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「67話 ミウシア VS フレア 」


レオ、カナちゃん、トルペタ君がフレアさんに負けて、残るは私だけとなった。


「お、陰陽樹つかってんじゃねーか。どうだった?闇魔法は。速さは十分にあるんだから闇のほうが相性よかっただろ。」


「はい、この素材のお陰で新たな戦い方ができるようになりました。」


「じゃあ見せてくれ....よ!」

先ほどまでと違い私に向かって斧を振り上げながら走ってくるフレアさん、この人はスピードだけ見ると私よりも遅い。

落ち着けば、掴まられなければ私が負けることはない。


剣に闇属性を纏わせてフレアさんの斧を受け止め、弾く(・・)。そして瞬時に雷を纏わせた剣を振るう。


「なっ!」

斧はフレアさんの腕力を乗せた一振りを無視して大きく弾かれた。

両手を上げる形になってしまった無防備な状態の体へと雷が当たる。


「うわばばばば」


軽くしびれたフレアさんは、関電の硬直により動けなくなる。お腹に向かって部分的にスピリット・エレメント化した足で蹴りを全力で入れる。


高速で蹴られたフレアさんは後ろに大きく吹き飛ぶ。蹴りを入れた直後から準備を始め、フレアさんがこちらに再度走ってくるまでに準備が終わった。足のスピリット・エレメントを解き、闇属性の魔力を剣から吸収する。


「ダ、ダークスピリットです!」「?...ああ、今名前つけたのか.....。」「カナっち、フレアさんの技も名前つけてよ~。」


皮膚を薄い黒い靄が漂う。


「<光生成>クリエイト・ライト!」

自身の背面に光を作り出し自分の影をフレアさんへと伸ばした。

フレアさんは私の理解不能の行動に対して警戒を行い、走るのをやめて距離を取っている。


私は自分から延びる影と闇属性のマナを同調し、そのまま影の中へと消えた。


「なっ!!」

影の中でも外の状況は把握できるし声も聞こえる。

まぁ影と同化してるから、今はフレアさんの背後にできた影からの光景だけどね。


「ん~。ハイド・シャドウ?潜影?統一性がある方がいいですかね....。」「センエイ?...ああ、太古のヒューマンが使ってた言語か~。」「???」


あまり時間をかけると防御の隙を与えちゃいそうだし、このまま一気に畳みかけたいところだな。


「おーい、ミウシア?まさか逃げたんじゃねぇよなぁ?」

影の中で自分と同じ背格好にマナを形成し、フレアさんの背後から出現させる。


「っ!オラァ!!」

背後に気配を感じたのかフレアさんは振り向きざまに片手で斧を振るった。しかし残念、私はそこじゃない。

影に気を取られている間にフレアさんの影から飛び出て、側頭部に闇属性の渾身の蹴りを入れた。


「!?クッ...」

咄嗟に斧を持っていないほうの手でガードされたけど、手越しに側頭部にきつい一撃を食らったフレアさんの体は衝撃で宙に浮かんだ。

でもこのまま逃がさない(・・・・・)。


手に闇属性のマナを集中させ、蹴った時にマーキング済みのフレアさんに着いたマナを吸引する。


「っ!?」

吹き飛びそうになったフレアさんは不自然に空中で止まると、私の方へを吸い寄せられた。

体勢を崩して頭に打撃が入った状態では防御も甘くなるはず。

ここで決める!


残りの闇属性のマナを拳に一点集中させて振りかぶる。

流石に刃物でこの技を人にあてるわけにはいかないから。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◇SIDE:フレア


流石にやべぇ!

アルカナといいミウシアといい、何だってこいつらは自分の力がどれだけやべぇかわかってねぇんだ!?


これが当たったら流石のあたしでも死ぬぞ!?

ちょっとずりぃが、勝たせてもらうぜ。


ミウシアに吸い寄せられながらも、火属性へと変わっている体中のマナを皮膚から体外へと放出させた。


「ひゃっ!あっつう!」

突然の炎上にミウシアが体勢を崩し、拳のマナが霧散した。

....ついでにミウシアの服が燃え始めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ちょおおおおおおおおおおおおおおっと!!!!

燃えてるんですけどおおおおお!!


「か、かかかかかなちゃん!!!!!水!!!水!!!!」

やばいやばい服が燃える!!そんで金属部分の防具が熱い!!!


「<水球>ウォーターボール!!」

カナちゃんの魔法によって無事に鎮火され、安心した私はプルプルと頭を振って水を飛ばす。


「よし、いくよ!!....?」

すぐさま戦闘態勢に.....?周囲が静まり返ってる...?その割には周囲の視線が私に集まってるけど....。



「み、みみみみう!...服!!!服!!!!」

その声に疑問を浮かべながら自分の恰好を見直す。


.....え?.....!?!??

私が防具の下に着ていた服はところどころ燃え尽きていて、胸部分がほぼあらわになっていた。


「~~~~っ!?」

即座にしゃがみこんで胸を手で隠すと、観客席からは「いいぞー!!!!!」だの「こっち向いてくれーー!!」だの指笛が聞こえてくる。

どうやらフレアさんが炎で防御した時に、運悪く服が燃えてしまったようだった。

こんな空気じゃもう勝負どころじゃない、試合は私の負けか。

勝負には負けるし、胸は大勢にみられるし、こんな展開漫画やアニメだけでいいよもう!

なんだよ!踏んだり蹴ったりじゃん!!!泣けてくる!


ぐすぐすとしゃがみながら惨めな気持ちになっていると、フレアさんが近づいてきて私を布のようなもので覆ってくれた。


「あ~、その。悪かったよ。でもミウシアがあんな攻撃かまそうとするからだぞ。もう少し自分の使う技のことを理解しておいてくれ。」

布で体を隠しながら立ち上がりよく確認すると、その布はフレアさんに勝った時に貰うことになっている鬼神の布だった。

それはつまり....貰っていいのかな?


「これって....。」

「ああ、この勝負はあたしの勝ちだが、元々は4対1の約束だったろ?...修行したお前らの実力を見たらとてもじゃねえがあたしにゃ勝てる気がしねぇ。」


「じゃあ、指輪も早く出すですよ。」「杖も、ね~」「ミ、ミウシアさん平気ですか?」

カナちゃんがぎらついた眼で指輪を要求する、さっきまでは心配してくれてたのに....。

トルペタ君は顔を赤くして、私をチラチラ見てくる。年頃か。

レオは思ったよりさばさばしてる。女性の裸なら見慣れてますってかぁ~?


「わかったわかった!.......ほら!指輪...と、杖です。」

壁際に乱雑におかれた革袋と杖を持ってきたフレアさんは、指輪をカナちゃんに向かって投げ、杖は丁寧にレオに手渡した。

こっちは純情の癖にね!!レオは好かれてることわかってるのかな?


「これが全ての属性を使える指輪...はわ~。」「うん、手になじむ。杖マジカッケ。」「これで後はレベルだけですね~!」

何はともあれ、フレアさんにも無事認められたことだし、ひとまず一件落着かな?


「....よし!お前ら飲みに行くぞ!!!運動の後は酒と肉だろ!!!!」

フレアさんがレオに杖を渡した後、照れ隠しなのかはわからないけどこちらを見ずに手で私達を修練所の入り口の方へと招く。


「きっ、着替えてから向かいます!!」


「あー、そうだな。ジャイアント地区冒険者ギルド前の大きな酒場で先のんでっから、準備できたら来いよな。おら!観客席にいる奴も暇な奴は皆こい!!あたしのおごりだ!!!」

観客たちが歓声を上げながらフレアさんと共に修練所を出ていく。残された私たちは悔しさと喜びを分かち合った後、普段着に着かえて酒場へと向かった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◇SIDE:竜の王の側近

「なんということだ。人とはこんなにも強いのか....。」

目の前で繰り広げられる殺し合いと言っても過言ではないほどの戦いを目の当たりにした私は、思わずそうつぶやいた。



我が主にミウシアというバーニア族の人間を探れ、と命じられて、人型になれる私が人間の国の首都に潜入することになった。

王都と呼ばれるこの人間の国に忍び込んで捜査を進めると、ミウシアという名の人物がこの日にこの場所で模擬戦闘を行うと言う話を聞いた。

人間達の脆弱なる力を見てやろうと人間に紛れて観戦をした私は驚愕した。

竜を上回るスピード、力を持った人間がいるではないか!竜とは違い、空を飛べぬとはいえ、対空戦でも圧倒できるようなその力に驚きを隠せなかった。

特にあの魔法使いはとてつもない。低能な者どもにはわからないだろうが、一つの魔法に見せかけて実は数十もの魔法を同時に展開し、それぞれの役割を持たせて強力な1つの魔法に見せていた。

最初の巨大な魔法陣で範囲指定、同時に強力な水魔法で水を範囲上空に固定、小さな魔法陣で氷結、魔力阻害、魔力吸収、位置固定、結界、魔力伝達上昇.....それ以外にもいくつかの魔法を遅延魔法で固定し、水を落とすとともに遅延魔法解除。

そして最後に内部爆発魔法、消滅魔法.....どう考えても化け物だ。



主は何を警戒しておられるのだ、人間など我ら誇り高き竜の敵ではない!、とそう啖呵を切った事を思い返す。


確かに、我が軍全てでこの都に攻め入れば、いくらあの魔法使いがいたとてわが軍が勝利するだろう、しかし個々の戦力が高い我ら竜は何分、数が少ない。

主の目的はミウシアをデストラ様の生贄に捧げることだが、種が滅亡するようなことはできない。


「確かにこれでは戦力が足りない....。」

屈辱ではあるが、他の知能が高い魔物たちと協力するしかないだろう。


運よく魔物達が強力に賛成するのであれば、ミウシアを生贄にするだけでなくこの地を占領する人間達を滅ぼし、我ら魔物が世界を統べることも可能かもしれない。


そうとなれば今すぐにでも主に報告しなければならない。


私は日が落ちた後、暗闇の中で人間たちが魔大陸と呼んでいる方角へ向かい、飛び立った。


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