プロローグ
この話は、以前に短編で書いた物を連載にした物です。
短編とは違った結末になるかと思います。
読みづらい部分もあるかもしれませんが、温かな目で見守って頂けると幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
「夢に囚われたみんなを帰して貰います!」
桃色の髪の主人公の姫君は、己の魔力を練り上げて強大な力を持った敵へ魔法を発動する。姫君の周りには、攻略対象である少年や青年達が守るように共に闘っている姿が有る。
しかし、彼らの奮闘虚しく徐々に敵の強さに圧倒され、戦局は不利になっていく。彼らの顔に焦りが浮かび始めたとき、強大な敵の核となってしまったはずの悪役令嬢の声が響く。
「私のこの身ごと、この者を打ち倒して下さいましっ!」
己のライバルとして立ちはだかっていたはずの、悪役令嬢の言葉に姫君は戸惑い、迷いを見せる。強大な敵の力を必死に押さえ込みながら、悪役令嬢は姫君を急かすように叫ぶ。
「妾腹の娘と蔑まれる私であったとしても、公爵令嬢として生きてきた矜恃はあるのです!」
「でも、貴女の命がっ!」
「構いませんっ! 早くなさいませっ!」
「姫、彼女の覚悟と犠牲を無駄にしてはいけない!」
躊躇っていた姫君も、攻略対象者の言葉に促されるように悪役令嬢ごと強大な敵を打ち破るのだった。
「……アイオリア、あな…ただけ…は…しあ…わ…せに……。」
たった一人の悪役令嬢を慕ってくれていた異母弟へ向けた言葉は、敵を屠った喜びに沸く彼等の耳に届くことはなく、敵の核となった悪役令嬢の身体ごと光の粒子となって消え去るのだった。
かくして、精霊王の加護を受けしスピリアル王国に平和は戻り、姫君と攻略対象者達は幸せに暮らしたのだった。
Fin
「ふっざけんなあぁぁっ!!」
真夜中の住宅街に乙女ゲーム"百花繚乱~魔法の国で恋は花咲き、咲き誇る~"のトゥルーエンディングにたどり着いた一人の女子高生の怒りの声が響き渡った。