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毒1「眷属会議」

短いです

 〜ヴェノム視点〜


 俺の名前は寒河江孝臣……だったが、現在はヴェノムという名前だ。邪神に勝手に転生させられて必死に生きてたらニールの眷属になっていた。その後も流れに任せてステータスを上げてたら前世で同じクラスだった黒崎をニールが連れてきた。あいつ、目の色は違うけど外見変わってないんだよな。俺はスライムなのに。……羨ましい。

 少し話が逸れたな。それでステータを上げて久しぶりに集まったと思ったらニールは地上へと向かった。人の街に入ったかと思うとニールの奴、俺に人を喰わせたんだぞ?信じられるか?思い留まって貰おうと真意を聞いたら即答で食えだってよ。ニールのガチギレって人すら殺すのかよ。ま、そう言う俺も苦痛を与えるように毒を混ぜた溶解液で溶かしながら食べたからニールの事は言えないか。

 その次の日、剣聖と言う奴に人を殺したのがバレた。だけどニールのステータスを見たら許してくれた。たとえ戦闘になってたとしてもニールが勝つから心配してなかったけど、争いはないに越したことはないし、俺は大丈夫だけどリードは相性的に勝てなそうだったからな。剣聖が理性的な人で助かった。

 剣聖と別れたニールはワイバーンの依頼を受けた。ワイバーンの居る森へと向かっていると大きな気配が近づいてきた。そいつはニールを威圧しながら会話していると、急に殴ってきた。どうやら俺たちのせいらしい。その戦闘では俺は足でまといにしかならず何一つニールの役に立てなかった。確かにニールには追いつけないかもしれないがニールに敵対する者を排除するぐらいは出来る筈だ。いや、出来ないといけない。


「という事で、今回役立たずだった反省会兼眷属会議を始めようと思う」


「いや、という事でじゃねえよ。急にどうした。ニールの奴に何かされたのか?」


「いや、何もされてない。今回俺たち何も出来なかっただろ?だからそれの反省会とそれに対する眷属組の意見を聞きたくなった」


「ふむ、確かに我らは主殿よりも遥かに弱く、我らの役に立つ機会は少ない。いや、もはや無いと言っても過言ではないな」


「はい、我らのマスターは素晴らしいです。私達悪魔よりも短い寿命の中で私達以上の魔法精度と知識を有しております。それは本来有り得ないことですが、マスターはそれを実現しておりそこからもマスターの凄さが窺われます」


 フェンリルはただ事実を淡々と述べてるな。マクスウェルの方も事実を言ってるんだけど、多分本人の中で過大に脚色されてるんだろうな。魔物って強者に従う性質があるけど悪魔はより顕著にその性質が出てるよな。大罪を関する悪魔とか精神に干渉されてないのにニールのこと崇めてるし。


「確かに私達もマスターのお陰でここまで強くなれたもんね。最近知ったけど眷属になったからってここまで変化しないんでしょ?」


「僕も知らなかった」


「俺は違和感を持ってた」


「我等にとって大事なのは結果のみ」


「他者の事など関係ない」


「ただ、今を受け止めれば良い」


 こいつらも最近少しずつだけど変わってきてるんだよな。まず俺が教えて獲得した『身体操作』で声帯を作り出していた。『身体操作』のスキルは人工生命体だから獲得できたんだろうな。俺の方は粘性生物の為か、形の維持が難しく声帯で声を出すのは諦めた。

 次にキマイラ達はその姿を大きく変えた。主な人格が女の方は蠍の尾を2つの蛇の頭に分け、女じゃない残りの2つの人格はこの蛇の頭から話してる。毒の能力は健在で寧ろ毒が強力になっている。……俺のよりは弱いけど。一人称我の方は尾は変化させず新しく2つの頭を増やした。山羊とドラゴンの頭でどちらも話せる。山羊の方は見たことないがドラゴンの頭の青い炎を口から吐いてたな。

 最後に技を工夫するようになった。今までスキル等をそのまま使っていたようだが、体の能力と合わせたり2つのスキルを同時に使ったりして新しく技を作ってた。例えば爪に即死魔法を付与したりだな。眷属の中でステータスは低い方だが、実力的には大罪を冠する悪魔達にギリギリ負けるくらいだ。……少し長くなってしまったが、キマイラ達についてはこのぐらいだ。俺やリード、フェンリルも変化はしたがそこまで大きな変化ではないから割愛させてもらう。強いて言うならルティヤに致命傷にはならないが、戦闘に影響する傷を負わせられるくらいの技を作ったな。


「で、どうすんだよヴェノム。ニールの奴に追いつけないとなると、他の奴らに負けねえようにするのが普通だろ?」


「結局はそれを目指すことになるんだが、今回みたいな奴が出てきた時の対処方をどうするかを今決めたい」


「あ?んなのぶっ潰せば良いだろ。勝てねえなら何が何でも逃げて、次会ったら勝てるようにステータスを上げれば解決だろ」


「それもそうなんだけど……」


「リードよ、口で言うのは簡単だが実現するのは難しいぞ。事実、貴様は今回龍神ルティヤから逃げ切ることが出来なかったのではないか?」


「……チッ!認めたくねえけど無理だな」


 おぉ、流石長年生きてるだけはあるな。リードの言ってる事も全部間違ってる訳ではないから否定しにくて何も言えなかったのに、フェンリルは一度で言いくるめたぞ。俺も見習いたいな。


「それで今回の議題に入っていくんだが、自らの実力では勝てず逃亡する事も出来ない場合の行動について話していく。……もちろん諦めるという選択肢は無い」


「ふむ、確かにそれを考えておくのは良いな。あんなのには滅多に遭遇しないだろうが、絶対は存在しないのでな」


「でも勝てないし、逃げれないのに何をするって言うの?時間稼ぎをして奇跡が起こるわけでもないでしょ」


「僕達の場合は時間稼ぎの意味が少々異なると思うよ」


「俺たちは眷属の繋がりからどこにいようとも念話で会話出来る。つまり時間を稼げば状況が改善する可能性がある」


 フェンリルが俺の意見に賛同したら、キマイラが1人で疑問を言ってそれに別人格だが自分で答えた。


「そうだな、時間稼ぎも選択肢のうちの一つに数えて良いだろ。……でもなんかこう、違う気がするんだよな」


「あ?んじゃ、どんな相手にも有効でその一手で状況を改善できる手段を用意するのかよ」


「それは難しいでしょうね。我がマスターなら用意出来ますが、私達の実力では無理でしょう。年単位の時間を掛ければ私達悪魔ならば用意出来ますが今すぐには不可能です」


 へぇ、自信家が多い悪魔がそういうんだから多分その通りなんだろうな。まぁ、時間を掛ければ用意出来るってのも凄いよな。難しいな。皆で話し合えば何か案が出ると思ったけど中々でてこないな。やっぱり一人で格上と戦うって言う前提が悪いのか?


「……格上への対処法は一つだけあります。しかし、これも時間を掛けねば出来ませんのですがどうしますか?」


「具体的にどんな事をするんだ?言うまでもないと思うけど新しくスキルを手に入れるとかは論外だぞ」


「はい、格上への対処法。それは技術です。私はマスター程ではないですが強力な力を持つものを沢山見てきました。その多くの者が力任せの戦い方をしており、その者共よりも魔力量の少なかった私でも圧倒できました」


 ……技術か。確かに技術なら力とか関係ないよな。そういえば地球でも柔道をやってる芯の細い病弱そうな人が筋肉の付いた男を投げ飛ばしてる映像を見たことがあったな。確か相手の力を利用してたんだっけ?あれ、それを魔法とかにも応用できたら強そうだな。


「よし、それで行こう。マクスウェルは習得してるっぽいから、これから影の中ではマクスウェルに技術を教えてもらうことにする。それでいいよな」


「はい、それがマスターの為になるのならば私の労力などゴミ同然です。それに他者に教えた方が私も成長出来ますので」


 ふぅ、何とか決まったな。時間を掛けなければいけないというのが難点だが対処出来る力を獲得出来るのは嬉しいな。……でもニールは何かと問題を起こすから裏で新しい技を開発するか。




 後に技術をマクスウェルから教えて貰って習得した俺らは、ルティヤにも迫る程に強くなるのだがそれを俺が知ることはない。

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