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神は勝手なのだと知っている  作者: 神狼 龍王《みたらしだんご》
第3章 我思う理想郷
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第7話 帝都

カラカラと車輪の音が響く。


王国に帰るカーミラを除いて、ショーンたちは馬車で帝都に向かった。


「ショーンさん、もう見えてきましたよ」


「うん?……ファーワ、ウーン」


欠伸と伸びを一つ、ショーンはレイルの言葉に目を覚まして前方を注視した。


「あれか」


「どれどれ?……ほほう、すっごいねぇ」


「おー」


ショーンの興味なさげな呟きと違い、トーカとサクラは感嘆の声を上げる。


「アタシにも見せろー。なんでアタシだけ仕事があるんですかー」


気の抜けた声でアニヤは抗議の声を上げる。馬車の中にいたアニヤの側には、紫髪の女性が縛られていた。


「仕方ないだろう。その魔族もついでに連れてけって、アグニスのジジイに言われたんだから」


「ブー、アタシに任せる事ないじゃん」


「何言ってる。当番制で回した。最後の当番のアニヤのくじ運が悪いだけ」


サクラの言葉にアニヤは撃沈した。


「ムームー、ムー」


その隣では魔族が何かを主張していたが、誰も気にしなかった。





「はぁ、やっと着いたか。宮殿に直行なのが嫌だねぇ」


「仕方ないですよ。皇帝様直々の呼び出しなんですから」


無事、帝都に入った一行は、門から兵士に案内され、皇帝の居城である宮殿に向かっていた。


車窓から見える街並みは流石は帝都と言ったところだろうか。淡い肌色の石造りの家々は、そのほとんどが二階建て以上であり、商家と思われる建物の中には五階建てのものまであった。市場はどこも活気に溢れ、誰もがにこやかな笑みを浮かべていた。それでいてどこか上品な雰囲気を持ち、ここが帝国における最高の都市なのだとまざまざと示されていた。


城壁は高く分厚い。それが区画ごとに存在する。宮殿を中心に広がる帝国の力をはっきりと感じさせた。


貴族区を抜け、ショーンたちはようやく宮殿へと入るのだった。





「魔狼を退け、魔族を捕らえた冒険者ショーン様とその一行が到着致しました」


「そうか」


宮殿の一室、そこは最も重要な部屋。普段、皇帝が執務を行う書斎。武官の報告に皇帝は、鷹揚に頷く。


「ショーン様のお連れした魔族は牢に輸送中です。陛下には謁見の間への移動をしていただきたく」


「そうだな。では……」


普段通りに、アグニスに温厚なほうだと評価された皇帝は動いているように思えた。武官も何も不安は抱いていなかったし、警戒もしていなかった。だが、


「お前はもう()()()()


その言葉ともに武官は串刺しとなった。



帝都の平民区は、大変な騒ぎとなっていた。獣系の魔物を中心に、侵入を許してしまっていたからだ。ある者は戦い、ある者は逃げ惑い、親とはぐれた子どもは泣き叫ぶ。いつの間にか、帝都の城壁は穴だらけでこの騒ぎは貴族区も例外ではなかった。


我先にと欲の皮の突っ張った貴族たちは平民区を抜け、逃げ出す。平民たちを撥ねる事も気にせずに。けれど、彼らは気づいているのだろうか。逃げ場なんてないことに。


魔物侵入は許した城壁はしかし、人々の前には重く閉ざされ立ちはだかっていた。

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