洗礼カモン♪
今月もよろしくお願いします
裏庭の古井戸を降りた先、そこは「魔力の泉」へと続く地下聖域……のはずでした。
(あーーー! そうでしたわ! 思い出しましたわ、ここの守護獣の設定!)
暗がりの向こう、淡い燐光の中に佇んでいた禍々しい石像が、私の接近を検知して音を立てて崩れ落ちる――。
瓦礫の中から現れたのは、猫耳をぴくんと震わせ、申し訳程度の布面積――いわゆるマイクロビキニに身を包んだ、褐色の肌も眩い獣人美少女でした。
(間違いない、猫耳獣人のララァ! これ、あの伝説の神絵師・某先生がこのゲームのためだけに描き下ろした、一点曇りなき『直球のエロ』担当キャラですわ!)
リリス様が「妖艶な悪魔の美」なら、ララァは「野生の生命力溢れるエロ美しさ」。
画面越しに数多のプレイヤーを悶絶させ、無課金勢のリリス様推しの私でさえ「これを見れただけでインストールした甲斐があった」と涙した、ガチ勢垂涎のSSR隠しキャラ……!
「……リリス様!? 女王様!! 会いたかったぁ!」
ララァが弾けるような笑顔で飛びつくと、リリス様の豊かな胸元にその猫耳頭が埋まり、もふもふと擦りつけられる。
「んっ……やめなさい、ね♡ララァ。今は客人が……」と困惑するリリス様の艶めかしい喘ぎ。
(おおおおお……っ! 尊い! 尊すぎますわ! 某先生の作画が、今、私の目の前で三次元の肉体を持って躍動していますわ! これだけでご飯10杯いけますわ♪ これぞ神イベント(動画付♡)!)
本来なら、ここにディードが混ざって「洗礼」を受けるはずのシーン。
ですが、脳汁が溢れ出している今の私には、この「神絵師の遺産」を特等席で観賞できるだけでお釣りが出るというものです。
「……ちょっと、あんた。さっきまでの威勢はどうしたのよ。鼻血出てるわよ」
リリス様に冷ややかなジト目で射抜かれ、私はハッと我に返った。いけません、今はハメプ(最短攻略)の最中でしたわ。私はハンカチで鼻の下を拭うと、淑女の微笑を浮かべた。
「失礼いたしました。あまりの『作画の暴力』に、つい魂が浄化されそうになりましたわ。……さあ、ララァ様。女王様との再会を祝して、こちらの『大人明太子味』をどうぞ。これを食べれば、貴女の魔力回路も一気に覚醒りますわよ?」
私は、もふもふの誘惑に耐えながら、慎重に、かつ大胆に袋を開けた。
地下の静謐を切り裂く、暴力的なまでの潮の香りと唐辛子の刺激。
ララァの鼻が、リリス様の胸元から離れ、ぴくんと大きく動いた――。
(さあ、食べよがってくださいまし。某先生の描く『最高の表情』、リアルで拝ませていただきますわよ!洗礼よ♪カモン♪)
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