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いつもより早めに目を覚ます。
今日は新作スイーツの発売日なのだ、どうしても食べたい。
支度を済ませ、少し離れたところにあるコンビニまで向かう。
うそっだろ……
売り切れてる……
するとレジに立っていた店員さんが声をかけてきた。
「お兄さん惜しかったですね〜ついさっき売り切れたんですよ」
うぅ朝イチに食べてみんなに自慢したかったのに……
しょぼくれながら店を出たところで電話がかかってきた。
狭山からだ、ここで出たらまずいよな、ん〜おっ良さそうなところ発見。
コンビニの裏にスペースを見つけたのでそこに入り電話に出る。
「なんだ狭山」
「あっお嬢、ちょっとお伝えしようと思って、10年前サツにパクられた松田さんって覚えてます?」
「松田松田……あ〜覚えてるよ、子供の頃によく遊んでくれた人だよな」
松田
俺がまだ鬱気味の頃に励まそうとしてよく相手になってくれた人、10年前に当時敵対していた組織にはめられ殺人の罪で捕まってしまった。もちろん無実だ。
「それが4月の28日に出所が決まりまして」
「お〜松田出所すんのか!めでたいじゃん」
「それで出所祝いに宴会を開こうと思ってるんですよ」
「ん?うちが宴会受け持つの?松田って権田原組長とこの人じゃなかったっけ?」
権田原組長
権田原組の組長でうちの佐藤組とは昔から仲が良く、俺も何度かお世話になったことがある。
「あ〜そっか、お嬢受験シーズンだから言ってませんでしたね、権田原組長は3月の頭に亡くなったんですよ」
「えっ!嘘っ!権田原組長無くなったの!?いつ?誰にやられた!?」
「いや、そういう訳じゃなくて、その〜自分の健康診断の結果に驚いて喉に飴を詰まらせたらしくて……」
「あ〜そう……それは……うん……ご愁傷さまです……」
なんか……うん……ご愁傷さまですとしか……
「それで仲の良かったうちが受け持つことになったんですけど、ちょっとお嬢にお願いがありまして……」
「お願い?いいよいいよなんでも言って?」
「そのですね……お嬢には是非、浴衣を着て女性として振舞って欲しいんですよね……」
「……マジで言ってる?」
「ほら松田さんってお嬢が男として生きるって言い始める前に捕まっちゃったじゃないですか、だから知らないんですよ今のお嬢を、それにお嬢のことすっごい可愛がってましたし出所したばっかりで精神的に負担かけたくないって言うか…」
「いや……そりゃそうだけどさ……勘弁してくれない?きの……いやなんでもない」
蓮のことがあったのはつい昨日のこと、しばらくはおとなしくしていたい
「予定としては出所したら松田さんをはめたヤツを埋めてその後はいつものところでって感じです。そこでお嬢の成長した姿を見たら松田さんにとって最高の1日だと思うですよ」
「埋めるって……まぁ確かに」
松田はよく俺のことを励ましてくれたりしていた。そんな松田が今の男の姿の俺を見ると楽しい気分が台無しになってしまうのは間違いないだろう。
「あっあとこの話誰にも聞かれてないですよね?言わないでくださいね、出所のことバレたらはめたヤツらを捕まえる計画とかも頓挫しますし、松田さん結構多方面に恨み買ってるから狙われるかもしれないんで」
「あ〜確かに聞かれたらまずいな」
「スピーカーにしてないですよね?」
「大丈夫だって誰にも聞かれて……」
そこで無意識に足をすすめながら辺りを見渡すとちょうど室外機の裏にしゃがんでいる人と目が合った。
「ないから」
「じゃあ4月の28日ですからね、いや〜楽しみですね〜、お嬢浴衣姿」
「うん、うん、うん?まてその件はっておい!……切りやがった」
絶対組員揃って俺の浴衣姿が見たいだけだろ……
「さてと、お姉さん、ちょっとお話しようか」
それはともかくとして、人に見られていたらしい、まぁ別にスピーカーにしていた訳では無いし、俺の声だけしか聞こえていないと思うのでそこまで心配入らないと思うが念の為……
俺は足を壁にかけ、逃げないように退路を塞ぐ、久々に脅しモード
「あっあっ……」
「今の電話、聞いてた?」
「いっいえ、聞いてません」
相当怯えてるみたい、心苦しいがこればっかりは仕方ない。
「ほんとに〜今の会話普通の人に聞かれる分には問題ないんだけどさ〜怖ーいお兄さんとかに聞かれるとまずいんだよね〜」
お姉さんは無言で頷く
「お姉さんがそういう人と関わりないか調べさせてくれない?」
「はっはい……」
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