闇魔法
確かに闇魔法の師としては適任だろう。悪魔だし……。しかし、俺はフルフルにはあまりいい感情を持っていない。
アマルテイアの所へ俺を連れてきたことだけは感謝しているが、この世界に来て初めて敗北した奴だ。苦手意識を持っているが、それ以前に俺はこいつに勝つことも目標していた。勝ちたいやつに修行させてもらうというのは、元日本人としてどうかと思う。
勝ちたい奴に強くしてもらうとかこれいかに。
「あなたは一度この悪魔に敗れているようですが、その事は一度水に流してください。あなたに魔法を教える間の短期間だけですので、素直に修行してくれませんか?」
アマルテイアが言うならばそうするが、中々割り切ることができない。短期間だけらしいので、頑張りました修行する時間を短くできるようにすればより早く終わるだろう。……よし、今回の修行はいつもよりも頑張っていかないとな。
フルフルの使う魔法が分かれば再戦する時に有利に戦うことができるようになるだろう。そのためにも、今回の修行を頑張る理由があるな。
『別に我はいいですよアマルテイア殿。我が自ら挑み勝ち、アマルテイア殿に預けたのです。そのことを引きずられていても、我は構いません。』
「そういうことではないのです。これから、このような場面があるかもしれません。そうなった時に今回のような経験があれば対処しやすくなります。別にあなたの事を気遣って言ったのではありません。」
あたり強っ。神側と悪魔は確かに仲が悪そうだが、普段のアマルテイアからは考えられない発言だな。よっぽど悪魔がきらいなのだろう。
それでもここまで近づき、会話を続けることができることが、フルフルの人柄(悪魔柄?)を表しているのだろう。人は見た目によらないと言うが、フルフルは特に見た目とは反対の性格だよな。
『失礼な事を考えているようだが、我はアマルテイア殿に救われた事があるからこのような態度でせっしているのだ。我は別に神側と仲良くするつもりは無い。』
なんか、最近心を読まれるな。アマルテイアが鋭いだけかと思っていたが、フルフルにも読まれたな。前世では読まれていなかったので、顔にはでていないのだろう。
「それはあなたの感情が全て魔力へと反映されているからです。怒り、喜び、疑問などに影響されて変化しています。あなたの魔力とその時の会話の流れからあなたの考えていることは予想できます。
感情が出るのは魔力を制御できている証です。ですが、付け込まれる元にもなるので隠していくように心掛けてください。」
そうだったのか。最近、魔法の修行ばかりやっていたから魔力操作の精度が上がった。だけど、感情の変化だけで魔力も変化するとは思っていなかったので、ただ漏れにしている。だから心の中をよまれていたのだろう。
少し、魔力を抑えておくか。
『あぁーあ。面白かったのになんで魔力を抑えちゃうかなぁ。』
びっくりした。本当に世界神はなんの前兆も無く頭の中に喋りかけてくる。しかし、今は話している途中なんだし話しかけてくるな。
『魔力が漏れてるよー。それで話している途中と言っていたけど、君の体感時間を引き伸ばしているから周りが止まっているように見えるはずだよ。』
本当だ……。感覚だけなので、体は思うように動かせないがアマルテイア達はまるで時間が止まっているかのように微動だにしない。前回話している時にアマルテイアから何も話されなかったのはこういうことか。
『そういうこと。それで、君に話しかけた要件だけどそろそろ話しかけておこうと思ってね。君も僕に聞きたいことがあるんじゃないかい?』
『何度も言うが心を読むな。それで俺からお前に聞きたいことはあるけど、お前は俺に何を話すんだよ。』
主に俺の考え方が体によって変化しているかとか、クラスの他の奴らのこととかな。
『そうだね……。君のクラスメイトのことで悪い知らせと良い知らせがあるんだ。どっちから聞きたい?』
まさかのクラスの奴らのことだったのか。悪い知らせと良い知らせねぇ。悪い方から聞いておくか。
『悪い方から聞く。話し終わってもお前の話したいことだけ話してどっかいくなよ。』
『分かってるよ。それでね、君のクラスメイトが死んだよ。死んだの清川 安寿ちゃんと、宮沢 忠くんの2人。』
『……は?』
死んだ?なぜ?世界神が安全なところに転生させたし、チート能力を渡したんじゃないのかよ。
『清川ちゃんは辺境の唯の村に産まれたんだよ。君みたいに人間は産まれてすぐに動けるわけではないからね。生後2ヶ月の時に村が魔獣の群れに襲われて壊滅し、一緒に殺されちゃったんだよ。魔族領から離れた位置に転生させたけど魔獣の危険はどこにでもあるんだ。これは仕方がなかったんだよ。』
そうか……。死んだのか。別に仲が良かった訳でも特別な感情があった訳でもない。しかし、身近にいた存在がもう会えなくなったと聞いて少し、喪失感があるな。
『宮沢くんは貴族に転生させたよ。しかし、親と一緒の旅の途中で山賊に襲われて死んじゃったよ。護衛が守ったけれど、父親が屑だったみたいで宮沢くんを投げ捨てて先に逃げていったよ。兄弟がいたからあのような行動をとったんだろうね。』
宮沢は英樹と仲がよかったな。元々性格が似ているからだろうが、どちらも人に好かれるような部類の人間だったからな。間違ってもこのような殺され方をしていい奴ではない。
これは世界神の責任もあると思うが、そこまで求めてしまったら駄目だよな。
『……それで、そいつらはどうなるんだ?』
『今は一時的に魂を預かっているけれど、もし君が死霊魔法を扱えるようになるのなら君に預けてもいいよ。別にいいのなら輪廻に組み込むよ。』
どうするか。もし死霊魔法が魂を死体に入れられて自我がある状態にできるのならそうしてもいいかもしれない。
しかし、俺の想像と違いアンデットになってしまったらどうすればいいのだろう。俺が始末するか、ずっと壊れるまで使役しなくてはいけないだろう。……一旦預かるか。死霊魔法を獲得することができたら考えるか。
『決めたようだね。それじゃぁしばらくは僕が預かっておくよ。
それで良い方の知らせは佐藤くんと鈴木ちゃん達が両親になんとか頼んで僕が召喚した君たちを集め始めたんだよ。だから今回の2人のように死んでしまうことは減るだろうね。』
そうか。あいつらはまだ喋れないのに他人のことを思いやって行動しているのか。というか今あいつらはどうなっているんだ?
世界中から30人余りの人間を探すのを頼めるような親のところに産まれたということだろう?並の貴族じゃないだろそれ。
『あいつらは今どんな感じなんだ?』
『あぁ、彼らは王族に産まれたよ。従兄妹という関係だから常に一緒にいる感じかな。君が近くにいないから勇者たちを探すように頼んだんだよ。優しいよね〜。』
俺のためだったのかよ。しかし、俺は性別も種族も若干性格も変わっている。しかもダンジョンの下層にいる。絶対に見つからないだろうな。
というか王族に産まれたのかよ。元々アニメの主人公のような奴だったが、益々主人公のような人生になってるな。
『そちら側の話は終わったな?それじゃあ俺から質問だ。俺の性格や考え方がこの体に引っ張られてないか?』
やっと聞けた。以前褒められて「えへへ」と言っていた後から以前の俺から考えられない行動が目立たないがあった。ワンピースを作った時にも幾つか作って気比べてみたいと思っていたしな。
『うん。ちょっとずつだけど変化してるね、それも2つの意味で。1つ目はドラゴンの方に引っ張られてる。血や肉が好きになり戦う事にも楽しみを見出し始めているね。
2つ目は女の子の方に。こちらはドラゴンに比べて少しだが、変化はしている。身だしなみや反応などが主な変化だね。変化し続けていけば男をかっこいいと思い、女への興味が異性と言うよりも友達などに変わっていくね。』
どっちもかよ。ドラゴンの方はまだ大丈夫だが、男をかっこいいと思うとか嫌だからな。今は女でも元男だ。もし、男と付き合うことになるとしたらクラスメイトだろうが構わずに阻止するだろうな。
『最後に一つだけ。本当に魔王を倒して人族に勝利をもたらせば地球へと帰すんだな?』
『もちろんだよ。完璧にとはいかないけど君たちの家族や親戚の記憶を弄っていつも通りの日常へと帰すと約束しただろう?』
『……そうか。これで、俺から聞きたいことはない。お前から言いたいことがあるのならいいが、そろそろこの状態を解除してくれないか?』
今までの会話の間、アマルテイアとフルフルがほとんど動かずにこちらの方を見ているのだ。アマルテイアは人化を使っていて見られることはいいのだが、フルフルは山羊の頭に動物の体毛のある人間の体だ。
そんな奴にずっと見られていても怖くはないが、威圧感が凄いのだ。
『分かったよ、それじゃあ最後に一つだけ。君がその体に馴染むほどに思考や動作がその体に引っ張られやすくなっていくからね。それじゃあバイバイ。』
世界神がそう言うと周りが普通に動き始め、世界神との繋がりが消えた。
あいつ、最後に爆弾を落としていったな。この体に馴染むほどに俺が変わっていくのか。まだ、ところどころに違和感がある程度だが今後変化が目立つようならば真面目に考えていくか。
『うむ、それでアマルテイア殿が言ったように我が闇魔法と即死魔法を教えていくことになった。一旦あの時のことは忘れてくれないか。』
というか今気づいたが、フルフルて念話で話していたんだな。別にいいのだができるのなら肉声で話してほしい。
「そのことは俺はもう気にしていない。そんなことよりもお前は念話ではなく肉声で喋れないのか?」
『む?そちらの方がいいか。それならばそうしていこう。』
フルフルはそこで一旦言葉を切り、再度俺へと話しかけてきた。
「それで、もういいと言ったな。それは素直に我からの教えを受けるということでもあるんだな?」
俺はフルフルからの問に対して、首を縦に振り別にいいと伝えた。
以外にイケボだな。若干渋いが、山羊の頭から出される声ではないな。そもそも、アマルテイアは山羊の時に喋れなかったのになぜフルフルは喋れるんだ?
……今度機会があれば聞いてみるか。
「うむ、それでは闇魔法と即死魔法の特徴について伝える。アマルテイア殿から魔法の原理は教わっていると聞いているので省くが、闇魔法は相手の精神に干渉する魔法と召喚魔法、呪いのある攻撃が特徴だな。」
呪いかぁ。悪魔の持っている魔法なので碌なものではないと察していたが、本当に碌でもないな。
召喚魔法に惹かれて簡単にコピーしてしまった俺が言うのもあれだが、なぜこのような魔法を使うのか分からない。実用的だがあまり使いたくないな。
「先程の貴様のように魔力に感情が現れているようならば、干渉自体は簡単だが自我の強い者や感情の制御ができている者は干渉が難しくなっていく。」
つまり、闇魔法を使うやつと戦う時には感情に気をつけていかないと付け込まれてしまうのか。
「そして闇魔法を使う者も感情を制御出来なければ理性のない怪物へと変化していく。悪魔は耐性があるが、普通の魔物達が闇魔法を使うと一部例外があるが怪物へと変化しているな。」
なるほど、使えばほとんどの確率で勝てるチャンスを見いだせる能力があるが、リスクはあるんだな。
「我は貴様がそうならないように闇魔法を制御できるようにとアマルテイア殿に頼まれたのだ。」
アマルテイアは闇魔法を俺に教えなかったのではなく、教えることが出来なかったのか。だけど、即死魔法はヘルハウンドが普通に使っていたし、特にリスクはなさそうなので大丈夫なんじゃないか?
「即死魔法にはどのようなリスクがあるんだ?」
「うむ、即死魔法には制御出来なければ辺り一帯が生き物が住むことの出来ない文字通り死地となる。」
え?そんなやばい魔法をヘルハウンドは初手に使っていたのかよ。種族的にそれしかないんだろうが、魔法を使えるだけの知能はあるんだしもっと考えて使わないのかよ。
「つまり即死魔法のリスクはその危険性にあるのだ。。何か一つでも操作を間違えれば、自分はもちろん仲間まで殺してしまう可能性が出てくる。そこでも最も魔力操作の得意な種族である悪魔の我が教える必要があるのだ。」
「おや?黙って話を聞いていたら、聞き捨てならない発言が聞こえてきましたね。悪魔が最も魔力操作に長けているとはどういう意味ですか?」
アマルテイアが怖い。顔は笑っているのに目だけが普通じゃない。微笑んでいる目だが、視線が突き刺さるように鋭いのだ。言葉の端々にも怒気が含まれているのでより怖さを増している。
「そのままの意味ですよアマルテイア殿。悪魔が神々よりも魔力操作が得意だと言っているのです。」
「どうやら私が下手に出ていて思い上がっていたようですね。今ここで実力の差を分からせてあげてもいいんですよ?」
マジの目だ。ここでフルフルがYesと言ったら瞬間飛びかかる気だなこれ。と、とにかく止めに入らないといけないよな。
「師匠、そんなことどうでm」
「うるさいです少し静かにしてください。それで?神々よりも悪魔の方がなんですか?もう一度言って見てください。」
まさか、アマルテイアが遮るとは。今まで見たことがないくらいブチ切れてるな。そんなに魔力操作が自分達よりも得意だと言われたことが気に触ったのか?
後はフルフルに任せるしかないな。フルフルの解答によってアマルテイアの怒りが静まるか爆発するからな。しっかりと空気読めよフルフル。
「………悪魔の方が魔力操作が得意だと言いました。しかし、神々よりも強いとは言ったわけではありません。そこの所を誤解せぬように。」
うーん。自分の言葉を曲げず、相手の機嫌を直す正しい対応のはずなのに、何故かフルフルからアマルテイアに怖気付いた小物感がするのは何故だ?
「それでそこのドラゴン。」
そこのドラゴンて俺かよ。ちゃんと名前で呼べし。……あ、そもそも名前言ってねぇ。どうしようか、前世の名前をそのまま名乗ってもいいが、どうせだし新しい名前を考えておくか。
「何だ?」
「これから闇魔法の修行を開始していく。まず初めに闇魔法の精神系と召喚魔法の応用である『テイム』を使って即死魔法の修行の準備をしていくぞ。」
一気にいろいろやるんだなこの悪魔は。アマルテイアはそういうことは、事前に準備していたっけな。そこのところがやはり、熟練者だよなアマルテイアは。
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種族:ライトニングドラゴン
名前:成田 龍輝
年齢:0
レベル:1
HP:600/600
MP:700/700
SP:500/500
スキル:『鑑定Lv8』『複製Lv2』『気配感知Lv7』『危険察知Lv4』『スタミナ回復速度LvMAX』『魔力回復速度Lv3』『念話Lv6』『魔力感知LvMAX』『魔力操作LvMAX』『身体強化魔法Lv7』『火魔法Lv5』『闇魔法Lv5』『神聖魔法Lv6』『雷魔法Lv5』『即死魔法Lv2』『痛覚耐性Lv5』『熱耐性Lv2』『自己再生Lv3』『未来予測Lv5』『人化Lv8』『龍鱗Lv6』『物質創造LvMAX』
称号:『勇者』『村を率いる者』『殺戮者』




