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次に目を覚ました時、大雨が降っていた。
春の嵐、といったところだろうか。
今日は、他の和菓子たちもこの湿気にだいぶ嫌気がさしている。
こういう日は、なかなかお客さんが来ない。
ショーケース越しに見る雨の景色は、嫌いではない。
だが、こうも長く降り続くと、さすがに気が滅入る。
そんな中、一人の子供が合羽を着て店の前に現れた。
小学校の四、五年生くらいだろうか。
ポケットから財布を取り出そうとしているが、合羽に引っかかって苦戦している。
ようやく財布を出すと、元気よくこちらに向かって挨拶をした。
主人がその声に気づき、店の奥から出てくる。
「いらっしゃいませ。何になさいますか?」
主人の問いかけに、子供はショーケースの私──三色団子を指差した。
『これを、四本ください』
そう答えると、主人はショーケースから私を取り出し、包み紙で丁寧に包む。
それをビニール袋に入れて、代金を受け取り、お釣りを渡す。
主人は、この大雨の中わざわざ買いに来た理由を尋ねた。
すると、子供はこう答えた。
『おばあちゃんが昔から好きで。お見舞いに持って行こうと思って』
どうやらこの子のおばあさんは、縁石の段差につまずいて足を骨折し、昨日から入院しているらしい。
これから電車に乗ってお見舞いに行く途中、三色団子のことを思い出したのだという。
主人は「お大事にね」と声をかけ、子供は笑顔でお辞儀をすると、駅へと歩いて行った。
途中、何度か足を滑らせて転びそうになっていたので、少し心配だ。
……そろそろ、子供に買ってもらった三色団子へと、意識を飛ばす準備をしよう。




