38話_体育祭 序
本編今年最後の更新です!
初投稿からはや一ヶ月、読んでくださりありがとうございます!
来年も良いお年をお迎えください!
「カトレアちゃん頑張れー!」
体育祭が始まり、ウィードさんと見回りをしつつ障害物競争に出ているカトレアちゃんを応援しているのは私ことサクラ・トレイルだ。
どうしてもカトレアちゃんを応援したかったため魔力感知で回りを警戒しつつも外壁から内側を見ている。
「俺たち昼からにしたほうが良かったんじゃないか?」
「んー、パワーバランスと危険度考えるとこっちのほうが良いから仕方ないよ。」
「それもそうだな。カトレアの嬢ちゃんも無事一等をとったみたいだし見回りに戻るぞ。」
「はーい。」
カトレアちゃんの勝利を無事見届けた私は外壁を降りて見回りに戻る。
「きゃー、ひったくりよー!」
「はぁ、行くか。」
人が多いからか置き引きやひったくりが多い。人の犯罪じゃなくて魔王の警戒をしたいんだけど…。
「文句を言うな。見かけたときに捕まえるだけだし、リリーから報酬も出るんだろう?」
「そうだけど、学園長がいつもの結界を張っていればできない犯罪じゃん。」
「それはそうなんだがな…。対犯罪よりも対暴力用の結界にした方が良いって最初に言い出したのサクラだろう。」
「うぅー。確かに言ったの私だけど。こんなに多いとは思ってなかったんだもん。」
文句を言いながらもひったくり犯を捕まえる。無事警備員に引き渡し、荷物を返してから見回りに戻る。
「こういった犯罪が多いのも魔王の影響かもな。」
「そんなことある?魔物が活性化するのはわかるけど人には影響を与えないはずだよ?」
「なんでサクラとライアスの二人がいろいろと断言できるのかは知らないが、人への影響が全くないとは断言できないだろう。直接的な影響がなくとも本能的に恐怖を感じ取った人が衝動的な行動にでちまうとかさ。」
さらに数件ひったくり犯を捕まえたところでウィードさんが呟いた。SDSでは特に言及されていなかったがこういったところはゲームと現実の差なのだろうか…。
―――
見回りをする時間が終わり、ライアスとシルビアの二人と交代する。
「見回りはどうでしたか?」
「ひったくりやら辻殴りやら危ないやつが異常に多いな。魔王の影響かもしれん。」
「そうですか…。少し注意して見てみます。」
「生徒たちはどんな感じ?」
「特に異変はなかったぞ?何も気にせず楽しめてなによりじゃないか?」
二人と簡単な情報共有をした後、カトレアちゃんのもとへ向かう。
「見回りお疲れ様。大変だった?」
「ひったくりやらなにやらが多くて大変だったよ。犯罪抑止の結界のままにしてもらえばよかったって後悔してる。」
「そうだったのね。こっちは一部直感に優れた獣人たちが不安になってるみたいよ。そわそわしてるだけみたいな感じもするけど。」
「…。ライアスのばかー!何が異変はなかったぞ?だ。ダメダメじゃんかー!」
しっかりしてくれ。思わず叫んでしまった。あ、周りから奇異の目で見られてる。
「いきなり叫ばないでよね。…まぁ、叫びたくなる気持ちも分かっちゃったから強くは言わないけど。」
「わかってくれて良かった。あ、そうだ、カトレアちゃん障害物競争一等賞おめでとう!」
「ありがとう。タイミングに関しては気にしないことにしておくわ。」
気を取り直して生徒の様子を見つつ二人で体育祭を観戦する。外とは異なり平和な光景が広がっている。
「魔王が復活してもこの光景は守らないとね。」
「頼りにしてるわよ?桜姫さま。」
「その呼び方止めてよ。」
「可愛らしくていいじゃない。サクラって名前にもピッタリだしなんで嫌がるのよ。」
「そもそも二つ名っていうのがね…。むず痒いっていうかなんというか嫌なんだよね。」
午前の部が終わり、中間結果が発表された。順位は一位が騎士科、二位が政治科、三位が魔法科、四位が貴族科、五位が魔道具科、六位が錬金科で七位が商学科だ。
「一位は騎士科、二位は政治科で魔法科は三位か。騎士科はまだしも政治科は意外だったね。」
「政治科の人たちはシルビア殿下が戦闘もできるからっていう人と模擬戦で実力を認められて殿下のお気に入りになった誰かさんたちを見て鍛え始めたっていう人が多いって聞いたわ。」
それって私とライアスがシルビアのお気に入りになってるってこと?
「いつの間にそんなことに?いや、殿下に気に入られてるだろうとは思ってたけど。」
「あのねえ、基本誰にでも敬称を付けてる殿下が呼び捨てにしてる数少ない人があなたとライアスなのよ?とても分かりやすいでしょう。それがなければ今頃貴族科の男達にモテモテだったはずよ?妾か愛人としてね。」
背筋がぞわっとした。そもそも誰とも付き合うとか考えてないし正式にアプローチされても断るけど正妻ですらないとは…。お貴族様恐ろしい。
*****
Tips 魔王
存在が魔物の活性化につながるといわれる存在だがその実態は謎に包まれている。御伽噺では出てくるが実際に見たことがあるのは神霊の契約者だけだといわれている。理由として、神霊と契約している人じゃないと存在感に耐えられないとか戦闘力に差がありすぎて瞬殺されてしまうからとか何かと噂話が多いが真偽は定かではない。その真実はいかに…。
カトレア「サクラは障害物競争得意そうね。」
サクラ「なんでそう思うの?」
カトレア「私と違って出るとこ出てないし。」
サクラ「私がまな板だといいたいのか!」
カトレア「?サクラには引っかかる尻尾も耳も無いでしょう?」
サクラ「そっちだったか…。」
次話は明日の0時投稿予定です。
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