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真紅の暗殺者  作者: ヒサヒデ
第1章 憎悪
4/17

第4話 復讐

 4話目です。今回は女主人公リナの過去を書きました。かなり暗く重い内容になりました(^_^;)人にはそれぞれの過去があり目的があり想いがある、それが生きることに繋がると思い、前に進んで行く事だと信じているのがリナやゴンズ達です!



 シーダの森。



 チャム村の西部に位置する森がそう人々に呼ばれていた。それほど深くなく、チャム村の人間も木の伐採や野性動物の狩りなどに訪れることが多く、比較的危険の少ない森である。



 リナとゴンズは、シーダの森で休息を取っており、伐採された木の上に腰掛け、焚き火をあげて一夜を明かそうとしていた。



 「明日にはチャム村に着く。いよいよだな」



 焚き火の中に薪を放り投げながらゴンズが呟いた。



 「やっとここまで来たんだ。必ず、仇をとる!」



 とても先程まで、涎を垂らしながらギギボアを狩っていたとは思えない表情で、目の前の焚き火を睨み付けるリナ。怒り、悲しみ、憎悪、憤怒と様々な感情が胸の中で渦巻いていた。



 「常々言っておるが冷静さを失わぬようにな。お主は食い物と復讐の事に関しては感情を表に出しすぎておるから注意せよ」



 「あたしはいつでも冷静よ。我を忘れて飛びかかるような愚はしない」



 どの口が言っておるのだ、と心の中でゴンズが溜め息をつき呆れていたが顔に出さずにいた。



 「リナよ。お主に聞きたいことがある」



 「何?突然改まってどしたの?」



 「お主は何ゆえアルトニアを殺そうとする?復讐するためとは聞いたが相手はあのアルトニア。ザイロ帝国聖騎士団団長アルトニア・コールブランド。世間では帝国の救世主であり英雄、平和の象徴とさえ呼ばれており、数多くの武功を挙げた男だ。殺すのも至難の業だが仮に殺せたとしてもザイロ帝国は混乱し、民衆はアルトニアという光を失い恐慌状態に陥る」



 ゴンズはリナの赤い眼を見据えて言葉を紡ぐ。



 「お主がやろうとしておることは、ザイロ帝国そのものを敵に回し破滅させることに繋がるのだぞ。それでも奴を殺すのか?」



 「殺す!アルトニアが死んで帝国や民衆がどうなろうとあたしには関係ない!何が聖騎士、何が救世主、何が英雄、何が平和の象徴だ!アイツはあたしの村を、故郷を焼き払った!何もかもを滅ぼした!そして・・・あたしの大切なジン兄さんを殺したんだ!!」



 胸の中で渦巻いていたリナの黒い感情が表に溢れ、過去の惨劇を思い返していた。



















































 物心ついたときから、あたしには家族がいなかった。他の奴らが言うには、村の入り口付近で倒れていたあたしを、兄さんが発見し運ばれたらしい。


 それから村長の家で暮らす代わりに、家事や仕事で貢献しながら生きていた。同じ屋根の下で暮らしていてもあたしは拾われた子供。村長やその家族、村の外でも馴染めずにずっと1人だった。



 でも、村の中でたった1人だけ、あたしに優しく接してくれて色々なことを教えてくれて、あたしにとって唯一の希望で太陽のような存在の人がいた。



 ジン兄さん。あたしより2つ年上の男の子だ。彼は村の中でも人気があって誰にでも気さくに話すので、よそ者のあたしにも優しく接してくれた。村で居場所がないとあたしが泣いたら「俺がリナの居場所だろ?」と当然のように言ってくれた。



 あたしは嬉しすぎて泣きながら抱きついても優しく受け止めてくれた。それ以降、兄さんと呼ぶようになり、大好きな唯一無二の家族になった。



 村で居場所のないあたしにジン兄さんは戦い方を教えてくれた。動物や魔物との戦闘方法や狩りのやり方、解体作業や血抜き、皮や骨の扱い方や干し肉や保存食の作り方など生きる上で大切な事を教わり、また武器の扱い方や鍛練も徹底的に教わった。この弱肉強食の世界では、強くなければ奪われ続け殺されるから強くなれと常に言ってくれた。



 ジン兄さんに教わり鍛練を積む。そんな毎日が続き、数年たったある日、1人のよそ者が村に駆け込み、しばらくして奴がやって来た。



 「村に火矢を放て。罪深き犯罪者を決して逃すな。悪を匿う奴らも同罪だ。徹底的に蹴散らせ」



 鎧をつけた数十人の者達が火矢を放ち、村が燃え、よそ者も村人も次々に殺されていった。



 「全ては、清浄なるザイロ帝国の為に。1人残らず殺せ」



 「やめろ!」



 ジン兄さんは木刀を構え、1人だけ馬に乗っていた鎧男に飛び掛かり太刀を浴びせた。だけど、鎧男に槍で木刀を弾かれ身体を貫かれた。



 「ぐはっ!!」



 「ジン兄さん!!」



 あたしはジン兄さんの方に向かって走ろうとした。




 「来るな!!」




 腹を貫かれ口から何度も吐血し、それでもあたしの方を見て大声で言った。





















 「生きろ!!リナッッ!!」




















 それが、あたしに向けた、兄さんの最後の言葉だった。



 「うるさい。虫けらが」



 鎧男はジン兄さんを貫いていた槍を引き戻してなぎ払った。



 「このアルトニア・コールブランド様の邪魔をするからだ。虫けら風情が」



 あたしは恐怖のあまり、その場から走って逃げた。震える足を無理矢理奮い立たして全力で逃げた。ジン兄さんの最後の言葉が頭の中から離れずにいた。気がつけば周りに誰も居なくなり、遠目から村が燃えているのが見えた。



 「・・・ジン兄さん・・・」



 あたしの大好きなジン兄さんは殺された。もう二度と、優しくしてくれることも、教えてくれることも、隣にいて甘えることも、声を聞くことも出来ない。



 「・・・アルトニア・・・」



 ジン兄さんを殺した鎧男。つらくて悲しくて涙が溢れていたがそれ以上に許せなかった。



 「殺して、殺して!殺してやるぞぉッッ!!」



 憎悪と憤怒が溢れだし、負の感情が留まるところを知らなかった。ジン兄さんの仇を必ずとる。そう心に誓い、復讐することを決意した。




 予想よりも大分長くなりました(^_^;)4話目の感想やレビューの方もよろしくお願いします!

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