~解答編~
いよいよ解答編です。
貴方の推理は当たっていましたか?
期間中、回答をくださった方の中で、正解だった方のユーザーネームは、後書きにて発表させて頂きます。
「伊織川さん、降参よ。先生に教えて」
暫し考えたが、明確な解答を思い付かなかった柳沢先生が、疲れた顔で天音に白旗を振る。
その先生の顔を眺めて、優越感に浸っていた天音が人差し指を立てて、ウィンクする。
「過冷却現象よ」
「かれーきゃくげんしょー?」
天音の答えを聴いても、ピンとこない探偵クラブの三人は、棒読みでオウム返しする。
「そう、密閉された容器で、ゆっくりと冷やされた水は、0℃を下回っても凍らない事があるの」
天音の説明を食い入るように聴く柳沢先生。
「そこに衝撃を加えると、水は急速に凍るのよ。冷凍庫で冷やし過ぎたペットボトルのようにね」
「へぇー……」
何の感情も入らない返事をする仲間達を他所に、天音が続ける。
「夏の暑さで膨張した空気が蓋から漏れた事と、冬の寒さで収縮した空気の所為で、蓋で密閉された容器と同じ状態になっていたのね……。そして、外気に冷やされた水が過冷却状態になった」
「そこに、先生がキーホルダーを投げ込んだショックで水が凍ったのか!」
飲み込みの早い塩谷が、膝を打った。
「その通り!だから、あんな事になってしまったのは、先生にも予想外だったのよ」
「何だぁ……」
拍子抜けする仲間達に、天音が言う。
「でも、今回は柳沢先生も悪戯が過ぎたわね。これからは、こんな事を二度としないように、念書を書いてもらわなきゃ」
「えぇーーっ!それは、いいじゃん!」
三人は天音に反発する。
「これはこれで、面白かったから、またやろう!」
「そうそう、探偵クラブらしい事件だったし」
「今度は俺が解決してやんよ!俺やってやんよ!」
わぁわぁ騒ぐ三人に、天音は背中を向けて、
「勝手にしなさい!但し、私を巻き込まないでね」
拗ねる天音に、麻里佳が後ろから抱き付いて、
「ダーメッ!天音は探偵クラブの一員よ!これはリーダー命令」
悪戯っぽく笑う麻里佳に、天音はべーッと赤い舌を出して、そっぽを向くと、クラブ活動終了を告げるチャイムが、校内中に鳴り響いた。
《終わり》
正解は、
『過冷却現象』
でした。
見事、正解された名探偵の方は………。
『浅間雅』様
『嵩宮 シド』様
でした。
おめでとうございます!
クイズにご参加くださった方も、読んでくださった方も、誠にありがとうございました!
この企画を楽しんで頂けた方々が多かったら、次回もあるかも知れません。
また、次の企画でお目にかかれたら幸いです。
この作品を読んでくださった名探偵の皆様に、心からの敬意を込めて―――。
小日向 冬馬