46-洞窟のピクニック
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
「戻らなくて平気なのですか? それに現状、悠長に洞窟探検と言われても…… 任務放棄になりませんか? 」
アーリエは、少し困ったような顔をしながら、アルトに尋ねるが、アルトにこの先に進む以外の選択はないようで、笑みを浮かべながら返答する。
「まず、任務放棄にはならないんじゃないか? 任務中に二次災害にあってるんだし、落ちてきた穴を危険と判断して、先に進めるだけの洞窟がある。だから、そちらに脱出路がないか確認しに行ったってだけの話だ」
「そうかもしれませんが…… 怖くありませんか? 」
アーリエの返答に、アルトは一瞬キョトンとした顔をする。アーリエも不思議そうにアルトに尋ねる。
「どうしたのですか? 」
「クククぅ! ハハハッ! 」
アルトが笑いをこらえて前屈みになるが、我慢できずに大笑いをする。アーリエは、少しすねたように口を尖らせ、アルトに上目遣いで抗議する。
「な、なんで笑うのですか! わたしそんなおかしなこと言いましたか? 」
アルトは、人差し指で目尻を拭いているが、もう片方の手で、ゴメンゴメンとハンドサインをしながら答える。
「いやぁ~ アーリエは、騎士なんだからこういうところも怖くないのかと思ってさぁ 」
「任務中は気がはってるし! モンスターと戦うのは、ぜんぜん怖くないですよ! けど、暗いところとか虫とかは別です! 虫は怖いというより気持ち悪いです! 」
アルトはアーリエの抗議を聞いてさらに吹き出す。
「アーリエは、モンスターは平気なのに、虫がダメなのか? 」
下界のモンスターは、ほとんどが昆虫を巨大化したような個体が多く生息し、遭遇すれば生死をかけた戦いになる。どう考えても、街の中に生息する虫よりも恐ろしいのがモンスターである。しかし、アーリエも10代後半の女の子なのだ。戦闘中以外は、案外気がぬけており、不意遭遇した虫の方が怖いらしい、特にゾワゾワ、ヌルヌル、ザワザワする虫は嫌いである。
「アルトって案外意地悪なんですね! 」
アーリエは、頬を膨らませてプイッそっぽを向いて抗議する。その姿は、年頃の少女のそれでいつもより幼く見える。
「ゴメンゴメン! じゃ虫が出てきたらオレがしとめるから、モンスター出てきたらアーリエが担当な! 」
「アルトの意地悪ッ! 」
アーリエは、コックピットから立ち上がり、アルトの胸をポコポコと叩いて抗議する。アーリエ自身も、はしたないとは思うけれど、アルトといると普通の女の子でいていいような気がする。セナがいたらちょっと、とがめられるかもしれないなぁと思いつつ、なんだか安心している自分がいる。自分に対しての男性の行動で、抱きかかえられた時は、ドキドキしたり、さっきはプンプンして、今は安心したり、自分の気持ちが乱高下している事を自覚するが、こんなに気持ちが揺さぶられる男性は、はじめてかもしれない。これもお母様に知られたらはしたないって怒られるだろうなぁと思って苦笑しつつも、はりつめていた気持ちがほぐれた瞬間、静穏の洞窟の中に「ぐっぅぅぅ」っと、腹の虫が咆哮した。アルトとアーリエの視線があったが、アルトはすぐに目をそらしてから、わざとらしく口を開く。
「あー腹減った。洞窟探検の前に腹ごしらえしよっか! 」
「はい…… 」
アーリエは、蒸発しそうなほどに真っ赤になってうつむく、穴があったら入りたいとはこの事だが、すでに穴の中に落ちているからどうしようとアーリエの思考が誤作動する。アルトは25式の下部にまわり何か探しているようだ。
「あったあった。アーリエおいで! 」
「どうされたんですか? 」
「コクピットじゃ狭いだろう。下界で休憩とか宿営ってけっこう過酷だから、下界仕様の車輌全般には、こうして結界をはれるようになってるんだよ」
25式のタイヤの直径はほぼアーリエと変わらない大きさで、少し屈む程度で、下部に入れる。下部のハッチを開くと、大人3人が寝れる程度のスペースはある。さらに周辺警戒の為の結界が発動する。
「17式1型とか、過去の装甲戦闘車なら10人までは、搭乗はできるんだけど、さすがに横になるのは厳しいからな、こうして周囲に結界をはれるようにするんだ」
「なるほど、そういえばこの戦闘車は、はじめて見ました」
「今日が試験運転だからな! 戦闘特化の車輌なんだ。あこれ戦闘糧食入ってる。それと…… アーリエはこれ着ておきな」
「あ、ありがとうございます」
アルトは、戦闘糧食の入ったバックをアーリエに渡し、さらに一緒に予備として入っていた、ワールドトレックのコートを渡す。
「今は平気かもだけど、洞窟の中温度低そうだから冷やさない方がいいだろ? 寒くなければ膝掛けにでも使いな」
下ろしたハッチの内側には、簡易的なイスと小さなテーブルが2人分備え付けられており、お嬢様育ちのアーリエでも、最低限躊躇なく食事ができそうだ。軍に入隊した時の訓練で、テーブルもない中で、食事をどうするのか、セナと困惑したのを思い出して小さく笑う。それを見てアルトが尋ねると、アーリエが楽しそうに答える。
「軍の最初の訓練の時に、外で食事をするのにセナとビックリしたなっと思い出しました。今ではなれましたけど…… セナがせめてレジャーシートでもあればって言って、教官や同期に苦笑されたなって」
「いきなりレジャーシートひかれられても教官も怒る前に呆気にとられそうだな。そのあたり、アーリエとセナは、軍に入ってからのおもしろネタたくさんありそうだね」
「それはもう…… 毎日がビックリすることばかりでしたからね。わたしもセナも最初の1ヶ月は訓練より生活環境に慣れることに必死でした」
アーリエは、アルトの相づちに他愛もない話をしていることに、気がついて少し頬を染めて恥じらう、その様子にアルトが「どうしたの? 」と尋ねると
「わたし自分の話ばかり…… 少し、はしたないなぁって…… 」
「今はいいんじゃないかな、オレは楽しんでるし、少なくとも探索者や自治区では、食事中に楽しい話をすることをはしたないなんて思わないけど、ミーナには少しアーリエを見習ってほしいけどな」
「ミーナはとても楽しい娘ですものね」
「あれを、しゃべりすぎるって言うんだからな」
アーリエは、アルトとの会話にクスクスと笑い、ここが未知の洞窟であることを忘れたような一時となった。
「では、騎士殿腹の虫が満足したようなので、洞窟探検に行ってみましょうか? 」
「ええ、ダンジョンシーカー殿挑むところです! 」
ふたりは、コクピットへと乗り込み洞窟の奥地へと向かうのだった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
いいね、ブックマーク、評価、感想、レビュー何かひとつでもちょうだいいただければ、励みとなりますのでよろしくお願いいたします。
ぜひ、下の☆印にて評価してただければ幸いです。




