①
あの爽やかなブルーに温かそうな柔らかな白い布団。大切なものを照らす光と包み込む熱。ずっと見守る小さな光。愛を教えてくれる柔らかな光。そう、たとえばそれは空のような人。
ホッと息をついてソファに倒れ込んだ。今までにない疲労感がわたしを襲う。眼を閉じてしまったらそれまでで、その後動くこともできそうにない。残っている微かな気力を振り絞って身体を起こした。背もたれに身体を預け、全身の力を抜くと、視線の先は人工的な明かり。眩暈するくらいの明るさに思わず眼を閉じてしまった。
今何時だろうと確認することも億劫で、だけれどまだ今日一日は終わっていはいない。こんな日々が続いている中、疲れはピークのようで、どうやって息抜きをしていいのかさえ分からなかった。
逃げ出せるものなら逃げ出したい。それが本音だ。だけれど、逃げ出せるわけもなく、逃げ道も逃げ場もない。愚痴を零すところもなければ発散する場所もない。軽く見ていた自分が悪いのだ。
「ただいま」
突然後ろから声を掛けられて身体が飛び跳ねた。玄関の鍵を開けられたことも、ここまで歩いてきた足音にも気づかなかったようだ。わたしは振り返ろうとしたが、それは彩季に阻まれた。ソファ越しに抱き寄せられ、彩季の顔がわたしの頭に乗った。
「疲れているようだね、桃香」
優しい声が下りてくる。そして、そっとわたしの頬にキスを落とす。夫である彩季はわたしに甘い。
「おかえり、彩季。ご飯は食べるでしょう?」
気力を振り絞って立ちあがろうとすると、またもや彩季に阻まれた。
「いいよ、俺がやるから。どうせ温めるだけでしょう?それより、お風呂はまだのようだね。入っておいで。疲れを解した方が良い」
彩季は再びわたしにキスをする。何度も頬に降りるキスにわたしは笑った。
「さあ、行ってきて」
彩季はそう言ってわたしから離れ、キッチンへ向かった。
彩季と結婚した当初はわたしも働いていた。彩季とは社内恋愛で、同じ部署で、上司と部下の関係だったから、わたしが部署を移動した。
ずっと外を飛び回り、日本や海外など走り回っていたので、総務と言う閉鎖的な部署には慣れることが大変だった。外に出られることは解放なのだと気づいたのはその時だ。
そして、結婚して一年程して妊娠が分かった。そして、おなかが目立ってきた頃、会社を辞めた。彩季は産休を取ればいいと言ってくれたが、わたしが嫌だった。
大切なものはわたしの手で守りたかった。大事に大事に失わないように。だから、仕事を辞め、出来るだけその宝物の近くにいようと思っていた。多分そう思うのはわたしの育ってきた境遇のせいだろう。大切なものを突然失うことの苦しさや悔しさや何とも言えない喪失感は感情を簡単に乱す。突如として現れるその仕打ちに様々な事を後悔しても遅くて、でも様々な後悔が巡る。
わたしは幼稚園生の時、両親を事故で失った。失ったその後のわたしの記憶はない。気がついた時は見知らぬ男の子が「お兄ちゃん」として存在していた。
彼は約一年間、ずっと感情のないわたしの面倒を甲斐甲斐しく見ていてくれた。ずっと傍にいてくれた。だけれど、その記憶が悔しいけれどわたしにはない。彼がいなければ今のわたしがいないのは確かなのに。
感謝してもしきれない。兄はわたしと同い年なのにとても大人に見えて頼りになる。あの幼い男の子がわたしの面倒をどう見てくれていたのか想像できない。
わたしが最初彼を認識したのは、公園だったと思う。青い空にはうす雲が覆っていて、少し冷たい風が心地良いような季節。彼は嬉しそうに微笑んでいた。そして、頭に残る感触。その日からわたしは隣にいる男の子を不思議な気持ちで感じていた。誰なのだろうと思いながら、与えられる温かさが嬉しくていつも彼の隣にいた。
頭を撫でられるのが好きで、いつも彼は頭を撫でてきて、それが嬉しくてつい笑ってしまった。それを見た男の子は少しびっくりした表情をして、その後今までに見せたことのないくらい嬉しそうな笑みをわたしに向けた。そして、彼は言ったのだ。
「お兄ちゃんと呼んで」
と。不思議な思いでわたしはその言葉を口にした。そして、しばらくして彼が本当にわたしの兄になったのだと認識した。
その後は、彼が与えてくれる優しさや強さを全身で感じながら甘えた。守ってくれるから守られた。彼が優しいからずっと傍にいた。
わたしたちは兄妹よりも深い絆でつながっていたのだと思う。そして、高校生の時わたしたち二人の両親が事故で亡くなった。また、大切なものを失った。血が全くつながらないわたしを引き取った両親はとても優しくておおらかで穏やかだった。わたしと兄の姿を微笑んで見守ってくれていて、分け隔てなく愛情を注いでくれた。だから、わたしは抵抗なく「お父さん」「お母さん」と呼べた。
彼らが亡くなった時、初めてわたしは思った。兄を守るのはわたしなのだと。隣で懸命に悲しみを抑え込んでいる兄を見つめてそう思った。支えられてばかりではいけないのだと。守られてばかりではいけないのだと。大切なものは自分で守って行かなければならないのだと。
わたしの心の中はいつもそれが占めている。大切なものは自分の手で守る。それだけだ。だから仕事を辞めた。わたしの想いに夫の彩季は反対することもなく応援してくれている。手の抜けないわたしをサポートしてくれている。それは、上司と部下だった頃と何ら変わりない。
会社を辞めてからは、甘い新婚生活のような感覚で過ごしていた。彩季が帰ってくる気配を感じ取り、玄関まで迎えに行って、彩季がするキスを受け取る。荷物を受け取って、彩季と少しの会話を楽しむ。朝も同様、行ってらっしゃいと見送る時、彩季は優しくわたしにキスをする。甘い時間を少しでも過ごすように。そんな時間が擽ったく感じながら、あの時は幸せだと思っていた。
子供の香鈴が生まれてからはそんな見送りもお迎えもなくなってしまった。わたしの気力が持たないから。彩季はそれを咎めることはない。自分も仕事で疲れているのにもかかわらず、笑顔でそれを受け入れてくれる。わたしはいつも誰かに守られていた。
風呂からあがり、リビングへ行くとキッチンで洗い物をしている彩季の姿があった。わたしはそっと彼に近づく。彼は愚痴を言わない。いつもわたしのために動いてくれる。仕事で疲れているのにそれさえもわたしには見せない。
「ありがとう、彩季」
「うん?いや、どうせついでだから。ごちそうさま、おいしかったよ」
おいしかったと言ってもらえるような手の込んだものは作っていない。用意しておいたのはマカロニサラダと卵焼きと豚汁。そして、まだ焼いていない塩鮭。手間はかけていない。簡単に作り上げたものだから、それなりの味だ。それはきっと彩季にも分かっているはずだ。なのに、彼はそれを思わせない優しさで、わたしに感謝する。
わたしは嬉しいような切ないような感情を抑え、彩季が洗った食器をタオルで拭いていった。わたしの手元を彩季は見つめ、そして何も言わずに洗い物を再び始めた。
「今日は何があった?」
水の音に負けないような大きな声で彩季は問う。これもいつもの習慣だ。
「うん。香鈴とお昼寝をした。いくら寝ても寝たりないのはなぜだろうね」
「疲れが取れていないのかな?」
「どうだろう。こういう時間は好きだし、息抜きできているとは思うんだけれど」
「そう?」
「うん。一緒にこうやってキッチンに立って、お話しするのは好き。彩季はどうだった?」
「うーん、そうだな。新人の女の子が子供ができたので仕事を辞めたいと言ってきた」
「あら、ずいぶんと無責任」
「まあ、仕事をきちんと教えた後なら悔しいけれど、まだ四ヶ月だからね。四ヶ月の無駄にはなったけど、それだけで済んだ」
入社する前の妊娠なのか入社した後の妊娠なのか。どちらにしても無責任だ。よくそんな人を雇ったと感心する。
「どうもみんな続かないんだよね。頑張りが足らない」
無意識なのか彩季の口から溜め息が零れた。
「ねえ、お風呂に早く入っておいでよ。洗いものも終わったようだし」
「ああ、うん」
「お酒の用意しておくよ」
「ありがとう」
彩季はわたしをそっと抱きしめ。唇に唇を当てる。それはどんどんと深くなり愛情を注いでくる。それを受けながら、ありがとうと言う感謝の想いを注いだ。
わたしたちの寝室にはダブルベッドがある。そして、隣には静かに眠る愛娘の姿。彩季はそっとわたしを抱きしめ、キスを落とす。それが合図のように始まる。深くなったキスは疲れているのにその先を促す。彼の手はいつもわたしを労り、そして遠慮がちに動く。いつも穏やかな愛情がそこにはある。
彼と初めて肌を合わせたのは結婚して、新婚旅行に行った初日だ。それまでは彩季は一度もわたしの肌には触れなかった。キスはしたけれど、それ以上はしなかった。それはわたしが彼にそう伝えたから。
彩季との出逢いは会社だ。わたしが配属された部署の課長が棚島彩季だった。わたしは夢だった仕事に夢中で周りが見えなかった。きちんとしなければならない、頑張らなければならない。そればかりを考えていた。
ある日、彩季がわたしのところまで来て
「加賀山さん、ちょっといいかな」
と話しかけてきた。わたしは仕事の話しだと思い、彼の後を歩いた。そして連れて行かれたのは談話室。
「何が飲みたい?」
コインを入れながら彼は言った。わたしは戸惑いながらミルクティーを選んだ。彼はカフェオレを選んでいた。
言われるまま向かい合わせに椅子に座った。彼の意図が見えなくて戸惑ったけれど、それだけだ。
「いい仕事をすることは大事だからね。頑張っている姿は嬉しく思っているよ」
彼はにこにこしながら言った。話の意図も分からず、きょとんとしているわたしを見て可笑しそうに笑った。
「だからね、少しは息を抜いたほうがもっと頑張れるよって事。頑張るには充電は必要でしょう?集中するにはひと息は必要。人はずっと走り続けられないんだからね」
「すみません」
「いえいえ。と言うわけで、とりあえず飲んで」
差し出されたミルクティーはすでにプレタブが開いており、彼の気遣いが感じられた。わたしは遠慮なくそれを口に含んだ。いつもなら甘ったるいと感じられるそれがとても美味しく感じて、自分は疲れていたのだと実感させられた。
「まあ、きちんと加賀山さんを見ているし、だから危険だなって思えば私がこうやって誘ってあげるけれどね」
四歳しか違わない年上の男性がとても大人に見えた。いや、四歳も違うのだ。中学に入学した時、彼はすでに卒業している。そういう出逢わない年齢なのだから。
それからは彼がわたしを助けてくれていた。忠告を受けながらもどうしても突き進んでしまうわたしは、時間が経つのを忘れてしまう。その度に彼に呼び出され、一緒に休憩をする。甘い飲み物を口にしてホットするその時間がとても心地良くて、いつもは厳しい課長がとても優しく微笑んでいることが不思議で、でも、兄とは違う優しさや柔らかさが心地良かった。
ある日、彩季はわたしを食事に誘ってくれた。特に何の感慨もなく当たり前のようにその誘いを受けた。談話室に誘われる延長のような気分だったのだと思う。だが、彼は違った。食事を終え、デザートを食べているその時、真摯な眼差しでわたしを見ている彼の視線にわたしの視線がぶつかった。
「あの、確認しておきたい事があるんだ」
改まった姿勢で、堅い声で言われて、わたしはドキッとした。なんとなく違う空気がそこに流れていて、ここに気軽について来るべきではなかったのだと今更ながらに感じた。
「先日、営業部の男性と一緒に歩いているのを見たんだ。彼は、その、恋人か?」
聞かれた時、彼が指している男性が誰なのか分からなかった。だが、近い過去を思い起こしてみると、必然的に一人だけ思い当る。まあ、思い起こさなくてもわたしの隣にいる男性は一人なのだが。
「加賀山陸のことですね。わたしの兄です」
わたしの言葉にホッとしたような笑みを彩季は浮かべた。
「そう、お兄さんがいるんだね」
「はい」
同い年でありながら数ヶ月誕生日が違うこと、血がつながっていないことは面倒で話さなかった。年齢差が数ヶ月ではなく数年ならば問題はないが、数ヶ月だと知れた途端にわたしたちの関係が明らかになってしまうのが嫌だった。いつもわたしたちは何とも言えない邪な視線で見られていたから。
「なら、今お付き合いしている男性はいるのかな?」
わたしの眼を覗きこむような姿勢で追い詰めてくる彼から逃れるため、わたしは視線を逸らした。
「いえ」
「そう。よかった」
彼の言葉に、わたしは反応し、彼の顔を見た。睨みつけたい思いだった。
「私と結婚を前提に付き合ってはもらえないかな」
絶妙なタイミングだったと思う。何を言っているのか分からないまま、なぜか頷いていた。理解した時には彼は満面の笑みを浮かべてわたしを見つめていて、遅かったのだと気づいた。
「ありがとう。ずっと食事中ドキドキしていてね。実は味も分からなかった」
おどけるような口調と笑みにわたしは曖昧な笑みを返した。そして、慌てて言葉をつけたす。これだけは譲れない想いを先に伝えなければならない。だけれど、どう伝えていいのかが分からなくて、伝え方によってはそれはあまりにも生々しくて――。
「わたし、この身体は大切にしたいんです。結婚をするまできちんと大切に。わたしを大切にしてきてくれた人たちが守ってきてくれたものだから」
すらすらとは言えず、たどたどしかったと思う。それで通じるのか、変な風に思われないか、そう裏を読みながらもわたしが口にする言葉は曖昧さもありながら生々しさもあって。
付き合うその時に告げなければ、相手がその気になった時どうにも抑え込むことができなくて、でも、まだそんな段階ではないのにこれを口にするのは憚られて、でも、きっと、という期待を込めて。今まで付き合ってきた男の子たちと比べたら大人の男性である課長ならば、総てを受け入れてくれるような気がした。
「分かった。約束をするよ」
優しい口調にホッとした。自分の気持ちも言葉もきちんと通じてくれたのだと思った。伝えていなかったら、その瞬間になった時、わたしの意思は全く意味をなさなくなって、どんなに拒否してもどんなに騒いでも無理な事を知っている。どうにか逃げた時、わたしは色々と誓ったのだ。男性を過剰過ぎるくらい警戒するのだと。
彩季は誠実でとても温かくて大人だった。結婚をして、初めて一緒のベッドに眠るその日、ベッドでわたしを見下ろしながらじっと了解を得るように見つめていた。
「触れてもいい?」
優しい声だけれど、その声は緊張があって、いつもよりも低い声に感じた。わたしが頷くように瞼を閉じると、彼の優しいキスではなく、熱い情熱の籠ったキスが落ちてきて、わたしは戸惑った。初めて感じたキスだった。彼の優しさや温かさは知っていても情熱は知らなくて、ずっと閉じ込めてきてくれたものなのだと感じ、わたしは熱くなったことを思い出す。
壊れ物に触れるような手つきで彼はわたしに触れ、わたしの反応を確かめた。怖がっていないか、嫌がっていないか。その心配そうな眼差しに見つめることで大丈夫だと伝え、そしてわたしは初めて彩季の腕の中で大人になった。
最初に触れられた時から今も変わらないその手つきは、わたしを愛してくれているのだと、大切にしているのだと雄弁に語っているようで一層求めたくなる。いつも大切にされている。そう感じられるのが嬉しくて、わたしは一層彼を求める。
「ごめんね。疲れているのに」
そんなこと思っていないくせに。なんて思いながら、わたしはクスリと笑う。大人の彼が少し幼くなる瞬間は少ない。いつもわたしが子供で守られているけれど、時折、わたしが大人で包んであげている時がある。それはほんの瞬間的なものだけれど。
「疲れているのはお互い様だね」
わたしの言葉に彩季は眼を細める。ゆっくりと撫でられる頭。そして髪が梳かれていく。
「ちょっと頑張り過ぎのようだから、休日、お兄さんでも呼んでみたら?」
本当に彼は大人だとこういう時に思う。兄に会いたいのだと何で分かってしまうのだろう。こんなに兄に会わないのは辛くて、でも、今は兄の邪魔をしたくない。
「今、お兄ちゃんは彼女とすごくうまくいっているから、邪魔しちゃいけないんだ」
「だったら、彼女も招待すれば?」
「でも、デートの邪魔じゃないかなあ。お兄ちゃんこんなに長く女の子と付き合うのは初めてのような気がするの。だからね、わたし期待しているんだ。結婚も間近なんじゃないかってね」
「そうなるといいね」
「そう。だから、今は大人しくしていないと。二人が歩んでいるそれを邪魔しちゃいけないから」
「招待して、結婚っていいものですよってアピールすれば結婚したくなるんじゃないの?」
愛しそうにわたしを撫でていた彩季の手は、わたしの鎖骨を何度も撫でる。なぜか彼はこのくぼみに触れるのが好きだ。
「そういうもの?何か現実を突き付けられて怯んだりしないかなあ」
「なんでそうなるの?桃香はこの現実が嫌い?」
彩季は意地悪い笑みを浮かべて言った。そんなはずはない。すごく疲れて逃げ出したくなることもあるけれど、やはりこの温かさは心地良くて、わたしの新しい居場所なのだと感じられる。
「香鈴の姿を見たら子供がほしくなると思うけどな」
「わたしにとっては愛しいけれど、的場さんにとってはどうなのかな?」
兄の恋人である的場がどういった人なのかは知らない。年下で、同じ部署で、営業だということしか知らない。もしかしたら、結婚より仕事、と言うタイプなのかもしれないし、そうなると香鈴の姿を見たとして、愛しく感じてくれて、結婚して子供がほしいと即座に思ってくれるのか心配だった。
「母性本能はかき立てられるんじゃないかな」
彼はわたしをぎゅっと抱きしめた。わたしの髪に顔を埋めるように彼はわたしに近づく。眠くなってきたのかもしれない。
「考えてみる」
「うん、いい考えだと思うからね」
くぐもった声が聞こえて、わたしは眼を閉じた。兄には会いたい。最近声も聞いていない。
毎日のように会っていた兄とは会えなくなり、声も聞くことが少なくなった。結婚したらこんな現実になることくらい分かっていたはずなのに、なぜか兄はいつもわたしの近くにいて、わたしを守ってくれるのだと思っていた。それが叶えられていない今がとても辛くて疲れる。慣れない日常と共にある疲れは兄に会いたいのに会えないと言う苛立ち。
疲れていたのだと気づく程早く彩季の寝息が耳元から聞こえた。彼には感謝している。兄とは違う愛情でわたしを大切に守ってくれている。我が儘も聞いてくれている。最善策を探してくれる。疲れなど見せずにただわたしのためだけに。わたしはいつも守られているのだと彼の優しさを感じるたびに思い知らされる。
はじめてしまいました。番外編。実はこれ、別口で書こうと思っていたお話でもあります。『限りなく続く』のキャラクターは結構好きで、いろいろと妄想できる人たちなので、そういうことだけは浮かぶんですよね。連君なんてネタの宝庫。
まあ、簡潔に桃香の環境の変化に順応しきれない思いと陸君のその後が書ければいいかな。と思っています。4つに分かれます。思ったより長めなのです。
せっかくなので最後までお付き合いください。




