第1話 妖しから艶し?
カンナ「なんで私の話あれだけなのよー!」
だからなんで真神空間に来れるんだー!
そこは荒野が広がっており、空を見れば一点の曇りなき青空。
「ここは…っ!」
ショーンは意識を覚醒し、視界に映る男女に驚く。
かたや紺色の髪と目をもつ壮年の男。かたや紅髪と金眼の少女。
「ふふ、やあショーン君久しぶりだね」
「ワタシはさっきぶりー」
男は柔和な笑みを浮かべ、少女は軽い笑みを浮かべる。
そこにいたのは、レイドとアニヤ。
レイルの父親と吸血鬼の魔王だった。
「何故お前らが!」
「あはは、落ち着いてよ。ここはあなたの心象世界。あなたに心を奪われた者がここにいる」
その言葉にショーンは冷静さを取り戻し、ふと疑問を持つ。
「なぁ、盗賊のリーダーもいるはずだが?」
そう盗賊のリーダーがいなかった。アニヤの言葉通りならいるはずである。
「ああ、彼か。彼はそもそもすでに死んでいたからね。無理矢理動いていただけだから心象器の構成要素だけ置いて消えたんだよ」
「そうそう、屍喰鬼王ならともかく、ただの上位屍喰鬼程度じゃ意思は残せないさ〜」
その答えに納得し、ショーンはこうなる前に思考を巡らす。即ち、己が死んだ事実と半魔と化した自身。
「俺は一度死んだよな?」
「そだね」
軽くアニヤが答える。
「そんで半魔?になったっぽいがどうなったんだ?」
「さあーわかんない。ワタシは七罪魔王といってもただの穴埋め要員だったし。世界の真理が深〜く関係してると思われる君の事情は知らない。それでも知ってる奴は知ってる」
「それは?」
アニヤはショーンの続きを促す言葉に苦虫を噛んだような顔をしながらもその名を口にする。
「憤怒の魔王にして正義の勇者、物理存在において唯一混沌と虚無にあることができる神の冒涜者 サタナエル」
「サタナエル?」
「そう、我々魔族の神にすら逆らえる正真正銘の化け物。たぶんあれなら知っている」
圧倒的な存在。その名を聞いてショーンは知らず知らず冷や汗を流す。そこに一陣の風が吹く。青空に黒い太陽を輝かせて。
「さて、けれども今すぐサタナエルに会うことはできないでしょ。というわけでもっと近い予定についてなんだけども〜〜」
「なんだ?」
冷や汗の収まったショーンがアニヤの言葉に疑問をもち、それを聞くより前に気になることを思いついた。
「そういや、お前、愛し子に会えなくないか?」
「うん?あーそれね。大丈夫大丈夫、ここにいるワタシは残留思念みたいな者だから本体はちゃんと彼に会ってるよ」
「そう、なのか?まぁそれならいいか」
「そうそう、君が気にする必要はないよ。で、話を戻すけど。ワタシの欲望器がどうなったかわかる?」
「うん?えーっと信念の鏡?」
「そう、信念の鏡。ワタシの欲望器の銘は嫉妬の胎だった。それがそんな銘に変わっている。不思議だね」
「ちなみに私の蛇竜は青くなった以外に変わりはないよ」
さっきまで背景だったレイドの声がはいる。さすが親子、影の薄さに定評あり。
「まぁそのへんは考えても分かんなそうだから置いとくとして、嫉妬の胎にしろ、信念の鏡にしろ、本質は複製みたいなんだよねー。でも、信念の鏡は嫉妬の胎みたく相手を複製するんじゃなくて」
ー君の心を複製する
アニヤはそれが大事だというのが伝わるよう明確に言葉を述べた。
「それがどうした?」
「普通ならば、それは自分の分身を作る以上の意味はない。けれど、君の中には複数の心がある。つまり、ワタシとレイド君を現実に召喚できる」
「それは!」
ショーンは目を見開き、レイドへと視線を送った。
しかし、ショーンが何か述べるよりも早くレイドが口を開く。
「ショーン君、私は召喚を辞退するよ」
「なぜ⁉︎」
「確かに私の最期は理想的な最期ではなかった。でもね、理想の最期を迎えられる人間なんていないものだ。私はね、娘の回り始めた運命の歯車を狂わしたくはないのさ。死んだ者が現実に現れることは本来あり得ることではないんだ。それにレイルは、あの子なりに気持ちの整理を一段落つけたところだろう。それをかき乱したくはない」
その言葉に、どこまでも娘を思い続ける父としての言葉にショーンは喉から出かけた反論を飲み込んだ。それがレイドの覚悟ならば、自分はそれを受け入れて、レイルが幸せになれるよう手助けしていこうとそう思った。
「…わかりました。
それでアニヤは現実に出たいんだろ?」
「うん、もちろん!外に出て魔王やってた頃にはできなかった観光をやるんだ〜」
その屈託無い少女の笑みにショーンは
「お前いくつだよ…」
ショーンは荒野を飛んでいた。
ゼェゼェゼェ
フー というわけでアニヤちゃん(残留思念的な?)が復活です!
ロリバ、ゲフンゲフン…可愛い少女の需要は如何に?




