9話_魔物との戦い
戦闘シーン難しい。
今回と次回はやや短めです。
『グルルル』
森から出てきた魔物はウルフだった。単体で出てきたことから群れからはぐれた個体だと考えられる。ウルフが厄介なのは集団での連携としつこさなので、はぐれのウルフは戦うのにましな部類だろう。問題は鼻が良いため逃げるのが難しいところだ。
「母さま、少し離れて。でも遠くには行かないように。」
「分かったわ~。」
魔物が出てもいつものペースの母に脱力しかけるが魔物を見て気合を入れなおす。今回みたいに魔物に遭遇した場合、戦いやすいように空間を確保する必要があるが、守る対象を自分から離しすぎると別の魔物がいたときに守れなくなるから見える範囲にいてもらうのが正解だと聞いた。もちろんパーティーを組んでる場合はその限りではないが今は私一人なので仕方ない。
『グルァア』
「はっ!」
早速ウルフが噛みついてきた。身体強化を使って横に避けつつ蹴りを入れる。
『グウゥ』
ダメージがほとんど入っていない。警戒をさせただけみたいだ。身体強化を使っても元々私の物理攻撃力はGなので仕方がないが少しショックを受ける。
「次はこっちからいくぞ。」
氷華を出して魔力を込める。冷やりとした冷気を感じつつウルフに向かって駆ける。
「ふっ!」
『ガウ』
「くっ」
ウルフに近づき氷華を振るうが躱されて頭突きをされる。魔力を集中させることで威力を殺して後ろに転がる。
「思っていたより速いな。群れからはぐれたのは最近か?」
魔物は獲物を食べれば食べるほど強くなる性質を持つため、獲物にありつきにくいはぐれの魔物は通常よりも弱い。はぐれの魔物を狩ったことがあるわけではないが、師匠から聞いたはぐれのウルフの強さよりも強く感じる。
「サクラ~。頑張ってね~。」
「思ったより余裕だね。母さま…。」
「うふふ~。サクラが守ってくれるからね~。」
これは期待に応えるしかなさそうだ。魔力を氷華に流し、地面に突き刺す。
「アイスフィールド」
魔力操作を使って氷華の凍結能力を拡大させることで地面を凍らせる私オリジナルの魔法だ。素早いウルフの動きを阻害するのに有用だろう。問題は広範囲を凍らせるためには魔力をかなり多く使うことと、凍らせた範囲は私も動きにくくなることだ。
『ガウッ!?』
「はぁはぁ、魔力をほとんど使っちゃったけど上手くいったかな。」
今度は足に身体強化の比重を置き、凍った地面の外側から一つ飛びにウルフへ近づく。
「はぁぁぁぁ!」
『ギャウン』
今度は当たったが急所からは逸らされてしまった。
「んー。どうしようか。」
今の一撃で倒す予定だったが失敗してしまったせいで私もウルフ同様凍った地面の範囲内に入ってしまった。
「今度スパイクでも作ってみるかな。」
やはり実践でしか思いつかないことも多いみたいだ。
『グルル』
「と、のんびりしてる場合じゃないな。」
ウルフは氷の上での動きに慣れてきたらしい。学習能力が高いみたいだ。
『ガァァァ』
遠吠えをした後頭突きをしてきた。先ほどよりも遅い動きに合わせて氷華を添える。
「っ!と。」
氷華を見たウルフが軌道を変えてくる。こちらも合わせて動こうとするが足が滑って少しずれてしまう。
『ギャン』
「一応少し切れたかな。」
よく見るとウルフの前足が一部凍っている。これで更に動きは鈍くなるだろう。
「ん~、受け身になってるな。何か考えないと...。」
「サクラ~。氷華をもっとうまく使いなさいな~。」
「氷華を?…いっちょやってみますか。」
一つ考えを思いついた私は氷華を氷に突き刺すのだった。
*****
Tips 魔物
心臓に魔石を持つ生き物。魔力を主食としている。魔力を持つ生き物を襲い食べることで魔力を体内に取り入れることで強くなっていくため、長生きした魔物ほど強くなる。ゴブリンやウルフなど脅威度が低いGランクの魔物から亜竜などの脅威度が高いSランク魔物までおり、冒険者ギルドによってランク付けされている。魔物のその性質からランクはあくまで目安とされており、余裕を持ったランクの魔物討伐を推奨されている。
Gランク:駆け出し冒険者単独で倒せる魔物。はぐれのゴブリンやコボルトなど。
Fランク:駆け出し冒険者がパーティーで倒せる魔物。はぐれのウルフやオークなど。
Eランク:中堅冒険者がパーティーを組んで倒せる魔物。集団のゴブリンやオーガなど。
Dランク:一流の冒険者と中堅冒険者の混合パーティーで倒せる魔物。集団のウルフや上位ゴブリンなど
Cランク:一流冒険者がパーティーを組んで倒せる魔物。上位オークや上位ウルフなど。
Bランク:国が軍を動かして倒せる魔物。上位オーガやスライムなど。
Aランク:超人が集まって倒せる魔物。各魔物の最上位種や亜竜など。
Sランク:神霊との契約者以外には倒せないとされている魔物。魔王など。
次話は明日の17時投稿予定です。
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