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カノンを捜して~Ⅱ  作者: 塘夜 凛
7/22

7 藤沢さんの片思い。 Ⅱ

早速夕飯の支度を始めると葵さんのお母さんと香さんが手伝いに来てくれる。

この船を港に着けるのは男5人係で大変だそうで、港に連絡し地元の人にも手伝って貰うらしい。

話を聞きながら準備をしていると食材もキチンと揃っていた。

大きな冷蔵庫には何十人分ですか?と聞きたくなるようなケーキやピザが入ってる。

魚の切り身も揃ってる。葵さんのお母さんが()


「花音の好みで買い物してるからイタリアンなら揃っているはずよ。あの子カルパッチョとか大好きだから。」


「そういえばこの前も凄く喜んで食べてたからお義父さんも喜んでましたね。」


「家に女の子が居なかったから昔から凄く可愛がっていたのよ。」


茜さんと香織さんが楽しそうに話している。


「あのぅ・・・何故未來君は葵さんの事をお父さん、瑛さんの事はパパと呼ぶんですか?daddyって誰の事ですか?」


2人は顔を合わせ私へと向き直る。

「瑛は・・・ある事がきっかけで花音から離れられなくなったのよ・・心配過ぎて・・・そして花音が生んだ子供にも当然の様に心配して面倒を見ているの・・・未來の事は花音よりも母親らしく世話を焼いてきたわ・・・・だから未來がmomみたいだって言った事でせめてパパと呼んでくれって言ったらしいの・・・葵の事は聞いてる?」


「いえ、何も・・・」


「そう・・・もう過去の話になるけど・・・花音が未だ未來のお父さんと籍を入れる前に、花音にプロポーズして未來にお父さんになりたいって言ったのよ。

結局花音はショーンを未來の父親を選んだから振られたんだけど、あの子は相変わらず未來を自分の子供扱いをしているから・・・複雑なのよ・・・未來が葵って呼ぶと傷ついた顔して拗ねるし・・・だから未來はお父さんって呼んでるのよね・・・」


「未來君って旦那さんの連れ子ですか?あの子中学生か高校生位ですよね?」


「あの子はあれでも未だ小学6年生よ。知能は高校生や大学生にも匹敵するらしいけど・・・

それによく見ると花音の面影があるでよ・・・実子よ・・・あの子が15で産んだのよ・・・」


「15・・・15歳で?・・・」


「これ以上私達は言えないわ・・・後は気になるなら葵に聞いて・・・答えてくれるかは葵次第。」


そう言われそれ以上は聞いてはいけない事だと理解した。


ディナーは皆美味しそうに食べてくれた。ピザは元々大きすぎる物が何枚も買い込んであったので解凍してトッピングを足してレンタルの釜で焼き上げた。パスタはカルボとトマトソースとジュノベーゼの三種類、カルパッチョやアクアパッツァなども並べた。未來君が冷蔵庫からポリタンクを取ってくると楓くんと椿ちゃんがコップを持って待っている。3人は兄妹みたいに仲良しだ。少し食べた花音さんは伊吹くんを小百合さんから受け取るとブランケットで包んて外へと出て行った。其の後を瑛さんが追う・・・続いて葵さんも出て行ったが直ぐに戻ってきた。


「藤沢さんもキチンと食べてね。後片付けは手伝うから。」


そう言って私を食事に促してくれた。きっと花音さんに言われて戻って来てくれたんだと気付いた。


後片付けが終わった頃、花音さんから朝食はそれぞれで用意させるから作らなくて良いと言う。

和食派、洋食派、食べない派それぞれだそうで・・・冷蔵庫のにある物は自由に食べても構わないそうだ。

欲望の侭に食べたらきっとこの日の為に用意したビキニは着れない・・・甘い誘惑には負けられない・・・


翌日港に男集達が屋久島の港に船を寄せた。チョッとした人集が出来る。そりゃそうだ個人所有の大型船とか殆ど来ないだろ・・・どんなセレブが降りてくるのかという期待に満ちた島民の皆さんごめんなさい。しがない無職のシェフです。はい・・・


蓮音さんが何処からかマイクロバスを用意してきて船長さんと花音さん以外は屋久島観光をした。何処までも続くエメラルドグリーンの海。椿ちゃんが未來君の目の色と同じと言ってはしゃぐ・・・

未來君は瑛さんの隣で笑ってる。私の隣は葵さんが座っててさっきから動悸が可笑しい。


千尋の滝と屋久島フルーツガーデンに行った後、子供達は海が良いと言い出した。

仕方無いと港へ帰り今度は船に積んであった小型ボートを下ろしシーカヤックへと連れてってくれる。

何処までも青い海と空で私の事も気遣う葵さんにドキドキしながらもビキニを披露するも皆無反応・・・

何時もなら自分の胸に集まる視線は海の中へと向けられた。


「あっ・・・ウミガメ・・・」


夢中でカヤックを砂浜に戻し、シュノーケリングセットを付けてまた海の中を覗く・・・

色鮮やかな魚たちの中をウミガメが泳いでいる処を上から覗く私と違い皆はイルカの様に潜っていく。

器用だなぁ・・・と感心した。


船に戻ってシャワーを浴びデッキへ行くと瑛さんの肩に持たれて花音さんが寝ている。


「本当に夫婦みたいですね。」


思わず声に出してしまった。瑛さんはクスッと笑って


「花音の旦那さん見たら俺達は兄妹にしか見えなくなるよ。」


「そうなんですか?」


「彼は花音に対して所有欲の塊だからね。」


昨日の茜さんの言葉を思い出し訪ねる。


「葵さん。花音さんの事諦められたんですか?」


「君に言ってわかるかな?葵と花音は2人で1人みたいな処が有ってね。お互いが自分の分身みたいに思ってるから、葵を狙ってるなら取り入る真似はしなくていい。只、花音と未來に害を与えてはいけない。そして二人を受け入れてくれれば良い。それだけだが、皆それが出来ない。君に出来るといいね。俺のアドバイスはここまで、今回は結構大サービスだよ。」


益々分からない・・・この人達の中に自分は疎外感を抱く。


今日はイタリアンではなく普通のご飯を昨日と同じメンバーで作る。小百合さんは乳児が居るし花音さんは食べ物の匂いで悪阻が誘発するらしい。でも花音さんは自炊歴が長いから大抵のものは作れると聞いた。茜さんが高校時代特訓したらしい。


晩御飯を食べ一息着いた時、何処からとも無くバラバラと大きな音がする。少しの振動でカトラリーがカタカタと音を立てる。


「えっ・・何?・・・ヘリ?・・・」


船の上にヘリポートがありそこからエキゾチックな黒髪の男性とハリウッドスター張りの紳士が降りてきた。

その後エキゾチックな黒髪男性は何やら早口で英語を話すと花音さんに抱きついた。

そしてハリウッド紳士に何事か言われ未來君に話架けている。

紳士は花音さんにキスをし、腰を抱く・・・


うわー・・・もしかしなくてもこの人が花音さんの旦那さんだ・・・瑛さんとの会話を思い出す。

直ぐに花音さんは旦那さんを紹介してくれた。

何と言うか・・・絵になるお二人・・・


花音さんに頼まれ二人分の食事を用意した。緊張する。この二人、世界の美味しいものを食べてた人だ・・・雰囲気が違う・・・パスタの食べ方もとても綺麗・・・

食事中も何やら話しているが聞き取れない・・・

食事を終えるとショーンさんは花音さんの処に出て行った。

私は何か言いたげなカイルさんに話しかけられ緊張する。


「君はどの位シェフをしていたの?」


「高校を出て専門学校へ行き一年で調理師免許を習得しイタリアンのレストランで5年修行しました。」


「ふーんて事は僕より3歳年上ね。」


「・・えーっ年下?うそーん・・・」


絶対年上だと思った・・・・何でそんなに落ち着いているのよ・・・社会人歴長いの?・・


「あっ・・・僕これでも大卒ね・・・飛び級で出たから去年から働いてるけど・・・」


去年?・・って事は二十歳で大卒?・・・天才がいる・・・


「君・・・あっ年上に君は失礼だよね・・・ミス藤沢、貴女は最料理の腕を挙げたいと思ってる?」


「勿論。チャンスが有れば最上手くなりたいです。」


年下と分かっても敬語で話してしまう。


「そう・・・チャンスが来たら迷わず飛び込むことだね・・・」


そう言って出て行った。何だったんだこの緊張感・・・






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