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顛末

・・・機密のため名前は伏せさせていただきます。


〇〇家での「再生」の顛末


〇〇家で起きた「再生」は屋敷を巻き込んで〇〇家の敷地全体を覆う花畑となった。屋敷の住人たちは異変を感じた「聖女」の警告によって避難したが、当主一家は頑なに避難を拒否そのまま行方不明となる。巻き込まれて帰って来たのは養女として引き取られた「聖女」のみだ。

発生元は屋敷の離れだと考えられる。

離れから爆発する様に花が咲き乱れ光輝く「天使」が飛び立って行ったそうだ。





はい、私は無力です。

はい、出来ることと言ったら、見ること聞くことくらいです。

はい、私は寝ておりました。

はい、聖女様がいきなり入ってこられて、

はい、聖女様が私に「魔力」を注いでくださいました。

はい、虹色の光が視界いっぱいに広がりました。

はい、私の体から光が溢れて来ました。

はい、体が暖かく熱くなって活力が湧いて来ました。

はい、体が軽くなり体が浮き上がりそうです

はい、お兄様が

「何をしている!今すぐ止めろ!」と叫んでおりました。


はい、聖女様は

「辞めない!この人をこのままにしたら周囲の魔力とか生命とか吸い取って澱みが増えちゃう!」

はい、お兄様は泣きながら

「妹を私から奪うな!」と叫んでおりました。


・・・意外です私に勉強や鍛錬を施しても何も出来ない私を疎んじて居るのかと


はい、聖女様はそれでも力を注いで下さいました


「妹さんをおもちゃにし続けたいのね!いいかげんにして!体が上手く動かせないから外側から魔力を注いで正常に体が動かせる様になればこれ以上魔力を吸わない!」


はい、お兄様は「妹は魔力があれば体が動くのだろう?だから周囲の魔力を吸い取る様に魔術を施したのだ!」


お兄様がずいぶん昔に私の体に何かをしたのを思い出しました。あまり普段と変わらなかったので、忘れておりました。

やはり私は至らないようです。


はい、聖女様は怒り狂いました「信じられない!原因あんたなのね!人は魔力だけで生きてんじゃ無いよ!」


はい、お兄様は「魔力さえ有れば妹はまともに生きられる!」と泣いておりました。


やはり私はまともじゃ無いんですね。


はい、聖女様は怒ったまま「魔力、魔力ってバカじゃないの!普通に暮らしたいんだったら医者とか教会にみせれば良かったのよ!」


と私も出来ればそちらの方が良かったです。


はい、お兄様は「離れたくなかったんだ!」と泣きながら叫んでおりました。


はい、聖女様は「やっぱり妹をオモチャに思い通りにしたいだけじゃないの!お父さん、お母さんも犠牲にして!」


はい、よく見たら、ベットのそばにお父様もお母様もいらしておりました。重なる様に倒れております。気づきませんでした。


やっぱり私は至らない娘です。


はい、お兄様は「こいつらは私に全てを押し付けて、妹を無いものとして扱っていたそんな奴らどうなっても良いだろ!」


はい、聖女様は「自分だけ不幸だと思って!他人を平気で巻き込んで!あんたはクズよ!」


はい、少し言い過ぎかと思いましたが、よく考えたらその通りなので何も言わないことにしました。だんだん頭がハッキリして体が浮き上がりました。


「!!!!!!!っ」とお兄様が叫びました。


私は浮き上がり虹色の光に包まれておりました。軽くて、軽くて、走り出したくなります。こんなワクワクして生まれて初めてです。

私の周囲は花が咲き乱れ空には星が輝いて夢の中にいる様です。


私は自由になりました。


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― 新着の感想 ―
 こういう、様々なパターンの「信頼出来ない語り手」が含まれた、当事者たちの証言のみで構成されたお話は大好きです。最後、彼らがどうなったのかが詳しく語られていないのも、あれこれ想像出来て良いですね。
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