進化②
マクスウェルは俺よりも強かった。俺なんか片手間で殺せるくらいにはステータスが離れていた。
いくつか気になるところがあるけど、とりあえず鑑定しておくか。久しぶりに種族も鑑定してみようかな。
『デビルリッチ』
悪魔の魂を用いて作成されたアンデット。アンデットの眷属を作ることができる。
『アンデット創造』
自らの眷属であるアンデットを作成することができる。レベルによって作成することのできるアンデットの強さが異なる。
『分解』
熱を操作し物質を原子レベルで分解する。レベルによって分解できる量が異なる。
デビルリッチか……。悪魔でアンデットというとなおかしいと思うけどそこは一旦置いといて。……アンデット創造ねぇ。死霊魔法とは別なのか。
ラプラスが言うには服従しているらしいから強いのは嬉しいんだけど、不安だなぁ。……どうしようもない事だけどな。
能力も分かったしコピーしようかな。死霊魔法のアンデットとアンデット創造のアンデットがどう違うのかも気になるし。
《スキル『複製』の能力により、スキル『アンデット創造』『分解』を獲得しました》
無事に成功したな。ステータスも見たし早く新しい魂を貰って練習を開始しよ。
「ステータスを見た。やれることもやったので新しい魂を用意してくれ」
「既に用意してあるよ。私がさっき教えた魔法を発動させてから受け取ってね」
ラプラスは既に魂を持っていた。それも一つだけではなく三つ持っていた。マクスウェルの時よりも存在が薄いのか半透明になっている。
その後何の問題もなくアンデットを作成することができた。一体目と二体目はマクスウェルよりは弱いが精神が影響させて俺に服従した。三体目で影響を与えずにアンデットを作成できたが、結局精神操作して服従させた。ちなみに渡された魂は全て悪魔のものでマクスウェル以外ガーゴイルになった。
「君は怪物的だな。私も他人よりは成長速度が早い方だが、君はそれを上回るね。私が見積もった人数は最低人数だったんだけど、君はよく成功させたね」
俺は作ったアンデット達を影に入れ、ラプラスに返事をした。
「……そうなのか」
面と向かって化け物とか普通言わないだろ。以前から気にしてたから余計悲しくなるな……。しかも多分悪気がある訳では無さそうだし、強く言えないんだよなぁ。
「もうアンデットを作ることに関しては何も言うことがないよ。それよりも私は君について行っても良いんだよね?今さらダメとか言わないよね?」
「……別に良い。ついて来るのも離れるのも自由にしていいよ」
「……なんか冷たくないかい?私が君に気に障ることでもしたのかい?」
「少し緊張しているだけだ。事前に上手くいっても結局は本番での結果が全てだからな。見落としている点がないか確認しているんだよ」
確かにラプラスの発言に傷ついたが、別にそれのせいで口数が少ないわけではない。
久しぶりにクラスメイトに会うのも緊張するし、ちゃんと成功するか心配だしで、ぐちゃぐちゃな気持ちを落ち着かせて、問題点がないか確認しているから口数が少なくなってしまうのだ。地味に物質干渉の処理能力まで使ってるしな……。
「それじゃあ俺は最後に一つだけやることがあるからここから移動する。ついて来ることには何も咎めないから好きにしてくれ」
「私はもちろん君について行くよ。君の一つ一つの行動を記憶に残しておきたいからね」
俺はフェンリルと初めて会った階層に来た。そこで眷属達を全員影からだして一つの命令を下した。
「俺は今から少しでも成功率を上げるために進化する。その間期間は分からないが活動出来ない状態になると思うから、お前たちは俺を守れ。これはお前らの主としての命令だ」
『……分かった』
『了解だ、主殿』
『分かったわ』
『僕、頑張ルよ』
『……俺モ』
『『『把握』』』
「「「「イエス、マイマスター」」」」
眷属達は何の躊躇もなくそれが当然だとでも言うように俺の命令を承諾した。
「私が居れば君に危害を加えられる奴なんていないさ」
ラプラスは自分さえいれば他は必要ないと自信満々に豪語した。
「助かる」
俺は進化できる種族の中から一つの種族を選択した。直後体全体に虚脱感を覚え、意識を強制的に失った。
俺が進化を始めた時、眷属やラプラス以外にも世界神が見ていた。
世界神は俺たちを最初に召喚した何も無い真っ白な空間で鏡の様なものを空中に出してそこに俺を映し出し、観察していた。
「順調に魂の格を上げられているみたいだね。僕の影響で進化先も通常よりも比較的魂の格が高いからね。どんどんと格を上げてくれよ。その方が僕も助かるしさ……」
世界神はそんな独り言を呟き子供のような声で無邪気に笑った。
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《条件を満たしました。スキル『並列思考』『吸血』『万能薬』『身体操作』『飛行』称号『叡智』『死者を喰らう者』を獲得しました》
《スキル『並列思考』に『並列演算』、スキル『万能薬』に『麻痺毒』『猛毒生成』、スキル『身体操作』に『身体変形』『身体変化』が統合されました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『能力創造』『探知』『思考超加速』『吸血』(ry》
俺が目覚めると、目の前には悪魔達しかいなかった。
「……目覚めたみたいだね。他の者たちは君が進化し始めた後にしばらくしたら私達以外は意識を失って君の影の中に入ってしまったよ。フェンリルまで抵抗出来ずに意識を失って驚いたよ」
俺が進化を完了させ目覚めたことに気付いたラプラスは俺に声を掛けてきた。それに答えるために返事をしようとしたら、
「グルゥ」
失敗した。
あれ、人化が解けてるな。……ふむ、久しぶりにドラゴンの体を見たけれど相変わらず真っ白な鱗だな。少し体が大きくなって、翼と顎が発達したかな?
……ヴェノム達の気配も感じないし、視界にも入らなかったから心配したけど普通に繋がりがあるし影の中にいるな。
というかなんで意識を失ったんだ?眷属だからか?でもそれならデビルリッチ達が意識を失っていない理由が分からないんだよなぁ。
悪魔だから眠ったりしなくてもいいから意識を失わないとか?でもフェンリルが意識を失ってるんだよな。……わからん。
その考察は後にして種族と新しく手に入れたスキルや称号を鑑定していくか。
『ニーズヘッグ』
ユグドラシルの根を齧ったドラゴン。生と死を司り特に死属性を得意とする。様々な知識と能力があり、全ての魔法が使えると言われている。
『並列思考』
複数の意思を獲得する。意思の数はレベルによって異なる。
『吸血』
生物の血を吸うことでステータスが上昇する。吸血の対象の強さとスキルのレベルによって上昇値が異なる。
『身体操作』
身体の変形、変化を自由自在に操作できる。レベルによって精度が異なる。
『飛行』
翼を使って空中を飛ぶことができる。レベルによって飛べる高度と速度が異なる。
『万能薬』
ありとあらゆる全ての薬物を生成することができる。生成できる薬物はレベルによって異なる。
『死者を喰らう者』
死体を喰らう者。死体を喰らうことでその者の生前の能力を確率で一部獲得することができる。死霊魔法の精度が上昇する。
よし、狙った通りの能力だな。称号の名前が気に食わないけど成功率を上げるためだと思って我慢するか。捕食と同じ能力なのは意外だったな。
……並列思考の鑑定結果がよく分からないし物は試しに話しかけてみるか。多重人格みたいな感じなのかな?
『……おい並列思考。もしこれが聞こえてるのならば返事をしろ』
『ひっ。な、何?私が何かした?』
思考加速を発動させ、俺が心の中で強く呼びかけてみると怯えた女のような声が返ってきた。
おぉ、本当に俺の中に俺以外の意思があるな。というか一人称が私なのか。ということは女か?確かに声は高いし気弱そうな声だけど、俺の中にいるのに女になるかなぁ?
『いや、お前は何もしてないから落ち着け。お前は俺の中にいるんだし俺が危害を加えられるわけがないからな。聞きたいことがいくつかあるけどいいな?』
『う、うん。怒ってないなら大丈夫……』
『それじゃあまずは一つ目。お前は自分を何だと認識している?』
これは結構重要だと思う。こいつが俺と同じ記憶、価値観、能力を持っているのかどうか知っておかないといけないしな。
もし、持っていたならば今後の対応がかなり変わるしな。
『わ、私の名前はまだ無くて……。私はニールちゃん……ううん、リュウキ君のスキルから生まれた同じ記憶を持った違う価値観の意識……だと思うよ。私はそう認識してるんだけど、これで大丈夫……?』
ふむ、記憶は同じなのか。価値観が違うのは当たり前だな。同じだったら一人称が違うわけないし……。
とりあえず候補は三つまで絞れたな。一つ目は元々この体にあった意識。二つ目はスキルによって新しく作られた意識。三つ目はありえないと思うが俺に元々あった意識……つまり俺が二重人格だった説だ。
だが、恐らくこれはない。今までそういうことがなかったし、スキルを獲得して初めて存在を認識したからな。前世から居たなら今さら気づくわけがないのだ。とりあえずこの三つを候補に考えていくか。
『次は二つ目、お前は魔法に関する知識があるか?』
これは本当に重要だ。種族の鑑定結果からわかる通りニーズヘッグには全ての魔法を使えると言われるだけの能力はあるらしい。
進化して目覚めてから魔法に関する知識が増えた様子がない。無自覚だとしてもここまで違和感がないのは異常だと思う。もし、こいつが知っているならばその問題も解決する。
『あ、あるよ。まだ分からない魔法をいくつかあるけど、リュウキ君が今まで知らなかった知識はも、持ってる。これが全ての魔法かは私では分からないけど……』
『じゃあこれからはお前は魔法の研究と開発を頼む』
ふぅ、良かった。この種族を選んだ4割くらいの理由がなくなってしまうところだった。ひとまずは安心だな。
『それじゃあ三つ目、これが最後だ。お前は名前が欲しいか?』
『……くれるの?も、もし貰えるのなら私は欲しい。なるべく可愛いのがいいかな』
大体こいつの事が分かってきたな。今後の対応もある程度決まったし、こいつの名前を考えていくか。いつまでも自分の中にいるやつをこいつとか言ってられないからな。
……俺の名前の時は知ってるドラゴンから適当に抜いたけど、今回は今の種族に関係する事柄から抜き取っていくか。
ええと、説明ではニーズヘッグは世界樹……ユグドラシルの根をかじってるとか出てたな。……ん?ユグドラシルか……。ユグ…ユラ……シル、シルビア?うん、シルビアが良いな。多分女っぽいだろ。
『なぁ、シルビアでどうだ?気に入らなけれべ新しいの考えるけど……』
『ううん。気に入らない訳がないよ。ありがとう、リュウキ君。凄く嬉しい』
予想以上に喜ばれたな。簡単にユグドラシルから思いついた名前にしただけだから背徳感があるな。まぁ……喜んでくれているし、大丈夫…かな?
『……それじゃあこれからはシルビアと読んでいくからな』
『うん』
並列思考との会話が一段落ついた俺は思考加速を解除してヴェノム達に話しかけた。
『おい、起きてるか?』
『……ん?あれ、何で影の中にいるんだ?お前の周りで待機してた筈なんだが』
『お前ら俺が進化したら気を失ったらしいぞ。どこか体調に変化はないか?』
『……ん。大丈夫だな。なんかいつもと感覚が違うけど特に害はなさそうだ。他の奴らも起きてるし一旦影からでる』
ヴェノムは宣言通り他の眷属も連れて影から出てきた。それぞれ以前と姿が変わり気配も大きくなっていた。
ヴェノムは黒く染まり、アンデットのような気配に。フェンリルは少し小さくなり月のような銀色の毛色に。ケルベロス達は三つのドラゴンの頭のある山羊の体に蠍の尾、蝙蝠のような翼が生えていた。
めっちゃ変わったな。特にケルベロスとか頭が三つある以外は以前と共通点がないんだが。フェンリルなんかは一見変化はないが纏う魔力と気配が禍禍しくなってる。ヴェノムは……まぁ、うん。とても真っ黒だな。なんか可愛くなくなっちゃったな……。
『おい、失礼なこと考えてるだろ。……ちょっと感覚が鋭くなってるからすぐに分かるぞ』
『……全然、全く、これっぽっちも考えてない』
ふぅ、あぶねえ。もうヴェノムの前では考えないようにしよ。以前から鋭かったから考えてもバレなかったけど今回の変化でより鋭くなったな。
……一旦全員のステータスを確認していみるか。姿も変わったんだしステータスも変わってるだろ。
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種族:ニーズヘッグ
名前:ニール(成田 龍輝)
年齢:1
レベル:1
HP:3600/3600
MP:4400/4400
SP:3300/3300
スキル:『鑑定LvMAX』『複製LvMAX』『能力創造Lv4』『探知Lv7』『スタミナ回復速度LvMAX』『魔力回復速度LvMAX』『並列思考Lv1』『思考超加速Lv5』『念話LvMAX』『千里眼Lv4』『劫火の息吹Lv1』『吸血Lv3』『魔力操作LvMAX』『身体強化魔法LvMAX』『森羅万象Lv7』『闇魔法LvMAX』『神聖魔法LvMAX』『即死魔法LvMAX』『死霊魔法Lv6』『空間魔法Lv3』『操影LvMAX』『万能薬Lv3』『精神攻撃無効LvMAX』『痛覚無効LvMAX』『猛毒耐性Lv4』『物理攻撃無効LvMAX』『熱耐性LvMAX』『超速再生LvMAX』『未来予測LvMAX』『人化LvMAX』『身体操作Lv4』『飛行Lv3』『龍鱗LvMAX』『物質創造LvMAX』『物質干渉Lv6』『アンデット創造Lv3』『分解Lv3『縮地Lv3』
称号:『世界神の眷属』『精神生命体』『魔物を率いる者』『神を殺す者』『虐殺者』『死神』『不老不死』『地獄の監守』『叡智』『賢者』『調合者』『影の国の民』『死者を喰らう者』




