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【000】序章:英雄の誕生

歓喜の鐘が鳴る。


それは祝福であると同時に、歴史が書き換えられる合図でもあった。

音は石畳を震わせ、空気を震わせ、人々の胸を打ち震わせた。


公都の奥深く、大広間の正面扉が開く。

人の背をはるかに超える高さの扉が、ゆっくりと、荘厳に、音も立てずに開いていく。


その先に現れたのは、白の礼装に身を包んだ一人の男だった。


短く、少し巻き癖のある黒髪。切れ長の瞳。


日差しのような色褪せた肌に、傷ひとつない顔立ち。

身長は周囲の人よりも頭一つ高く、礼服越しに見ても、無駄なく引き締まった身体をしている。

戦場で鍛えられ、生きるために必要なだけの筋肉が、自然と備わっている。


白い外套が風を受けて揺れ、窓から差し込む光がその輪郭を浮かび上がらせる。

まるで神話の頁から抜け出してきたかのような姿だ。


彼の名は「ゼイン」。


この日、叙勲の対象となった功績はあまりに重く、そして劇的だった。


黒蜘蛛戦争により、アンドラ公国に捕らわれていたサイサリスの公女を救出し、

野戦では敵の主力を撃破、失われた公都を奪還し、さらに敵の総大将を討ち取った。

このすべてを、一度の戦役の中でやってのけたのだ。


偶然か、運命か。

女神が微笑んだだけでは到底届かぬ偉業であった。


中央の玉座の前。

その場所には、サイサリス公国の女大公ビアトリクス臨席のもと、

戦で多くの人を失い、数少なくなった国政の重鎮たちが厳粛な面持ちで列席している。


その場で、ゼインはサイサリスの将軍に任命された。


民衆は彼を「英雄」と呼んだ。

だが、その日から彼は名実ともに、この国の「盾」となった。

 

宮廷楽団が静かに、しかし力強く祝福の調べを奏でる。


その中をゼインはただまっすぐに歩く。

その瞳には迷いがなく、むしろこの瞬間の重さを受け止めようとする静寂さがあった。


歴史はこの日、確かに変わった。


それは、ルグルスの大森林で盗賊として活動していた若者が、

「英雄」として国を救う者へと変貌した瞬間だった。


そしてこの日が、やがて大陸の未来を左右する新たな時代の序章となることを、

この場にいた誰もが感じ取った。


そしてゼインは心に誓った、「全てを手に入れる」と。


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