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テイム

 修行するために使う魔物を見つけると言われ、フルフルについてきた。その途中にテイムの魔法陣を作るために必要なイメージをおしえられた。


「テイムは基本、召喚魔法の魔法陣をベースに作る。召喚魔法の召喚する作りを闇魔法の精神系の作りに変える。この時に、相手が自分へと服従または忠誠するように相手の精神へと干渉するのだ。」


 強制的な刷り込みかよ。確かに理性のない獣とかだと対話ではどうしようもないが、洗脳のようなことをして後々解けてしまった時にどうするんだ?最悪戦闘中に解けたら敵を増やすだけじゃないか?


「貴様は最初は自分が敵じゃないと認識させればいい。その後、少しずつ精神に干渉し服従させていけばいいのだ。」


 なるほど、一気にせずに少しずつ変化させていくことで違和感なくできるのか。完全に支配してしまえば解ける心配もなくなるな。


「それで何の魔物をテイムするんだ?」


「もう少しで見えてくるはずだ。……いたぞ。貴様には初めにあれをテイムしてもらう。精神を破壊せずに我らを仲間と認識させるまでは休ませぬし、帰らせぬ。」


 フルフルが指した先には頭が3つついている地球の大型犬の2倍くらいある犬型の魔物がいた。


 あれ絶対ケルベロスだろ。頭が3つついてる犬なんてケルベロスしか知らないぞ。ケルベロスは神話では確か地獄の番犬で保存、再生、霊化の象徴だったな。

 エキドナの子で本来は1匹しかいないはずなのに俺の目の前には群れのようにいるな。これ1匹にでも何かしたら一斉に襲いかかってくるんじゃないか?これを俺にどうしろと言うんだ。


「おい、フルフル。」


「なんだ?」


「あれに手を出してもいいのか?」


 まだ気づかれていないので大丈夫だが、手を出したら居場所がバレるだろ。


「別に良いが、一斉にこっちに向かってくるだろうな。あれは次の修行で使うので、貴様がテイムしなければ意味はないからな?」


 やっぱり向かってくるのかよ。とりあえず鑑定してから単独でいるやつを探してテイムしてみるか。


 __________________


種族:ケルベロス


年齢:47


レベル:19


HP:830/830

MP:580/580

SP:680/680


スキル:『スタミナ回復速度LvMAX』『魔力感知LvMAX』『魔力操作LvMAX』『火魔法Lv6』『即死魔法Lv3』『火耐性LvMAX』『自己再生Lv5』


称号:『死神』『地獄の番犬』


 __________________


 あれ、このステータス、なんかヘルハウンドに似てないか?もしかしたら、進化か同系列の魔物なのかもな。『地獄の番犬』という称号はどんな能力なんだ?


『地獄の番犬』

 地獄の出口を監視し、霊が出てこないようにする者。アンデットや魂への直接攻撃が可能になる。


 魂への攻撃って生きている者にも攻撃できるのか?もしできるのなら体は生きているのに精神は死んでいる地球で言うところの植物状態にできるんじゃないか。

 とりあえずこの集団に手を出しても死ぬ未来しか見えないので、1匹だけ離れているやつがいないか探してみるか。




 いねぇ。常に2匹以上で行動しているし、3つの頭が色んな方向を見ているから隙もない。嗅覚も鋭いようで、一度俺の通った道の残り香を辿られて居場所がバレそうになった。

 本当に今の俺で倒せるのか?1匹だけでも俺よりもステータスが高いやつをバレずに、殺さないように精神をいじるとか無理だろ。

 バレたらそこで即終了だもんな。


「いつまで、様子を見ているのだ。見ていてもつまらないし、このままじゃ貴様が成長しないので一度手本を見せてやる。その後は貴様1人だけでやれ。失敗してもいい。」


 そう言うとフルフルはケルベロスへと魔法を発動させた。魔法陣から黒い光が出てきて、ケルベロスの中へと入っていった。


 特に変化がなくね?失敗したんじゃないのか?魔法陣の構成は見たし、俺の魔法陣の欠点も幾つか補うことが出来たので良いが本当に成功したのか?


 しばらくケルベロスは2匹で行動していたが、フルフルが「殺せ」と呟くと片方のケルベロスが突然もう1匹へと攻撃し始め殺してしまった。そのケルベロスはこちらへと向かってフルフルの目の前にくると伏せた。


 まじかよ。あれだけ集団で住んでいるし、団結力も強いので突然腹が減ったとしてもあんな風にはならないだろ。

 テイムが成功するとたとえ同族で直前まで隣で歩いていたやつだとしても命令されたら殺すのかよ。やる側だから良いがもしもやられたらと思うとゾッとするな。


 フルフルの魔法陣を見て改良したし、1回チャレンジしてみるか。最初は自分達を仲間と認識させれば良いと言っていたし、気づかれないように少しだけにするか。


 俺は新しく見つけたレベルが低めでステータスが俺と同じくらいの奴に魔法を発動させた。すると、俺とケルベロスとの間に黒い電気が一瞬できた。


 どうやら成功したようだな。抵抗もされていないし、もしも俺が目の前に現れても攻撃してこないだろう。……隣のやつは攻撃してくるけど。

 隣のやつもテイムして着いてくるようにし、フルフルに伝えてくるか。しかし、よくテイム出来たよな。同格の魔物すらも簡単に干渉し変化させられるとは……。リスクはあるが、そのリスクも対処することができる。闇魔法は今後も使っていけそうだな。


 俺は慎重に隣のやつにも魔法を発動させた。無事に成功し、フルフルの元へと連れていった。


「テイムに成功した。それで、次は何をするんだ?」


「む、早いな。アマルテイア殿に成長速度が早いと聞いていたが、アマルテイア殿のスキルがなくてもこの速さか。

 ……次はそのケルベロス達にもう一度テイムを使い、完全に服従させる。上位の存在はその眷属から力を受け取り強くなる。眷属が多い、強い者は眷属達の力を受け取りより強くなることができるのだ。受け取れる力はその忠誠によって変わってくる。我も眷属がいるが30年ほどは力を受け取っておらんが、受け取っていた頃は凄まじい力だったぞ。」


 だから以前に鑑定した時にはスキルが少なかったのか、もしかしたらアマルテイアも眷属から力を受け取っていなかったのかもな。

 というか、下手したら俺よりも強いやつを眷属にしたらどれほどステータスが上がるんだろうな。楽しみだしさっさとやって見てみるか。


「うむ、今回は先程のテイムとは少し違い我らを上位存在と認識させるのだ。服従するように認識させるのではなく己よりもよりも強い者、従うべき者という感じで認識させろ。」


 つまり、ここから本当の洗脳を始めていくのか。とりあえず最初に言うことを聞くぐらいには魔法をかけているし、念話を使って今の俺への意見を聞いてみるか。


『なぁ、ケルベロス。お前らって俺の事どう思ってる?』


 俺が念話を使って問いかけると少しぎこちないが向かって右側の小柄なケルベロスが答えた。


『私達よりモ弱いのに威張っテる奴』


『一応、僕達ノ主』


『俺ラのこトを従えてイる者』


 こいつら頭ごとに別々のことを考えているのかよ。てっきり同じことを考えているのかと思って、3人の思念が念話から聞こえて1回周りを見渡してしまったじゃないか。

 1匹の意見は分かったし、もう1匹の意見も聞いておくか。


『お前は俺のことどう思ってるんだ?』


『弱者。』


『卑怯者。』


『臆病者。』


 酷い言われようだな。確かにその通りだが、実際に本人たちから言われると重みが違うな。

 ケルベロス二匹の意見を纏めると俺のことは卑怯なことをしないと弱い者と思っているんだな。

 まだ、産まれて1年も経っていないので仕方ないには仕方ないのだが、こういう所で実力の差が出てくるよな。

 こいつらを完全に服従させてしまえば解決するが、その前に認めさせたいな。事前に認めさせておいた方が洗脳もしやすいだろうしな。


『お前らの意見は分かった。とりあえずは殺し禁止で戦おう。殺す以外ならば何をしてもいいルールだ。』


 これならば即死魔法を使われずに戦うことができる。危険察知があるので躱すことはできるが危険は少ない方がいいしな。


『『『分かっタそれでいい。』』』


 ………こいつら殺す気満々だろ。流石に即死魔法を使うようなバカはしないと思うが注意しておいた方がいいだろうな。

 このケルベロスと比べてもう1匹は理知的な雰囲気があるな。この子供のようなケルベロスがいるからそう思うだけかもしれないが、少なくとも比べたらこっちの方がまともだな。


 広い空間を探している途中に空気の読めない悪魔からなんか言われたが、軽く聞き流した。俺が修行していた場所ほどではないが広い空間を見つけて模擬戦の準備を始めた。

 細かくルールを決めて、禁止事項をやると即行で負けになると伝えるとちゃんと理解出来ていた。どうやら、俺が思っているよりも賢いのかもしれない。


 初戦は元気で子供っぽい方とやることになった。これから主として無様な真似をしないように本気で相手していかないとな。

 普通にステータスの差はあるし、技術で補っていかないと負けてしまう。今後舐められないようにかっこいいところを見せていかないとな。


 ケルベロスと俺の準備が整い、フルフルに審判的なものをやってもらうことにした。フルフルも魔法の支配権を奪えるそうなので、死ぬような魔法は遠慮なく無効化するように頼んだ。


「それでは模擬戦を開始していくが、ドラゴン。別にこのようなことをしなくてもテイムはできるぞ?」


「別に知っている。だが、俺は俺のやり方で修行していく。全てお前の言う通りにする訳ではない。」


 というか、関係ないがドラゴンという呼び方は少し嫌だな。この修行が終わったらやりたいことを一気に片付けるか。


「そうか……。それでは模擬戦を開始していく。ルールは相手の殺害禁止、我への攻撃禁止だ。それでは始め。」


 フルフルの開始の合図と共にケルベロスが飛び込んできた。俺は火魔法を目くらましに使い、気配を周囲に溶け込ました。

 そのまま背後へと周り雷魔法で自作魔法の擬似電気ショックを浴びせて気絶させようとしたが、匂いで気づいたらしくギリギリで躱された。

 1つの頭が吠えるとケルベロスの体が仄かに光りだした。


 どうやら身体強化魔法を使ったようだな。ステータス面では負けているので差をつけられると厳しそうだし、こちらも身体強化魔法を使っていくか。


 俺は身体強化魔法を発動し、ケルベロスへと突っ込んだ。雷魔法を撃ちながら距離を詰めていき手だけ人化を解除し、爪を叩き込んだ。


「ッ、痛ぅ。」


 爪はケルベロスに当たったが浅く、逆にカウンターをされてしまった。傷を自己再生で再生しつつ、距離をとりながら魔法で牽制していき隙あらば狙っていくようにした。

 ケルベロスは必死に距離を詰めようとしているが魔法がうまく妨害しており、なかなか距離を詰めることができていない。


 傷を直した後もしばらく魔法で攻撃していたが、魔力が減ってきてしまっていたので接近することにした。緩急つけて距離を詰めたので、ケルベロスの動きが一瞬止まり隙ができた。

 そこに、現在の俺の最高性能の雷魔法を撃った。ケルベロスは必死に躱そうとしていたが、避けきれずに被弾しまともに立てないほどの傷を負った。


 何とか行動不能になるほどの傷を負わせたが、あいつにも自己再生があるし油断せずに直ぐに模擬戦を終わらせるか。


「そこで、終了だ。とても低レベルな模擬戦だったが、以前よりも見違える程成長しているな。貴様ではケルベロスは倒せないと思っていたが、アマルテイア殿の修行の賜物だな。」


 俺がケルベロスにトドメをさせる体勢になるとフルフルが模擬戦を終了させ、俺の知覚出来ない速度で俺とケルベロスを離した。


「事実を嫌味ったらしく言うな。それでケルベロス、俺のことを認める気になったか?」


『……私はもういいわ。』


『僕は実力だけは認めるよ。』


『俺はもっと戦いたい。』


 1人だけ違うことを言っているが、3つの内2つの頭が認めたと言ったしいいだろう。


「そうか。それでお前は今のを見て認めてくれたか?それとも、お前も戦うか?」


『実力は認める』


『卑怯者なのは今後の行動次第』


『今は素直に従う』


 ケルベロス二匹が俺のことを認めたと言った瞬間に称号が変化した。


《条件を満たしました。称号『村を率いる者』が『魔物を率いる者』へと変化しました。》


 なんだこれ。放ったらかしてた『村を率いる者』の称号が変化したな。鑑定して能力を確認してみるか。


『魔物を率いる者』

 魔物を眷属にした者。眷属からの能力の供給、眷属への能力の供給を可能とする繋がりが発生する。


 これがさっきフルフルが言ってたやつかな?まだ、発動していないようだがどれくらいステータスが上がるのか楽しみだな。

 ケルベロスが完全にテイムしなくても服従したことが称号として現れて一段落ついたし、『複製(コピー)』の能力を試してみるか。

 体質と称号が新たにコピーできるようになったんだっけ。手始めに近くにいるケルベロスの体質か称号を獲得してみるか。


 これどうやって体質はコピーすればいいんだ?鑑定してもスキルと称号しか出ない。その称号も『死神』はコピーできるが、『地獄の番犬』はコピー出来ないのだ。とりあえず弄ってして色々試してみるか。




《スキル『複製(コピー)』がスキル『鑑定』とリンクしました。鑑定結果が更新されます。》


 いろいろと弄っていたら複製と鑑定がリンクしたらしい。鑑定結果が変わっているそうなので確認してみるか。


 __________________


種族:ケルベロス


年齢:47


レベル:19


HP:830/830

MP:580/580

SP:680/680


スキル:『スタミナ回復速度LvMAX』『魔力感知LvMAX』『魔力操作LvMAX』『火魔法Lv6』『即死魔法Lv3』『火耐性LvMAX』『自己再生Lv5』


称号:『死神』『地獄の番犬』


体質:魂への直接攻撃

 __________________


 そのまんま『地獄の番犬』の効果が体質なのかよ。とにかく、体質をコピー出来そうだし他のも一旦放ったらかしてた奴もコピーしていこ。


《スキル『複製(コピー)』の能力により、称号『死神』を獲得しました。》


《スキル『複製(コピー)』の能力により、魂への直接攻撃が可能になりました。》


《条件を満たしました。称号『地獄の監守』を獲得しました。》


 出来たようだな。というか、体質をコピーしたら称号を獲得したな。名前が違うのは俺が犬じゃないから変わったのかもしれないな。

 きっと一部の称号は体質をステータスとして表示しているだけだからコピーできなかったのだろう。


『複製』の新しい能力も確認できたし、修行を再開していくか。

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