出発
あの日世界神と話して修行し始めてから4年が経過し、俺がこの世界に誕生して5年経った。あの日からずっと魔力やスキルの制御を磨いていき、同時に片手間でレベルも上げたためステータスがかなり変化した。途中何故かマクスウェルが七つの大罪を冠する悪魔達を連れてきて、依代を作って欲しいとお願いしてくるというちょっと意味のわからない事が起こって大罪スキルを全部コピーできたり、『並列思考』のレベルが上がったりしたけれどそれ以外は特に何も無かった。
現在の俺のステータスはラプラスの時とは別の意味で表示されておらず、肉体は完全に人外になった。これが今の俺のステータスだ。
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種族:ケツァルコアトル
名前:ニール(成田 龍輝)
年齢:5
レベル:100
HP:???
MP:???
SP:???
スキル:『鑑定LvMAX』『複製LvMAX』『探知LvMAX』『神速再生LvMAX』『並列思考Lv5』『身体加速LvMAX』『思考超加速LvMAX』『念話LvMAX』『千里眼LvMAX』『神腕LvMAX』『神火LvMAX』『吸血LvMAX』『水流操作LvMAX』『魔力操作LvMAX』『身体強化魔法LvMAX』『森羅万象LvMAX』『闇魔法LvMAX』『神聖魔法LvMAX』『即死魔法LvMAX』『死霊魔法LvMAX』『空間魔法LvMAX』『操影LvMAX』『万能薬LvMAX』『未来予測LvMAX』『人化LvMAX』『身体操作LvMAX』『飛行LvMAX』『龍鱗LvMAX』『物質掌握LvMAX』『並列存在LvMAX』『創造LvMAX』『崩壊LvMAX』『七つの大罪LvMAX』『忍耐LvMAX』『縮地LvMAX』『神域Lv9』
称号:『世界神の眷属』『神竜』『太陽神』『創造神』『金星の神』『精神生命体』『魔物を率いる者』『神を殺す者』『虐殺者』『死神』『不老不死』『地獄の監守』『叡智』『賢者』『調合者』『影の国の民』『死者を喰らう者』『風と生の支配者』『七つの大罪』
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『七つの大罪』のスキルと称号は全ての大罪スキルの完全行使が出来るようになる能力で、傲慢は経験値と熟練度の獲得量上昇、憤怒は使用時に理性を犠牲にステータスの向上、嫉妬は魔力を消費し相手の能力を一時的に行使可能(正直これは要らない)、怠惰は魔力や体力を無限に蓄積でき、色欲は対象に魅了状態を付与し傀儡にすることができる。
……大罪スキルだけでもかなり強いと思うんだが、まだ説明してないスキルがあるんだよな……。しかもこれも理不尽の権化と言っても過言ではない程強い。
『並列存在』
魔力を消費して本体にもなる分身を作成することができる。魔力は共有される。
つまり分身が一人でも残っていれば俺は永久不滅の存在になれるらしい。もちろんシルビアなどが使っている分身でも何も問題はない。……シルビアで思い出したけど新しく増えたんだよな。一応紹介しておくか。
新しく増えた思考は三つで古い順にシェリー、ボロス、ルルだ。シェリー以外はドラゴンの名前から取った。シェリーとルルは性格は女寄りでボロスは一人称が我のちょっとあれな感じだ。既に体は用意してあり、各々には修行などを頼んでいて、シェリーにはコアと戦闘訓練を、ルルはシルビアと魔法の研究、ボロスは俺では制御することができなかったので自由行動してもらっている。
で、5年間離れ離れだった俺たちだが、今日は集まってもらっている。別に念話で会話しているので5年振りに会うと言っても特に何も感じない。
「……?ど、どうしたの、ニールちゃん。ぼーっとしてるけど。つ、疲れてるの?」
「……いや、なんでもない。ちょっと考え事をしていただけだ。それよりもボロスはまだ来ないのか?」
そう、既にボロス以外の並列存在は集まっていて、円形に座っている。後はボロスが来るのを待つだけだ。ラプラスは離れたところで待ってもらっている。
「あたしが言うのも変かもだけど、ボロスは自由だからな。別にそんなに急ぐことでもないんだろ?気長に待てば良いさ」
俺がみんなに問いかけるとコアの隣にいたシェリーが答えた。シェリーは完全武闘派でコアからは姉貴と呼ばれている。細かいことは気にせず、大雑把に行動するタイプだ。外見は金髪赤目(俺の分身は絶対赤目)の褐色で、服装は上半身はビキニで下半身はジーパンという見てて恥ずかしくなる服装だ。身長が高く、筋肉が程よく着いているためどこか似合っているのが不思議だ。
「俺も姉貴と同じ意見だぞ。ボロスに期待しちゃダメだって知ってるからな」
今のはコアだ。ちゃんと『分身』のレベルが上がった瞬間に体を作ってあげたので今は肉声だ。……外見は黒髪赤目の三白眼の低身長。目の色が違うが、俺の前世の小学生の頃の姿だ。最初に見た時に羨ましく思ったのは内緒だ。一度体を入れ替えてみたけど俺が入ったら戻ってしまった。
「みなさんっ、そんなに言ったらボロスさんが可愛そうですよ!?その、確かにあれですけどボロスさんも頑張っているんですよ」
最後に自分に言い聞かせるように言ったのはルルだ。シルビアや俺と同じ白銀色の髪を後ろで三つ編みにしてまとめており、丸眼鏡をかけている。身長は俺と同じくらいでだいたい小学4年生くらいの身長だ。服装は白い下着の上に白衣を来ており上から下まで真っ白だ。
「……おい、ルル。それ励ましになってないぞ」
「そうでしたか?」
そんなことを話していると空いている席、ちょうど俺の正面から一つの気配が近づいてきてみんな静かになった。
「フッ。我のことを待っていたようだな」
近づいてきた気配は姿を現して言葉を区切り何故かかけているサングラスをクイッとして一度ターンし、ジョジ〇のように手を顔の前に当てて香ばしいポーズをとった。
「深淵の化身である我を呼び出したからには相応の対価があるのだろう?さぁ、我を楽しませてくれたまえ」
近づいてきた気配……ボロスはまた謎のターンをした後に空いている席に座った。そう、つまりボロスは厨二病であった。
しかも、し・か・も!外見が問題だった。黒髪の三白眼で高校生くらいの身長!前世の俺と同じ姿だ。服装は白いワイシャツに赤いラインの入った黒コートで俺が見た限り常に付けてるサングラス又は眼帯!完全に厨二病だ。……俺の前世の姿の奴がな。……ははは。
「に、ニールちゃん?め、目が死んでるよ?」
「……」
「あ、あのっ、ニールさん気にしなくていいと思いますよ!ボロスさんがああなのはこの5年で思い知ったじゃないですか!」
「……」
「なぁ、ニール?そこまで落ち込むことはないと思うぞ?なっ、姉貴もそう思うよな」
「……」
「あたしたちはあれを反面教師としていけばいいじゃないか。何をそんなに気にしてるんだい?」
「……」
「フッ。ニールよ闇に染まっているぞ。貴様も我が同胞になるか?」
並列思考達が俺のことを慰めているとボロスが空気を読まないのか読めないのか訳の分からないことを言いながら立ち上がってターンしサングラスをクイッした。
「……いたいよぉ。心が痛いよぉ」
「え?」
「どこかの穴に埋まっていたい…」
「お、落ち着いて……。龍輝君の姿だけどニールちゃんは違うからそこまで気にしなくてだ、大丈夫だよ?」
俺がボロスのことを見て落ち込んでいるとシルビアが慰めてくれた。
「……ありがとう。もう大丈夫だ」
「う、うん」
シルビアに慰められた俺は気を取り直して並列思考達に今日集まってもらった本題を話し始めた。
「……それじゃあ、今回集まってもらった本題を話していくぞ」
「ほぅ、我を呼び出すほどのことだ。ククク、楽しみだ」
「ちょっとお前は黙ってろ」
俺はまた意味のわからないことを言い始めたボロスを割と本気で威圧し黙らせて本題を話し始めた。
「それで今回集まってもらったのはそろそろここから出ようと思たからだ。つまり地上を目指そうと思うんだが、みんなはどう思う?」
「ついにか!ついに我が深淵を晒すときが来──」
「い、良いと思うよ」
「良いと思います」
「良いと思うぞ」
「別に良いんじゃない?」
俺が問いかけるとみんな肯定してくれた。ん?ボロス?知らねぇよそんなの。
「よし、賛同してもらったし、早速地上を目指すか。……眷属達の所に【転移門】を開くから手伝ってくれ」
「「「「「了解」」」」」
俺と並列存在は離れて修行している眷属達へと【転移門】を開いた。最初にヴェノムとリードが出てきて、次に狼状態のフェンリル、キマイラ達、マクスウェルと大罪の悪魔達の順で出てきた。眷属達にもこれから地上を目指して移動することを伝えて影に入ってもらった。以前マクスウェルの配下だったガーゴイル達はこのダンジョンに残ることになったので連れてきてない。
「……それじゃあ、一気に上層に転移するぞ。一度で知ってる階層までしか転移出来ないからそこからは歩いて行くからな」
俺は初めてフルフルと出会った階層へ【転移門】を繋げた。別に『千里眼』で地上に直接繋いでも良かったが、久しぶりにゴブリン達のことを見てみたくなったので地上には繋げなかった。
……この階層に来るのも4年振りか。あの頃はかなり弱くてフルフルに圧倒されたけど、今ではステータスが表記できないほど強くなったからなぁ。……そういえばゴブリン達も一応眷属だけど影響されてるのかな?
「あれ?ニールちゃん、ここって大きな谷があったとこだよね?な、なんか橋がかかってるんだけど……」
俺が転生したての頃を思い出しているとシルビアが問いかけてきた。
「そうだぞ?……え、橋?いや無理だろ、だってここ幅が1kmくらいあるんだぞ?そもそも橋をかける意味が分からないんだが……」
「えっと、で、でもかかってるよ」
気になってシルビアの方向を見てみると本当に橋がかかってた。どうやったのか1kmに渡って立派な、リードがドラゴン形態で走っても壊れなそうな橋がかかってた。
「……本当だ。いやでもこれどうやってかけたんだよ。飛ばないと無理だろ」
「いや、そうでもないよ?あたしとコアなら魔法なしでもこれくらいの橋ならかけられるよ」
「それは私たちのステータスが異常だからですよ……。ここは上層ですよ?そんなステータス持ちがいる訳無いですよ」
「それもそうだったね」
「フッ、我ならばステータスが無くとも可能だ。深淵の化身である我に不可能などない」
「……なんの根拠があるんだよ」
俺たちが谷にかかった橋について話していると橋の反対側からどこか感じたことがある気配が近づいてきた。
「……とりあえず橋についてはこっち側に近づいて来るやつから聞けば分かるだろ」
「さぁ、仮初の探求を開始しようではないか」
ボロスはまた意味のわからないことを言いながらターンした後、上半身を逸らして気配に向けて人差し指を向けて香ばしいポーズを取った。
ボロスがポーズをとってから数秒が経ち気配の主が視認できる位置まで出てきた。そこにはボディビルダーのような筋肉を持った2m越えの大男が居て、観察している間にも堂々とこちらに近づいてきている。
「主よお待ちしていました」
「……は?」
近づいてきていたマッチョは俺の目の前までくると片膝を地面に付けて跪いた。まるで忠誠を誓った者にとるようなポーズだ。
「……もしかして?いや、ありえない。けどこの階層ではあいつらしか……。な、なぁ、もしかしてお前ってゴブリンか?」
「はっ。以前愚かにも貴方様に挑み無様に生き残り降伏したゴブリンであります。現在は貴方様のお力によりオーガへと進化しました」
なんと、橋の向こう側から俺達に近づいてきて跪いたのは以前の面影が全くないゴブリンだった。
厨二病っぽいセリフが難しい




