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72話_出発

 冒険者ギルド。ではなく王宮内の一室に来たのは私ことサクラ・トレイルである。今は魔国に侵入するための最終チェックをしている。


「家族に挨拶は済ませたかい?」

「「済ませました。」」

「サクラ君。」

「はい!」

「いくら君が強いからといってやり過ぎてはいけないよ?見つかったらその時点で処刑される可能性が高いし、下手したら魔国とウチとで全面戦争になる。こちらも戦争する準備はしているけど戦争なんてしない方が良いからね。」


 う、名指しで釘を刺された。私も戦争なんて起きて欲しくない。


「今回の目標は魔国の新王が魔王かどうかの確認。それから新王が魔王だった場合の暗殺だ。新王が魔王と無関係だった場合は何もせずに帰国してもらうから無用な諍いは無しにしたい。強行突破ができない以上長期の遠征となるだろう。魔国は敵国だ。最大限警戒し、決して油断しないように。」

「「はい!」」


「ただし、殺されそうになったら過剰にやり返しても構わない。キツい言い方をするけど二人の命の方が戦争が起きた時に無くなる人の命よりも重い。神霊様の契約者とはそういった存在だと肝に銘じて欲しい。」

「…はい。」


 人の命よりも自分の命の方が重い…。人の命に優劣付けたくないけど陛下が言いたいのは私達を見捨てるつもりは無いってことだろう。


「戦争になっても誰一人死なせるつもりは無いけどね。ローズやリリー。ウィードにも協力してもらって防衛体制を引いている。ガーデンのメンバーでこの国は守るよ。だから安心して欲しい。」


 え?母も来てるの?


「いや、ローズが王都で暴れるとめちゃくちゃになるから国境付近に行ってもらった。見送りをしたかったって言っていたから通りがけに顔を出してあげてくれ。」

「母がわがままを言って申し訳ないです…。」


 文句を言いつつ陛下に絡む母の姿が目に浮かぶ…。


「あの、陛下。私達の潜入が上手くいっても行かなくても戦争になる可能性はとても高いと思っています。」

「ふむ。どうしてだい?」

「根拠も証拠もありません。ただ、そんな気がするのです。」

「…。そうか。冗談では無さそうだね。分かった。こちらも最大限警戒するよ。」


 実は、SDSの終盤で毎回魔国との戦争が起きる。戦争の報せを聞いた主人公達は魔王を探す旅を中断して王都へと戻り戦争に加勢するのだ。旅の間、なんの情報も出てこない魔王だったが、戦争の終盤に突然現れて攻めてくる二段構えの最終イベントだった。稀に中盤で魔王が攻めてくることもあったけどその時は謎の第三勢力によって弱ってる設定でなんとか倒せる難易度になっていた。攻略時間の短縮にはなるけど難易度が高かったため絶妙なバランスだったな。…そういえば謎の第三勢力はなんだったんだろう?ガーデンのメンバーだったりするのかな?


 何が言いたいかと言うと、SDSの記憶から魔王の居場所を割り出すことができなかったのもこの仕様のせいだったっていうこと。それから本当に魔国の王が魔王なんだろうか?本来のSDSからかけ離れている以上、絶対にSDSが合ってるとは言えないけど…。


「よし、じゃあ行こうか。」

「あれ?ウィードさんが防衛体制に入るなら私達と一緒に来るのはだれ?」

「あたしだよ。これでも腕に自信はあるんだ。あんたら程じゃ無いけどね。」

「え?ギルマス本人が?」

「なんだい?あたしじゃ不満かい?」

「いや、ただ仕事は良いのかなって…。」


 あ、ライラさんの目が泳いだ。


「大丈夫さ。レイラがなんとかしてくれるから。…きっと。」

「帰ってきた時にギルマスの席は無くなってるかもしれませんね。」

「席は残ってると思うよ?」

「セレス。どうして?」

「必要最低限な仕事だけして大量の仕事でお出迎えした方が勝手にサクラに着いてくって決めたライラへの罰になるからだよ!」

「な、なるほど…。」


 そしたらライラさんは帰ってヘトヘトでも大量の仕事に追われることになるのか。ご愁傷さまです。


「か、帰りたくない…。」

「頑張ってください。」

「くぅ、サクラにも見捨てられた。レイラがちゃんと仕事を片付けてくれる奇跡を信じるか。」


 お、気持ちを切り替えたみたいだ。


「さて、改めて出発しようか。運転に食事、お菓子の準備は任せな!」

「「おー!」」


 ―――


 出発して数日後、幾つかの町や村を経由して母が防衛を担当してる村に来た。


「サクラ〜。久しぶり〜。」


 出会い頭で母とハグをする。やはり私も母のようにあまり成長しなかったみたいだ。どこがとは言わないが。


「サクラ〜?なにか失礼な事考えてないかしら〜?」


 あ、デジャビュだこれ。寒気が凄い。


「いや?母さまには無茶して欲しくないなって思って。」


 うん。話を逸らすに限るね。


「もう。お母さまが強いのはもう知ってるでしょう?」

「うん。知ってるよ?」


 うん、それは修行を通して身をもって知っている。


「それでも心配なの。無茶しないでね。」

「ふふふ〜。私もサクラが心配よ〜。無茶しないようにね〜。」

「うん!ふふっ。」

「どうしたのかしら〜?」

「小さい頃にした約束の通りになったなって。少し違うけど、私は魔王から母さまを守る。母さまは私の背中を守ってくれる。ね?」

「そうね。子供の成長は早いわ〜。」


 一度強く抱きしめ合ってから離れる。


「じゃ、頑張ってくるね。」

「ええ、無茶はしないって約束も守ってね。」

「うっ。」


 何度か死にかけた私にその言葉はよく刺さる。


「気をつけて行ってくるよ。」

「あー、お二人さん。いい雰囲気出してるとこ悪いんだが…飯にするぞ。」


 あ、思いっきり出発の雰囲気を出してたけどまだ着いたばかりだった…。


*****

Tips 魔王討伐イベント

 SDSの最後の共通イベントでSDSの最終目的。基本的に魔国との戦争イベントの終盤で乱入してきた魔王と戦うことになるが、稀に中盤に魔王が単騎で攻め入ってくることもあった。どちらのパターンでも魔王を討伐するとゲームクリアとなり、次の周へと移行することができる。

ローズ「あなたがセレスちゃんね〜?娘みたいで可愛いわ〜。」

セレス「あうあう。えへへ。」

サクラ「母さまは神霊相手でもいつも通りだね。」





次話は明日の17時投稿予定です。


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