8話_ピクニック
戦闘シーンが難しい。
イメージよ伝われ!
どうしてこうなった...。さっきまで母と楽しく過ごしていたのに...。
「早く逃げるか戦うかしないと。」
「サクラのことは守るから安心してね~。」
「いやいや、ダメだよ。私が守るからね。母さまは下がってて。」
今こそ男を見せる時。そう気合を入れた私の前に魔物が現れたのだった…。
―――
始まりは朝までさかのぼる。
「...、999、1000!」
刀の修行が始まり早2年。私ことサクラ・トレイルは八歳になっていた。素振りも様になってきたと思う。
ちなみに刀の師匠ことウィードさんは一年前に冒険者の仕事が入り家を出ていった。仕事が終わり次第また来ると言っていたがまだ戻って来れないみたいだ。
ウィードさんがいる間は走り込みや素振りだけでなく、模擬戦もしていたのだが、ウィードさんが依頼に行ってからは素振りと走り込みしかできていない。刀の修行だけでなく魔力操作の特訓もあるため最近はそちらに比重が偏ってきている。そろそろ次の段階として魔物と戦ってみたいと思っている。
残念ながらこっそりと森に行って魔物と戦いに行こうとしても母に見つかって止められてしまうのだ。森に行きたい私と森に行かせたくない母の勝負は図らずも私の隠密能力や読みの向上に役立ったと思う。いまだに母に勝てたことはないが…。
「サクラ~、今日の修行はもう終わりかしら?」
「うん。終わったよ。今から着替えてくるね。」
今日はなんと母とのデートだ。少し前に母に誘われ、森近くの広場でピクニックをすることになった。
「あそこの広場に行くのも久しぶりだね。」
「そうね~。ウィードもそろそろ戻ってきていいころだと思うのだけど。」
「どんな依頼が来たんだろうね?」
準備が終わった私たちはたわいない会話をしながら広場へ向かう。森近くといっても来るのは初めてではない。ウィードさんとの模擬戦をするときに使っていた広場だ。
「あそこの木の下にシートを広げてのんびりしましょうか。」
「うん。そうだね。」
広場についた私たちは少し大きめな木の近くにシートを広げて二人のんびりする。
「修行もいいけどこういったまったりした時間もいいよね~。」
「ふふふ。そういったこと言ってるとおばさんみたいよ~。」
「えっ、この前八歳になったばかりなんだけど!?」
「サクラは成長が早いかったからね~。たまに子供じゃなくて大人と会話してるようにかんじちゃうのよ~。」
「いやいや、私子供だよ?めっちゃ子供!」
「知ってるわよ~。な~に動揺しているの。」
母は時々鋭いことを言うから焦ってしまう。
「動揺してないよ。それよりご飯食べようか。」
「ふふふ。そうね~、サクラの手料理を食べましょうか。」
含みのある笑いをされたが私がただの幼女であることは母が一番知ってるはずだ。中身がおっさんであることは絶対に気付かれてないはず...。
今日のお昼はピクニックの定番であるサンドイッチだ。母は私の手料理といったが母が作った具材を私がパンにはさんだだけである。
「「いただきまーす。」」
「サクラの手料理おいしいわね~。」
「もう、私は具をはさんだだけでほとんど母さまが作ったでしょ。」
「じゃあ、私の料理はおいしいわね~。」
「間違ってないけど言い直さなくていいでしょ。」
「ふふふ。」
私たちはシートに二人で座りながら穏やかな時間を過ごしたのだった…。
―――
「サクラ~そろそろ起きましょう~。」
「ん、おはよう?母さま。」
いつの間にか寝てしまったらしい。せっかくのお出かけだったのにとショックを受ける。
「ん~。せっかくのピクニックだったのに寝ちゃった。」
「ふふ、疲れていたのね~。普段からしっかりと休息をとらないとダメよ~。サクラはまだ子供なんだから。」
なんで突然ピクニックをしようと言い始めたのか分からなかったけど、私の休養と気分転換を兼ねての勧めだったみたいだ。このままのペースで修行すると倒れると思ったのだろう。やはり母には敵わない。
「む~。ごめんなさい。無茶はしないで頑張るようにするよ。」
「それが良いわね~。言っても無茶しそうだし頃合いを見てまた強制的に休みを取らせるからね~。」
「う…。お願いします。」
さっきから痛いところを突かれて罪悪感が凄い。
「ふふふ~。どうせ試練に合格したらこの子はまた無茶するわよね~。」
「な~に?」
「ん~。お母さまはサクラのことを心配してるってことよ~。」
「うん。ありがとう。」
何かごまかされてる気もするが、頭を撫でられて心が温まる。
「そろそろ暗くなってきたし帰りましょうか。片付けしましょうね~。」
「はーい。」
「!?」
帰り支度も終わりかけたところで森のほうから何か音が聞こえた。
「あらあら。もしかして魔物かしら。お昼ご飯のいい匂いに誘われちゃったのかもね~。」
「いやいや、呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ。早く逃げるか戦うかしないと。」
「サクラのことは守るから安心してね~。」
「いやいや、ダメだよ。私が守るからね。母さまは下がってて。」
今こそ男を見せるとき。そう気合を入れた私の前に魔物が現れたのだった…。
*****
Tips 氷華
ローズが冒険者時代に愛用していた魔刀。真っ白な刃を持ち、魔力を通して振ることで切断面を凍らせることができる。刀を振るうごとに雪の結晶が舞う姿から氷華と言われ始めた。魔刀であるため切れ味は持ち主の魔力に依存し、刃こぼれしても魔力を流すことで再生する。一定以下の魔力しか持たないものは雪桜を持つと主として認められず氷漬けにされてしまう。
次話は明日の17時に投稿します。
今日から幼少期編終わるまでは毎日更新していきます!
誤字脱字報告お待ちしております。
コメントや高評価を頂きますとモチベアップにつながりますので是非お願いいたします。
ブックマーク、お気に入り登録もしてくれると作者は泣いて喜びます!