俺か存在した形跡がない!
「ぼくはキミが……好きなんだ」
青みがかった黒髪が俺の頬に触れるほど顔を寄せてきた玲央に、壁ドンされた俺。
今まさにキスできそうなほどの距離で玲央を見た。
濃い茶色の瞳が潤んで真っ直ぐに俺を見つめてくる。
なぜこうなった? 男同士でこんなのヤバいだろう。
喉が渇く、嫌な汗も出てきた。でも、良い香りがする。
「ちょっ、ちょっと待った! 」
「待てないよ、キミに出会ってからぼくは胸の高鳴りが止まらないんだ」
俺も胸の高鳴りがすごいんだけど、とても言える状況ではない。これはからかわれてるのか? それとも玲央は男が好きだったとか? 確かに出会った時からやたら距離感がバグったヤツだったが……
「玲央、とりあえず落ち着けって」
「落ち着いてるさ。でも、キミがクラスの他の子と仲良くしてるのを見るとつらいんだ。この気持ちをどうしても伝えたくてさ」
「わかったから、玲央の気持ちは伝わったから、ほら離れよ、な?」
近距離で見る玲央の端正な顔立ち。切れ長の目に長いまつ毛、キラキラの王子様が俺に顔を寄せて、今にもキスされそうだ。なんなんだ、このぷるぷるの唇は!
半開きの口から甘い吐息が俺の唇に当たってるよ。
エアー間接キスか! これも間接キスなんじゃないか!
「こ、これ以上はダメだ!」
俺は両手で玲央を胸を押し返し身を離そうとした。
あれ、なんだか想像したら感触と違う……
むにゅって柔らかかったような……
いつも薄い胸なのに、今日はよく見るとシャツの上からでも盛り上がってるのがわかる。
「触ったなー、ぼくの胸に触っといて何んで無反応なんだよ?」
「違う、違う、そうじゃない! 触ってないし……」
「そんなこと言うんだ……。もうぼくを汚しちゃったのにしらばっくれるんだね」
「汚してないし……。男同士でそんなふざけないでくれよ」
顔が赤くなり熱を帯びているのを感じる。
玲央の顔も上気して、目の下が色づいてかわいい。
かわいい? 俺はどうしちまったんだよ! ヤバい、俺の感情がバグってるよ。
「だったらぼくは今日から女役になってもいいんだよ」
「いやいや、ならなくていいから!」
女役ってあっちの世界のネコってやつだろ?
俺はそんなの望んでないし……、たぶん望んでない……よな。
突然、玲央が俺の首に手をかけるとガバッと引き寄せてくる。俺より少し背の低い玲央が背伸びをして俺の頬に柔らかい感触が……。
ああ、俺の頬が柔らかくて温かい玲央の感触を喜んでいる。
嫌悪感はなく、なぜか俺もまた玲央を受け入れてしまっていた。
俺は知らなかったのだ。
この世界は男がいなくて女が男役、女役に区別されていることを……。
「続きが読みたい」
「気になる」
「頑張って書いて!」
と応援してもらえる方は評価をお願いします。
励みにして頑張ります。




