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11.学徒会にて

(やはり位置情報が福井県に……)

午後八時頃。

小太郎は漆紀と彩那の位置情報が福井県にあると端末を見て確認していた。

(お二人は辰上家へ行くと言っていた。それは埼玉県にあると言っていたし、拙者に内緒で二人だけで福井県旅行……なワケがない。確実に非常事態だ)

小太郎は学徒会の寮を出て、学徒会本部へと向かう。

本部に入るなり、小太郎が目指したのは会長室だ。会長室に着くと、小太郎は三回ノックしてから会長室に入る。

「失礼いたしますぞ」

「ん? どなたかな?」

そこには第31代学徒会会長・神代輝雷刀が書類と睨めっこをしていた。

「拙者は漆紀殿の仲間で親友の平野小太郎でござる。非常事態でありますぞ、会長殿」

「どういうことかな?」

会長は書類を置いて、あくまでも冷静なまま小太郎の方へと視線を移す。

「漆紀殿と彩那嬢の位置情報なのですが、福井県におるようです」

「福井県?」

「今日は埼玉県にあるご家族のお宅へと行くと言っていたのに、急に位置情報が福井県になっているのです。これ、誘拐の可能性があります」

「ふむ……しかしだ。彼らは簡単に誘拐されるほど弱い存在かね?」

「騙し討ちを受ければそれもあり得るかと」

「ふむ……騙し討ちで眠らされて誘拐とかかな? 確かに彼らは特殊な力を持っている。それを狙う勢力があるとすれば竜理教……確か、福井県は竜理教が盛んな地域だったはずだよ。僕の方でもマークしている土地だ」

福井県は竜の国と書いて竜国と名乗るほど竜理教が盛んな地域である。それを把握しているからか、誘拐の可能性は大いにあると輝雷刀は眉間に皺を寄せる。

「平野君、といったかい? 漆紀君と彩那さんは君に連絡せずに遠出するほどの仲なのかい?」

「いいえ。ありえませぬな。誘拐の方が確立が高いかと」

「わかった。位置情報はわかっているのだろう? どこにいるのかな」

「福井県大野市の亀山にある竜理教大寺院でござるよ」

「竜理教の大寺院か。黒八割、白二割といったところか……もうすでに、漆紀君と彩那さんの存在は僕の計画の一部だ。失うわけにはいかない……福井県で動員出来る学徒達に掛けあってみる」

そう力強く言うと、輝雷刀はスマートフォンを取り出して連絡先を開いて連絡を取る。

「もしもし、僕だ。今すぐ人を集められるかい?」

『どういう話ですか会長。急に連絡をして人を集めろだなんて』

「福井県代表の君に今すぐ頼みたい。竜理教の大寺院に僕の友人が誘拐されている。それを救出するために、人員が必要だ。大勢で大寺院を取り囲み、混乱を起こして救出する」

『そ、それは結構ですが、警察には』

「君も警察の手段を知っているはずだ。彼らは射殺を優先するしかなり手荒だ。僕はね、竜理教側にも死者を出したくないんだ。だから、僕達の手で救出したいんだ」

『なるほど……今すぐ動ける学徒に連絡しますよ。何人集まれるかはわかりませんから期待しないで下さいよ?』

「出来るだけで構わないよ。それでは、またあとで」

輝雷刀は通話を終了すると、小太郎の方へと視線を戻す。

「今から漆紀君と彩那さんの遠隔救出作戦を開始する」

「行動が早いですな、会長殿」

「漆紀君と彩那さんには、それだけの価値があると判断しただけだよ……」

そう語る輝雷刀の表情は、どこかにこやかだった。

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