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順序

カラオケの後、朝奈さんと解散してから俺は家のベットで寝転んでいた。モヤモヤして眠れなかった。



朝奈さんは何を言おうとしていたのだろう。もしかして……告白しようとしていた? まさか……でも。朝奈さんのあの雰囲気なら、告白であったとしても不思議ではない。

 でも、だとしたら俺はその告白を、途中で朝奈さんの手を離して、最後まで聞くことをしなかったんだ。


最低だ。俺は手を離さずに、朝奈さんの言葉を最後まで聞くべきだった。たとえ、あれが告白じゃなかったとしても。朝奈さんがあんなに必死に、俺に何かを伝えようとしていたんだから。


……そうだ、俺が告白すればいい。だって、俺は朝奈さんが好きなんだ。もしあれが告白だったなら、俺が告白することで朝奈さんの思いに返事をした様なものになる。あれが告白じゃなかったとしても、俺は朝奈さんのことが好きなんだから告白すればいい。


そうすればいい。俺が朝奈さんに告白すればいいのだ。好きだ、と伝えればいい。


……できるだろうか。自信がない。俺は今まで自分を主張してこなかったのだ。自分の意見を、思いを表現するよりも、周りを見て、他者を見て合わせることが、俺にとって生きることだった。だからこそ、俺は平穏な大学生活を目指していたのだ。しかもろくに恋愛なんかしたことがない。


——でも、思わず抱きしめてしまうほど、朝奈さんのことが好きなのも事実なわけで。


……順番にやろう。俺なりの順序で、告白までいけばいい。自分を馴らしていくんだ。いきなり告白は無理かもしれないが、デートに誘うとかから始めて自分を馴らしていけばいい。



俺はスマホのメモに文字を入力していく。



俺からデートに誘う → 俺から手を繋ぐ → 俺から



文字を入力する俺の指が、止まってしまった。なんて書けばいい。次は……。

 いや、これ以上の順序は必要ない。あとは俺が好きだと伝えること。



俺からデートに誘う → 俺から手を繋ぐ → 俺から告白する



文字で入力するのも少し恥ずかしかった。だが文字にすることで、少し告白できる気がしてきた。これだけで少し満足感が生まれた。


あとは俺が頑張るだけだ。

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