第10話 食べたい
ザッ
草を踏む音が聞こえた。
アクトに軽口を返しながらも、ショーンが深緑の巨竜へと接近する。
しかし、暴食もただやられるだけでは無い。今までのは、寝ぼけていただけだとも言うように、その場にあるすべての植物を操り、ショーンの接近を妨害する。
「チッ……メンドーな」
ショーンは、新月を横薙ぎに振るうと同時、蛇竜へとその姿を変え、刃先の伸張でもって、全てを刈り取る。
グゥワ!?
暴食はそれに驚きを表し、その一瞬の隙でもって、ショーンの接近を許した。
「眠れ」
その一言ともに、新月が抜き放たれる。鞘走りを利用とした神速の斬撃が暴食の尾を斬り裂き、二の太刀で首を落としにかかる。
暴食は咄嗟に前肢の爪でもって防御とした。
一の太刀に威力をそのままに降り抜かれたそれは、強靭な竜の爪を斬り離したがそれだけにとどまった。
仕切り直しとばかりに両者は距離を取る。
しかし、暴食を襲うのは、何もショーンだけでは無い。
暴食の飛び退いた先に居たのは、トーカ。既に三日月を構えている。
「ふぅー」
それは呼気法の一つの形。吐く息とともに、無駄に力みを捨て、最大の効率でもって身体を振るうための脱力。
「活性…」
静かに、薙刀は振るわれた。
暴食は気づいてすらいない。既に斬られている。
グゥ?
疑問の鳴き声が一つ、静かに響いた。ゆっくりと首の接合が崩れ、最後には地響きとともに暴食の首が落ちた。
「ふふ、良い所取りだぜ、ピース!」
実際に、ピースサインをしながら、トーカが声を出す。ショーンはため息をしながらも、ゆっくりと新月を構え直す。
ルカセリアは既にいないようだったが、アクトは未だ植物に拘束されて、その場にいた。
「お前、いつの間に捕まったんだ?」
ショーンは眉根を寄せて、疑問を投げかける。
「あなたの煽りに、隙を晒したのですよ……」
なんとも笑える捕まり方だった。この男、狂っているような割にどこか天然である。
「それで、コイツどうする?トーカ」
ショーンは取り敢えずとばかりにトーカに尋ねた。
トーカは、ことの終わりを見て出てきたサクラを守るように位置取りつつ答える。
「うーん、どしよっか?勇者だし、殺す?」
「なぜだ!?なぜ、勇者だと殺されなばならんのか!!?」
トーカの軽い物言いに、アクトが絶叫する。
「果てさて、てか何故に、その植物はお前を拘束したままなんだ?」
「ん?そう言えばそうだなぁ」
そこでその場の日本人は思った。
あ、なるほど、テンプレか
次の瞬間、横たわっていた深緑の巨体が震えた。
その場の誰もがまた、暴食を注目するなか、
「うぉりゃあ!」
最早、キャラが崩壊しそうな掛け声とともにアクトが拘束より抜け出す。
「くはははは!!仕切り直しとしようじゃ無いか、強欲の魔王。さらばだ!」
最早、どちらが天敵側なのかわからない台詞を残して、アクトが行方をくらました。
ただし、ショーンたちはそんな雑魚のことなど、はなから気にしちゃいなかった。
「あれ、いつの間に?」
「どうした?」
「アクトがいないよ」
「あ」
「どうでもいいよ」
「「たしかし」」
そんなふざけた遣り取りの間も巨体は震えていた。
やがて、その震えが自らの肉を崩すほどになった時
コトン
と、卵が巨体から出てきた。
「「「え?」」」
ちょうど、ダチョウの卵くらいの大きさだろうか。色は深緑色で、やけに金属質に感じられる。
「取り敢えず」
そんなことを呟きながら、ショーンは重豪を構えて、卵に振り下ろす。
ガキン!
およそ、卵に当たった音ではない。
「て、何やってんの!?ショーン君!」
「いや、危険生物から産まれた?卵だぜ。そりゃ、処分を試みて当然だろう?」
「そ、そうかもしれないけど」
全くの正論かもしれない。だが、普通、卵を見て割ろうと試みるだろうか。食べることを試みるわけでもないのに。
とサクラは静かに思った。
「取り敢えず、割れそうにないからな。持ち帰るか」
「育てるの?」
ショーンの第二案に、サクラが期待に満ちた目で疑問を放つ。
「ん?そうだなぁ、まぁ、そうなるかなぁ」
「おー」
サクラはトテトテと卵に近づき、よっこらせとばかりに、どこにあったのか風呂敷に卵を包み込んだ。そして、背負う。しかし
「おとと……」
サクラの体躯では支えきれず、結局、ショーンの背中に収まった。ちなみに、トーカは竜はモフれないからとのことで、卵に興味を持たなかった。
アクトがギャグのように扱われている。いや、一応、ね、ね、ライバルキャラ的な立ち位置を考えてるんだけどね、ね!だから、滅多に死なないんだよなぁ
カンナ「というか、死んでも、蘇生されるとか、色々物語としてどうなんですか?」
まぁ、趣味で書いてるしー
「先生、ここにトーカさんでも連れてきますか?」
ぎゃー!?やめて、やめてまじで!はい、頑張りますよー、死なないように頑張りますともー




