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34話_文化祭出店編

「人来るかな?」

「来なかったらのんびりしましょう。」

「サクラ殿は有名だからいっぱい来るでござるよ!これで忍者の認知度も上がって後輩がいっぱいできそうでござる。」

「刀使いも多くなってほしいでござるな。」


 今日は文化祭当日だ。今は料理の仕込みなどの準備を終えてまったりしている。

 結局、私が執事服、カトレアちゃんが巫女服、楓さんが忍び装束でルノアさんが和装メイド服になった。

 最初はルノアさんが忍装束を着たがっていたがコスプレじゃなくなるので却下した。楓さんは動きやすいといって気に入っているみたいだ。


 提供する品は団子やあんみつ等の和風菓子を中心にしている。服装が和寄りのため合わせたのだ。ルアードさんに頼んで和菓子(・・・)を調達してもらったため準備も簡単だった。

 いや、最初は材料を用意して自作しようとしたんだけど...。私とカトレアちゃんはなんとか見れるレベルまで作れたけどルアードさんから販売許可が出なかった。楓さんは...、ルアードさんが一目見て投げ出したとだけ言っておこう。そしてルノアさんはできた和菓子の見た目だけは完璧なのに食べると激マズだった。なぜか薬味が入っていたり漢方が入っていたり...。何度言っても忍飯のアピールに必須だからと止めてくれなかった。


 そんなこんなでルアードさんがさじを投げて既製品を送ってもらうことになったのだ。

 ついでに当日の和菓子の管理や受付をしてくれる人員など、裏方の人も何人か借りている。


 ―――


 チャイムが鳴り文化祭が始まる。不本意だが桜姫とか恥ずかし名で知れ渡った私と三龍生の二人が喫茶店を出すという噂はあっという間に広がっており、広告活動を全くしなかったのにも関わらず、開始してすぐに人が来始めた。


「いらっしゃいませ。旦那様、奥様。本日は…。」

「サクラ~、久しぶり~。カッコいいわよ~。」

「よっ、似合ってるじゃねえか。」


 人が少なくなってきた頃、母とウィードさんが来た。


「ちょっと、なんで来てるの?」

「面白そうだからに決まってるだろう?」


 いや、決まってるだろう?ではないが?


「少し見ない間にサクラが反抗期になっちゃったみたいね~。」


 笑顔で言われても反応に困る…。


「もう、びっくりしただけだよ。反抗期にもなってないから…。そうだ、ウィードさんもあれ参加する?」

「俺がやってもいいのか?俺が勝っちゃうぞ?」

「いいよいいよ、楓さんも対戦相手に歯応え無くてつまらなそうにしてるし。」

「お母さまは参加しちゃダメなのかしら~?」

「母さまがやると会場が壊れそうだから止めてほしいかな...。」

「残念ね~。」


 刀要素をどう入れるか悩んだ結果、演武を見せることになったのだ。個人の演武だが、食事に来た客の飛び入り参加もありで、参加者がいる時は模擬戦になる。もし楓さんに勝つことができたら食費が無料になる報酬付きにしてみた。

 楓さんの動きが綺麗なおかげで食事中に楽しめると評判も良さそうだ。Sランクに届きそうな実力を感じてみたいって客や記念にといった感覚の客が良く模擬戦に参加しており給仕中に盛り上がったりしている。


「おう、忍びの嬢ちゃん。俺も一戦いれてくれや。」


 一瞬ルノアさんが反応していたがカトレアちゃんが止めている。楓さんはウィードさんの実力に気付いたみたいだ。


「サクラ殿の知り合いでござるか…。とてもお強い方とお見受けする。是非に一戦お頼み申す。」


 楓さんのスイッチが入ったみたいだ。念のためウィードさん以外の参加者を一度退避させる。

 楓さんの殺気に当てられたためか特に不満も出ず退避してくれた。


「暴れると会場が壊れるからな、この銅貨が落ちた瞬間を合図に居合切り勝負でいいか?」

「承知したでござる。第70期、三龍生が一人、楓。いざ参らん!」

「口上か、じゃあ俺も、ガーデンが一人、ウィード。参る!」


 楓さんとルノアさんが驚いてるがガーデンとはなんのパーティーだろうか?母に聞こうと思ったら冷気が漏れてる…。絶対に聞いちゃいけないやつだ…。

 母の冷気を見なかったことにして二人の勝負を見守る。


 ウィードさんが銅貨を弾き姿勢を整える。楓さんも雷と風を同時に纏い緊張が高まる。

 銅貨が地面に落ちるとともに二人が駆け刀を振るった。観客からは二人の場所が入れ替わったように見えただろう刹那の瞬間だったため、一部始終を見えたのは私と母、ルノアさんくらいだろうか。


「くっ、この短期間で二回も居合で負けるとは…。修行のやり直しでござるな…。」

「嬢ちゃんはええな。ちと焦った。」


 二人の会話から分かるように結論から言うとウィードさんの勝ちだ。というか私の修行を付けてた時より速くなってる?


「嬢ちゃんには負けられねえからな。まだまだ鍛えてるんだよ。あっちの嬢ちゃんに勝ったのってどうせサクラだろう?随分速く動けるようになったみたいだな。」


 私の疑問に気付いたのか頭に手を乗せつつ説明してくれる。ついでに褒められたがそちらはずるしている手前複雑な思いがある。


「私が勝ったのはずるみたいなものだから…。躱した時も切った時もね…。」

「ずるとは何をしたのでござるか?いや、それでもサクラ殿の実力に負けたのは事実。今回みたいな居合勝負ではなく普通の試合でござったから攻めるつもりはないでござる。ただ、回避した方法は気になるでござる。」

「今はお客様いるから後ででもいいですか?今は文化祭に集中しましょう。あ、ウィードさんと母さまはお代無料だね。おめでとう。」

「あら、ちょうど用意してた分の和菓子が終わったわね、みんな休憩に入りましょう。掃除とかもする必要があるだろうからルアードさんが貸してくれた人員次第だけど。」


 カトレアちゃんが確認すると商会の人たちだけで片づけをしてくれるから休憩に入って良いさそうだ。ご厚意に甘えて、せっかくだから母とウィードさん、カトレアちゃんと私の四人で文化祭を回ることになった。


*****

Tips ガーデン

 ローズ、ウィード、リリーが所属していたパーティー。全員がSランク冒険者と現在では伝説となっている。依頼達成率100%の偉業がたてられているが、よくやりすぎるため恐れられていた。一つの暗殺者ギルドを潰すためにそのギルドがあった国の闇組織がすべて壊滅したのが有名。

ルノア「あの可愛らしい奥方がサクラ殿の母君でござるか?」

サクラ「そうだよ、可愛い人でしょう?」

ルノア「あの厳つい顔の殿方がサクラ殿の父君でござるか?」

サクラ「違うよ、あの犯罪者面の人は父さまじゃないよ。」

ルノア「そこまでは言ってないでござる…。」





次話は明日の17時投稿予定です。


誤字脱字報告お待ちしております。

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