20話_推薦を賭けた決闘
幼少期編最終話です!
「さて、双方に書類の確認をお願いしようかな。」
「書類?」
「ああそうか、サクラ君は決闘をするときの規則を知らなかったね。決闘をするときは勝敗が付いた後に負けたほうがごねないように書類にするんだよ。」
「なるほど、道理ですね。確認します。」
先ほど決まったことが書かれ、一番下には領主様の判が押されている。
「確認しました。問題ありません。」
「俺も問題ない。」
「よし、それでは始めようか。」
「サクラ~。頑張ってね~。」
「相手は領主様のご子息様なんだから怪我させたらだめよ。気を付けなさい。」
「決闘でできた怪我は不問だよ。全力を出せなくなっちゃうからね。もちろん殺すのは禁止されてるけどね。」
「ふん。適正が無の者に怪我を負わせられるわけなかろう。」
「やってみなきゃ分からないですよ?」
そうは言っても今、天の適正を使ってできるのは…。うん、正直に言って魔刀を禁止されたのは結構いたいな。
「では、見届け人は僕。ディアード・グロウズが行うよ。サクラ君の勝利条件は魔法を一度以上使ってスティム君を倒すこと。スティム君の勝利条件はサクラ君が魔法を使う前に倒すこと。双方間違いないね?」
「「大丈夫です。」」
「よろしい。では、始め!」
「アースボール」
さっそく魔法で攻めてきた。息子君は土に適性があるみたいだ。
飛んできた土の球をよけ接近する。
「ふむ、魔法は攻めに使うのか?ならこれくらい破ってみろ。アースウォール」
土の壁が出てきた。見た感じ高さはあるが厚さはそこそこといったところか。それでも土は元々防御用の適正であるためかなり堅そうだ。でも...。
「やっ!」
「ほう、飛び越えるか、でもそれくらいなら騎士科に行けばいいと思うぞ。」
接近して格闘術を仕掛ける。武器のない状態での戦闘も母に詰め込まれている。
「やはり騎士科に行けばいいと思うぞ。推薦枠はないがその実力があれば合格できるだろう。」
「いえ、せっかくなら魔法科に推薦で入学したいので。」
意外と接近戦も行けるようだ。でも目的は接近戦で倒すことではない。
「そろそろいいかな。」
「なに?」
ある程度打ち合った後、その場から離れる。
「ふむ、なにか魔法の準備ができたということか。見せてみろ。超級適正とやらを。」
「じゃあ、遠慮なくいきますよ。」
「アースニードル」
「なっ!?貴様、土に適性があるのか?」
「いいえ。土の適正は持ってませんよ。表示されませんでしたからね。」
土の針を息子君に向けて突き出す。
「アイスウォール」
土の壁に阻まれそうになるが関係ない。
「曲がれ!」
「はぁ?」
土の針を曲げて新たにできた壁を迂回させる。息子君は壁を解いて視界を確保する。
「遅い、アースジェイル」
操っていた土を檻状にして息子君を捕まえる。
「負けを認めてくれますか?」
「ちっ、いいだろう。推薦に値すると判断した。降参してやる。」
「勝負ありだね。サクラ君の勝利だ。スティムはサクラ君に謝罪すること。それから魔法科への推薦の同意と、入学後にサクラ君が困るようなことがあれば助けること。いいね。私からはサクラ君の入学準備を補助しよう。」
降参する態度まで大きいとは。でも魔法を使えると知ってすぐに認めるとはあっさりした人だ。
「ところでなんださっきの魔法は。土の適正にはないぞ。」
「ええ、私が作った魔法ですから。」
「スティム。気持ちは分かるが先に謝罪だよ。決闘で決めたことは守らないとね。」
「あ、分かりました。貴様、いや、サクラさん。先ほどまでの態度を謝罪する。すまなかった。」
「いえ、大丈夫です。謝罪は受け取りますね。それと私に敬称は不要です。スティム様。」
「そうか。ではサクラ。俺に対しても敬称は不要だ。スティムと呼べ。ついでにカトレアさんも俺のことはスティムでいいぞ。」
「ありがとうございます。私のこともカトレアとお呼びください。学園ではよろしくお願いします。」
「ああ、何かあったら俺を頼るがいい。それと敬語も不要だ。」
「歓談もいいがそろそろ戻ろうね。サクラ君も汗を流したいだろうし三人ともうちのお風呂を使ってきなさい。」
「ありがとうございます!」
無事推薦を認めてもらえた私は母とカトレアちゃんと一緒にお風呂に入るのだった。
―――
「サクラ君、本来はない魔法が使えるのが君の適正の正体かい?土の適正は防御に特化していて攻撃用の魔法はアースボールしかないし、アースジェイルなんて他の適正でもきいたことないよ。」
「厳密には違いますが...。そうですね、魔法でできた物質を乗っ取って操作したり魔法の効力を増強する魔法だと思ってください。」
「なるほど、では最初サクラが突っ込んできたのはアースウォールを使わせて魔法でできた土を大量に確保するためか。」
「そうです。更に言えばできた土壁から距離をとらせて制御力を緩めるために攻撃を続けました。」
「ということは魔法の制御力が相手より高くないと乗っ取りはできなさそうだね。」
「想像にお任せしますよ。」
やはり優しそうな顔をしてても鋭い。今回の決闘の許可を出したのは弱点を見つけて対処できるようにするためかな。息子君が早めに認めてくれてよかった。おかげで奥の手は隠しておける。
「さすがに弱点を話したりはしないか。でもいいものを見せてもらったよ。最初は風当たりが強いかもしれないが、学園内で君が活躍すれば適正が表示されない人たちへの見方が変わっていきそうだね。じゃあ一週間後、色よい返事を待っているよ。」
「いえ、そのことですが...。」
「サクラ。この雰囲気で断るのか?」
「いや、そうじゃなくて、推薦をお受けします。一週間後じゃなくて今回答しようと思って。」
「そ、そうか。入学したらよろしく頼む。」
「私もここで返事を。推薦受けようと思います。」
「二人とも色よい返事をありがとう。よし、すぐに返答してくれて嬉しかったからカトレア君の分の入学準備をしてあげようか。一人だけだと不公平だからね。」
「え、いや、私は何もしていないので...。」
「いいのいいの。好意は受け取っておかないと逆に失礼になっちゃうよ?」
「その言い方はずるいです。」
うなだれているカトレアちゃんも可愛い!モフモフしたい!
「一週間後に返事をしてくれればまたおいしいお菓子を準備して食べることができたんだけどねぇ。」
「それは残念ね~。やっぱり返答を遅らせようかしらね~。サクラ。」
「母さま...。」
「ふふふ~。ジト目のサクラも可愛いわ~。」
「似たもの親子ね。」
あきれ顔のカトレアちゃんも可愛い!
こうして七龍学園への推薦が決まったのだった。
*****
Tips 決闘
意見が対立したときに行う。負けた方は勝った方の言い分を飲み込み反論が許されなくなる。見届け人が必要で正式な書類を作る必要がある。見届け人の元で勝敗の条件、それぞれの通したい意見などを決める。代理を用意することもできるが基本的に自分で参加することが多い。決闘と言いつつも戦うだけでなく、魔法の技能を競うだとか平和的なこともある。
次話は明日の17時投稿予定です。
次からは学園編に入ります。ストック無くなるまで毎日更新頑張ります!
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