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ダンジョン攻略で借金返済!   作者: 明治産
第三章 倭人編
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第二十七話 「異変の前触れ」

 シエンが地上に脱出した時点で脱落した為、そこでシエンが起きるまで此処で過ごす事にした三人はそこで色々と話をする事にした。


「そういえばハオさん。顔色が少し戻ってませんか?」

「んー…?よく分からへんが、莫耶の黒い泥のお陰じゃないんかな。あの泥、再生能力持ってるみたいやしな。血液にもなり変われると思うで」

「へぇ。そんな力があるんですね。あの人は本当に人じゃないみたいです」


 ハオの口調はいつもの口調に戻っていた。

 どうやら真面目な時はとことん真面目になってハメが外れればとことん外れるタイプなのだろう。

 そんなハオがちらりとずっと銃器を弄っているチィの方を見て難しい顔をする。

 それに気付いたのか、掛けていた眼鏡を上げながらハオの方を向く。


「どうした?」

「水入ったから壊れとるんちゃうか?お前の水陸両用ちゃうやろ?」

「んー…。水陸両用銃なら生きてるんだが、やはり残りは全滅だな…。まぁ、仕方ない。だいぶん火力は落ちるが、無いよりはマシだろ」

「あれ?でも干将を爆撃した時に使ったあの銃はどうしたんですか?それとは形状が違いますよね」


 リーの言う通り、干将に一矢報いたあの銃はチィが今現在持っている銃とは別物だった。あれ以降あの銃を持っている事も無かったし、使いもしなかったから少し不思議に思ったのだ。

 チィはあぁ、と少し声を出してリーの方に手を向けてきた。至って普通の、綺麗な手。


「悪い。後で莫耶に礼を言っておいてくれ」

「礼、ですか?」

「うん。お前が陰剣を受け取る時に大量の黒い液体が滴ってただろ?あれは私達の傷を癒す物らしくて、今は無いんだが、それ以前までこの手を火傷していた」

「火傷…?」

「そ。小型焼夷弾を撃った反動か知らないが、あの銃がぶっ壊れてな、排熱が間に合わなくてその熱をモロに私の手に貰った訳だ」


 それはきっと元々焼夷弾を放てる様な銃器では無かったのだろう。しかし、莫耶と干将を両方とも葬れるのはそれしか無かったってだけだ。

 結果的に転生した為意味は無かったが。


「だからお前の背中もきっと再生してる。あいつの液体は万能だな」

「背中。…背中?……あっ、そういえば火傷してましたね、私」

「え?忘れてたのか?」

「戦闘に集中してると痛みなんてどうでも良くなるんですねー」


 苦笑いを漏らしながらそう言うリー。

 ハオは貧血で倒れそうになっていた自分が情けなくなったのか、手で顔を覆った。

 そんなハオの肩に手を置いて、目を覚ましたシエンが口を出す。


「貧血は仕方ないからそんな落ち込むなよ」

「だってよぉ……ってシエン、大丈夫なんか?」

「ん。身体は痛いけど動けはする」

「よいせっと、んじゃ、シエンも起きたし行くとしますか」

「そうですね」


 そこからの行動は早かった。

 シエンに杖代わりに金剣を渡して、ただひたすらに歩く。行く時は大きな虫が大量に蔓延っていたのだが、今回はそんな事なく、何とも遭遇せずに夜には検問所に辿り着く事が出来た。


「なんや…何も居らんかったな」

「そうだな。あんな静かな砂丘も始めてだ」

「お前達は虫共に出会いたかったのか?」

「いや、むしろ嬉しいぐらいだね。私は中々にトラウマなんだよ、アレ」

「「確かに」」

「………?」


 三人が虫について話している時にリーだけは首を傾げていた。チィと虫についての話ではなく、検問所から漂ってくる何か、違う雰囲気に対して。


「どうした?」

「あぁ、兄様。いいえ…なんだか変な感じがして。人の気配もあまりしませんし…」

「…………そうだな。この前通った時とは違う雰囲気だ」

「まぁ、通らなきゃ駄目なんだし行くしかないだろ」

「そうですね…行きましょうか」


 何やら嫌な予感がしながら四人はその検問所の中に足を踏み入れる。

 その中の光景を目の当たりにして、全員の目が見開かれた。

 壁に飛び散る血、血、血。

 壁がそれなら床は当然血溜まり。辺りには血肉の臭いが漂い、その惨劇が見て伺える。

 血溜まりに浮かぶ死体の中にはシエン達の受付をした女性も含まれていた。生者の気配は何もしない。


 リーにはその光景があまりにも凄惨過ぎたのか、腹を抑え、胃液を思い切り吐いてしまった。

 シエンはそんなリーに近づいて背中を撫でながら声をかける。


「おいっ…リー、しっかりしろ。大丈夫だ」

「すいませ…っ……」

「これは不味いな。此処を早く出た方が…!?」


 ハオが全体に指示をして出口へと向かおうとした時、その言葉を止めて、動きも同時に止めてしまった。

 ハオが見やる先、待合室の奥の出口に血溜まりの上で片膝を付いて座る人物がいた。

 その全容はソレの背後の月光のせいで分からない。

 だが、その目が四人を捉えたのは分かった。

 欲という欲に淀んだ目が此方を睥睨し、威圧する。

 そして、その人物は四人に向かって、否、シエンとリーに対して軽い口調でこう言った。


「お初にお目にかかります…結構待たせてくれたじゃないですか、僭王の兄妹さん?」

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