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49話_ギルマスへの報告

 セレシアとの契約もあっさりと終わり、帰路につく。


「スタンピードに特殊個体。二つともなんとかなったけど、次もなにか仕掛けてこないかな?」

「しばらくは打ち止めだろう。前回も今回もある意味では一瞬で対処されたようなもんだろう。次なにかするにしても準備やらで時間がかかるさ。」

「先に叩いた方がよくない?」

「居場所は分かるのか?元々遺跡にいるってことで計画立ててたんだ。距離的にさっきの爆音が聞こえてただろう。普通は退避するさ。一度帰って居場所が確定したらまたくればいい。」


 んー、なにかもやもやするが王都にいるみんなを安心させるためにも一度戻ったほうが良いのかな?


「念のため変異種がいないか確認したかったけど全員逃げちゃってるね。」

「もう、僕のせいだって言うの?そんなに信用ない?」

「そりゃそうだろ。今までの行動を振り返れよ。」

「あはは…。信頼してないわけじゃないけど、目で確認しましたってほうがギルドへの報告がしやすいからね。」


 すっかりすねてしまったセレスを撫でる。

 こうして行よりも一人メンバーが増えた私たちは王都へと戻るのであった。


 ―――


 ちりんちりーん


 冒険者ギルドのドアを開けると聞きなれた鈴の音がする。

 いっせいに冒険者がこちらを向いて元の体勢に戻…らずこちらに近寄ってくる。


「特殊個体はどうなった。」

「変異体は?」

「さっき爆音がしたがまた何かやらかしたのか?」

「情報をくれ…。」

「変な巨大生物が…。」


 一斉に詰め寄られても答えられるか!そもそも緊急とはいえ依頼には守秘義務があるわ!とか思いつつ愛想笑いでやり過ごそうとする。


「情報の独り占めは良くないぞ!」

「そうだそうだ!さっさと共有しろ!」


 自分勝手な言い分にだんだんとイライラし始める。


「スタンピードの時みたいにお前の仕業か~?」


 根も葉もない噂を使ってけなしてくる輩に切れそうになったとき、


 ドンッ!!


「いったん黙れお前ら!!」


 ライラさんの怒声が飛んだ。

 途端に静まり返る冒険者たち。


「よし、サクラとライアスの二人は奥の部屋にこい。そして今詰め寄ってた馬鹿ども、これから一か月間報酬半額だ。ルールも守れないならギルドに所属する必要もない。全員初心者としてやり直せ!レイラ。あとは任せた。」


 レイラさんを残して私たちはギルドマスターの部屋に入っていった。


 ―――


「さっきは馬鹿どもが悪かったね。」


 お茶とお菓子を出しながらライラさんが謝る。


「うーん、ライラさんの所為じゃないから謝らなくていいよ。って言いたいけど管理責任とかだよね?謝罪は受け取るよ。」

「話が早くて助かる。今頃レイラがきっちりと灸をすえてるだろう。ま、あいつらも不安なんだ、少しは大目に見てやってくないか?もちろん度を越したらやっちゃっていいからさ。」

「あはははは…。」


 ライラさん、やっちゃっていいって何をでしょうか?とは怖くて聞けないな。


「帰ってきてすぐで悪いが早速報告を頼めるかい?でかい爆音とかも気になるからさ。」


 私の所為じゃないから最後にこっちを見ないで欲しいな…。まぁ、見られても仕方ないことをしてきた自覚はあるから強くは言えないけど…。


「では、順番に話しますね。行く前にライアスと話をして、今回の異変の黒幕はアービシアで、その協力者が神霊のセレス…セレシアじゃないかってなりました。」

「待て待て待て待て…。初っ端から突っ込みどころが満載なんだが?」


 頭を抱えてるけどどうしよう…。とりあえず話を進めるかな?


「レオンからの情報で植物が関わってたり魔物の目が水色に光ったりしていることからセレシアが関わってるんじゃないかってなったんです。アービシアに力を貸したのは私の親族だからじゃないかって…。」

「なんでサクラの親族だと力を貸すんだい!?」


 半分悲鳴みたいな声になってるけど事実そうだったのだから仕方ない。


「私が先祖返りだとかで神霊に好かれやすい体質らしいんです。」

「サクラが先祖返り!?先祖返りだと神霊に好かれやすい!?…ダメだ、情報量が多いし内容が重すぎる…。」


 とうとう突っ伏してしまった。まだまだ本番はこれからなんだけど…。


「ちょっと休憩しますか?まだ出発すらしてませんが…。」

「…そうか、出発する前だけでこの情報か…。魔の森に着いてからが怖いね。うん、魔の森につくところまで話を聞いてから休憩にしようか。」

「わかりました。といっても魔の森内部に入るまでは大した報告はありませんが。えと、アービシアに協力してるのがセレシアだと仮定すると、セレシアを説得すればアービシアへの魔力供給が止まって悪さができなくなると思ったんです。今回の特殊個体は倒す必要がありますが、変異体に関してはセレシアの補助が無くなれば通常の個体に戻ると思って…。大丈夫ですか?」

「…。ああ、進めてくれ。」

「んで、魔の森に着いたら遺跡ではなくセレシアのもとへ向かうことにしたんです。」

「そこまでが魔の森へ行くところか。よし。一度休憩に入ろうか。胃薬も用意した方がよさそうだ。」


 ギルマスも大変そうだなといろいろと準備してるライラさんを眺めてたらじろりと睨まれた。


「普段の業務も大変だけど心労がたまるのはこう言った非常事態だけだよ。」

「ご、ごめんなさい…。」

「あー、悪い、八つ当たりした。サクラは悪くなかった…。よな?今回は魔境作ってないよな?」

「私は作ってないです!セレスがクレーターを作ったけど…。」


 後半は小声で呟く。どのみち今回は私は悪くないのだ!


*****

Tips 守秘義務

 冒険者ギルドに所属するメンバーは受けた依頼に関して守秘義務を負う。依頼主の許可なく情報を漏らした場合、罰則として報酬金額の二倍から三倍の罰金を払い、ギルドからの評価が下がる。

サクラ「ライラさん大変そうだね。」

ライラ「誰のせいだと思っているんだい?」

サクラ「…。」

ライラ「…。」





次話は明日の17時投稿予定です。


誤字脱字報告お待ちしております。

コメントや高評価を頂きますとモチベアップにつながりますので是非お願いいたします。

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