで?・・・と疑問に思った処で


《momお父さんがお土産沢山買ってきてくれたよ。》

《葵・・・買わなくていいって言ったでしょ。》

《でも僕は嬉しいよ。》


皆さん英会話ですか?・・・私離せない・・・あんな小さな男の子迄話しているのに?・・・

今のニュアンスだと多分葵さんが怒られてる?・・・拗ねてるし。

さあさあと都合が悪そうに船内へと乗り込むとラウンジに案内された。

そこで葵さんのご両親と船長さん花音さんのお兄さん一家を紹介される。


私にも立派な船室を用意してくれたので荷解きをしてラウンジへと向かった。

暫くしない内に瑛さんが電話に出て慌てて飛び出し、其の後を未來君が追いかけると異変に気付いた葵さんも出て行った。

直ぐに瑛さんが花音さんを抱き上げて船のデッキに運んだ。ソファーに横たえ水とブランケットを被せる。

大切そうに顔色を伺うと花音さんは大丈夫よと伝える。まるで映画のワンシーンかと思った。


「花音さんと瑛お兄さん夫婦みたいですね。私お姫様抱っことかされた人初めて見ました。」


「藤沢さん・・・」


葵さんはムッとして私に注意する。


「長年私のお世話掛りしてるからね。ある意味葵よりも仲良しだよ・・・」


花音さんは苦笑いながら答える。


「僕も・・もしdaddyが居なかったらパパが本当のパパになっても問題ないよ。」


戯ける未來君に葵さんはますますムッとする。未來君は葵さんをお父さん、お兄さんをパパと呼んでいる。ではdaddyとは?・・・


「未來、酷くないか?俺の事忘れてるだろ。」


「だってお父さんはその内藤沢さんと結婚するかもしれないじゃない。」


未來君の言葉に嬉しくなるが、


「未來。藤沢さんに失礼だ。この人は俺のカスタマー、今回無理にシェフの依頼をしたんだよ。」


別に大した期待をしていた訳じゃないが私の中のボルテージが一気に下がる。


「そろそろお夕飯の支度に取り掛かりますね。」


慌ててその場を退いた。



ここまで読んで下さって有難うございます。

藤沢さん視点5話位続きます。

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