お好み焼きとリヴァイアサン
この物語は、私の他の物語と繋がりが有る物語です
いわばスピンオフ的な物語です
リヴァイアサンが全員雌しかいないならば……
人外娘好きとして、妄想せずにはいられない訳でして
ざわめく周囲の人々
いつの間にか、見たことも無い場所で、空は無限に広がり澄んだ空気が都会人にとっても、田舎よりも綺麗な空気だということが判る
「何ここ?
夢なの?
マイドリーム?」
等と一人言を洩らす、かっこいい容姿の女性までもが困惑していた
「おお〜ぅ
ゴスロリ……」
みんなの前に、死神を連想させるフードの付いた、ゴスロリ風メイド服を着た幼児が現れ、思わず声を漏らしたのは
鳳 静樹
という中二病感の溢れる名前の所為で、男友達すらいないどころか、嫉妬により男に嫌われまくっている
女子からは、そもそも男子校なので縁すら無い所為で人間の彼女すらも出来ない
『はーいどーも〜
皆の衆!!
わし神様!!』
可愛いゴスロリ幼児が、テンション高めに
若干無理をしている様だが人々に一生懸命喋っている
「微笑ましいな……」
『えー……
今から、皆様には殺しあいをしてもらおうかの〜』
幼児が不穏な事を発言した直後、静樹の首が後から絞められた
「ググッ……ェ!!」
『なーんちゃって!!
嘘じゃよーん♪
はい、そこ〜!
本気にして、首絞めな〜い!』
「はあはあ……ナニコイツ……普通速攻で絞殺しにくるとか怖すぎるってぇ……」
自称神様の幼児が、反感を買い靴を投げられている
『……って!
止めぬか!!
靴を!! 靴を投げるな馬鹿者!!
危ないじゃろ!!
ほれ!! 言わんこっちゃ無い!
関係ない者の頭に当たったじゃろうが!!
』
そもそも、全力で煽る幼児が元凶であるにも係わらず、いけしゃあしゃあ
とよくそんな事が言えるなと思う者もいる中
またもや、爆弾発言を続けて見ず知らずの女性を激昂させる幼児は
戦いを煽る
「ケルト神話とか、ギリシャ神話の争いを起こす神様っぽいなぁ〜」
尚も煽る幼児に怒る女性に、1人のかっこいい女性が近づいた
「あれ?
もしかして……浦見坂さん?」
「ほーん……うらみざかって苗字なのかぁ……
いっぱい逆恨みしてそうな苗字だなぁ……」
独り言を呟きながら、様子を覗っていると
どうやら因縁が有るらしく、いざこざ処ではない
争いが勃発している、幼児は異世界に行く為に、ガチャか自分で好きに選ぶ権利をくれる様だ
「ガチャか……ハズレも有るのか〜
無が出たよあの人……可哀想に」
幼児がガチャの特典を説明をする、かっこいい女性は様子を見ているようだ
静樹は、自分で選ぶ事にした
発想力や妄想力は有る方なので、ガチャに頼る必要が無く
好きなのを選ぼうにも
出されている中に自分がほしいものは無い為、もしかしたら注文をすれば、出してくれるのでは無かろうか?
と考えたのである
そして、静樹は実行に移した
「あのすいませんけども〜
質問良いですか?」
『何にかじゃ?
すまぬ、噛んでしもうた……このしゃべり方慣れてなくて……
って……つい素が』
「ここに出てる以外のって注文できます?」
『……ちょっとこっちへ来るんじゃ』
幼児が空間に穴を開け
静樹は、別の空間へと連れて行かれた
『エイプリル後、頼んだから……』
隅の方で紅茶を飲んでいた赤いメイドにそう告げると、幼児は静樹を入れた穴へ入って行く
「めんどくさいです。」
『後でエイプリルの分のドクペ序でに買って来るから!』
「任せてください
大丈夫です、問題無いです。」
▽▽▽
『さて?
何が望みか、言うと良いよ〜
ここにいる、エステルってスターのメイドが
叶えてくれるから』
幼児の横を見ると、宇宙の様な黒く、白い点が幾つも模様として付いた
メイド服を着た美少女がいた、銀河の様なメイド服にかかる真っ白いエプロンは、まるで天ノ川の様に実に美しいメイドであった
「えっと……エステル=サン?」
エステルは、喋らず
頷いた、小さな恒星を出現させて
ペンライトの様に高速で動かし
宙に文字を描く
[ばしゃと きれぼし!]
「Hさせて頂く。
うーん、バグは いいぞ。」
[間違えました]
「あっ……間違えちゃったのか
お茶目だなぁって思ってたけど書き間違えただけか……」
[願いは?]
「武器や防具って、一般人の僕には使い熟すなんて無理そうだから
仲間っていうか……
恋人とか嫁さんって要求通ります?」
[可]
「一応聞くけど……さっきの、エイプリルって赤いメイドさん
可愛かったんだけど……
連れて行ける?」
[不可]
「あっ……やっぱり?」
『エイプリルって、見た目が可愛いから
よく、しつこく言い寄る人が多いけど、性格が合わなくてみんな冷めるし
体温も0度って冷え冷えだから、凍傷とかで危険だし……』
「マジかよ……」
[エイプリルは私の]
「百合……最高……
じゃあ、例えば……人間以外の嫁さんって大丈夫?」
[オフコース]
「じゃあ例えば……
エンプーサとかメドゥーサとかラミアーとかアトラク=ナクァとかアラクネーとか
オーケー?」
エステルは、頷いた
「やった!
じゃあ……強くて可愛い人外嫁ください」
[具体的に]
「えっと……確か……
リヴァイアサンって女性らしいし……
リヴァイアサンのお嫁さんを……」
[了承――転移開始――転移酔いの心構えを提案]
心構えをする時間も無く、静樹は異世界に飛ばされた
内臓が上がる様な浮遊感と、何もない空間を落ちている感覚は正にフォール系絶叫マシンに乗っているかの如く
静樹は、一瞬の間に体験したのは体感時間で
3分間くらいの長さに感じた
そして、瞬く間に海へと着いた
「う……海……って
ここ、孤島!?
無人島なの!?
木の一本も生えてないんだけど……
おっかしいなぁ……孤島スタートのシード値引いちゃったかぁ〜アハハ……
うわあああん!!
可愛い人外嫁は何処ぉ!!」
『吾の上で喚くな……騒々しいぞ』
うねる足元、黒い孤島は
頭を持ち上げ背中に乗る静樹を見遣る
大蛇の顔をしている、頭部の側面には暗い藍色の角が渦巻き状に生えていた
「リヴァイアサン……?
リヴァイアサンなの?」
『如何にも吾はリヴァイアサンじゃ
……もしや、通達のあった吾の婿殿か?』
「うん、多分そう……
エステルってメイド服の喋らない人にお願いしたから〜」
『そうか、吾が婿殿よ
名は何と申すか?』
「僕は、鳳って苗字で静樹って名前だよ」
その時、静樹のお腹が音を立てた
こんな時でもお腹は減るものである
『何じゃ?
シズ、腹が減ったのか?
朝餉にするか?』
「うん……朝食未だっていうかなんというか……
朝起きて、瞬きする一瞬で気が付いたら知らない所にいたから
ご飯まだなんだよね〜」
『ふむ、では吾が魚を獲ってこようか』
そう言うと、リヴァイアサンは
海に潜って行った
「オボボボ!!
溺れるうぅぅぅ!! ヴェアアアアアア!!
ボエェェェェェェ!!」
『すまぬすまぬ……
よもや、シズが泳げぬとは思わなんだ……』
静樹が溺れた為、リヴァイアサンが、慌てて浮かび上がってきた
「アハハ海水でお腹がいっぱいだ〜ウップ……」
『……仕方がない
陸へ行くかの』
「はーい!
えっと……リヴァイアサンの名前ってリヴァイアサンでいいの?
個体名じゃないの?」
『吾の名なぞ好きに呼べい』
「うーん……レヴィア……たん?」
『結局個体名か?
それに、恥ずかしく感じるのは何故……』
「うーん……レヴィ?
いや……まずは、個体名から離れようかな……エンヴィーとか……うーん……
ユラン……とかどうかな?」
『良い名じゃ
吾も名をユランと名乗れば良いんじゃな?』
「気に入ったんなら良いんじゃない?
色々ネットで、調べてて良かった〜
ウブェ!! オボロロレロレロ……海水が……出た……」
『海水の飲み過ぎは命取りじゃぞ』
▽▽▽
浜辺へ上陸したユランは静樹を降ろした
『この姿では、陸は小さすぎる……
陸に合わせる必要が有るか……』
ユランの姿が変わって行く
黒く、ゴシックドレスに和風の要素を取り入れ
調和させた様な服を着ている女の子の姿に
「可愛い……ユランちゃん可愛い……」
『おっと、脚を変え忘れたようじゃ……』
「変えないで……
このままでお願い!」
『何故じゃ?
脚だけ蛇のままでは、中途半端ではないのか?』
「ラミアーみたいで素敵じゃないっすか〜♪
巻かれたいね!」
『ラミア〜?
ふむ、やはりシズは異形の者が好きなのか……』
「ユランちゃんがいるから浮気はしないけどね!」
『当然じゃ
浮気なぞすれば、吾の夕餉にシズが並ぶ事になる』
「さすが、嫉妬する蛇!
でも、それって一途で
ずっと一緒で直向きに居られるって事だから
幸せな事だよね」
ニッコリと微笑みを向けるシズに、ユランは
照れくさそうに、頬を掻いた
「ところでユランちゃん
海の怪物とも呼ばれる
レヴィアたんが、上陸大作戦して大丈夫なの?」
『吾は水陸両用じゃ
問題は無い』
「そっか〜
じゃあ、産卵は陸に上がるタイプの海蛇なんだね」
『産卵……
無精卵なら希に産むのじゃが……
砂に埋めても、欲深な人間共が掘り返し
高値で取り引きしておるらしいのじゃ……』
「のじゃロリだ!
わーい!」
『落ち着けシズ
シズが食せそうな物を獲って来るまで大人しく待っておるんじゃぞ?』
「待ってる♪
って言いたいところだけど
こういう場合、1人で待ってる時に襲われて
逃げてる内に迷って、空腹で倒れて食べられるかもしれないからね……
死にたくないから付いていく」
『死にたくなければ付いてこいなら露知らず
死にたくないから付いていくとは……
情けない言葉じゃの
まあ、よい
吾と来るんじゃ』
「OK!
ウドンッ!」
ユランと静樹が食料を探して歩いていると、少女が1人倒れていました
『おお〜
シズ、肉は焼いた方が好きか?
生のままか?』
「人間は、共食いすると
クールー病っていう牛が、牛骨粉を混ぜた餌を食べさせられた時になる狂牛病みたいな感じで
病気になるんだよ
だから、僕には食べられないよ
精神科医じゃあるまいし……」
『精神科医?
シズの言葉は、難解じゃな
まあよい……これっぽっち腹の足しにもならん
見逃してやろう』
少女を見逃して、去ろうとしたその時
怒号が鳴り響いた
「ウオオアアア!!
女の子から離れろ!!
そこのラミアァァァ!!」
声のする方向を見遣ると
男が走りながら、クロスボウを構えて、ユランの額へと
矢を射る
だが
『シズに当たるじゃろ!!』
額に当たる前に、ユランは矢を掴み投げ返した
「鼻がああああ!!」
「ウワアアアア!!
グロいよおぉぉぉ!!」
▼▼▼
ユランは、ボウガンの男を治した
『これでもう大丈夫じゃろ……
まったく……これに懲りたら、不用意に……
感情的に正義感から突っ込むのは止めるんじゃな』
「ズビバゼン……」
「しかも、ユランちゃん
ラミアじゃなくて、リヴァイアサンだよ
レヴィアたん!」
『レヴィアたんは、やめい
恥ずかしいじゃろ』
「ユランちゃんが、回復魔法も使えて良かったね?
鼻に矢を受けてたのに……ブフッ!
矢を……イヒヒ!!」
「何を笑って……」
「いや、だって……ホヒヒヒ!!」
『苦手なんじゃよ……
破壊なら得意なんじゃが……』
「顔……どうなってるの!?」
襲い掛かってきた男の鼻は、豚の様な鼻になっていた
「あのね……ブヒッ!!
ブタッパナ!!
アヒヒヒヒ〜!!」
「覚えてろコノヤロー!!
あああああああ」
男は、去っていった
『魔法を使ったら、腹が減ったのじゃが……
ふむ……』
「後々、敵が増えそうだから別の食べようよ〜
とりあえず、この女の子助けとけば
情は人の為ならずって
ことわざがあるから……」
静樹は、倒れている少女を見ているユランに言う
『小娘なんぞ食らっても腹の足しにもならんじゃろ
吾は、大食いなんじゃ』
「普段何食べてんの?」
『吾は、クラーケンやアスピドケロンじゃな
食べ応え抜群じゃぞ?』
「大食い……クラーケンねぇ……烏賊のイメージが有るね……
たこ焼きが食べたくなったよ……」
『何じゃ?
たこ焼きとは』
「美味しいよ〜
関西名物だよ〜
調理器具も食材も無いから作れないけど」
『食材と調理器具とやらが有れば作れるんじゃな?』
「まぁ……せや……な?
ってね〜言いたいところだけどね〜
アヒージョ作る鉄板みたいなヤツがいるんだよね〜
この子、助けてから考えよ
味方は多い方が良いからにょ」
『にょ?
……仕方ないの
……村を探せば、シズが食べれる物もあるじゃろ』
▼▼▼
少女を運びながら彷徨いていると、村と村の出入り門に村人を見付けた
「ここはワタツミのムラだよ」
「あの、すいません
女の子が倒れてたんですけど」
「ここはワタツミのムラだよ」
「え? いや、だから女の子がね
倒れてたの」
「ここはワタツミのムラだよここはワタツミのムラだよここはワタツミのムラだよここはワタツミのムラだよ」
「怖い怖い怖い!
何!? バグなの?
いっつもだよ!
ゲームすればグラフィックバグ!
テキストバグ!
フリーズバグ初期化バグ!
浮遊バグ!
ゼロパーセントが3つ!」
話の通じない人に、自棄になるシズに
別の村人が喋りながら、近づいてきた
「あ〜すまんすまん!
そいつは、若い頃
海の魚のモンスターの集団に滅ぼされた村から保護された奴でな〜!
狂っちまったんだよ〜!
ここはワタツミのムラだよしか言えねえの!」
『気が触れたのか、難儀よのう』
「ここはワタツミのムラだよ」
「女の子が倒れてたから、連れてきたんですけど
ここの村の人ですか?」
シズは、ユランが背負っている倒れていた女の子を見せた
「ミズーリ!!
何処に行ってたんだよ!?
意識が無いのか!?」
「みたいだよ?
意識が無いからって、変なことはしてないから
安心してちょ」
「そうか〜
この子に何かあったら
おやっさん悲しむからな……」
「親子が再開できて良かったなぁ〜」
「いや、ミズーリは
おやっさんを探しに出たんだよ」
「良くなかったなぁ〜
親子が再開できてなかった〜
戦艦みたいな強そうな名前なのに倒れてるなんてな〜
空腹かな?」
「この辺りは、盗賊がいるからな
食料を奪い、空腹で気を失ったのを狙い
今度は奴隷商人に売るんだよ」
「怖いなぁ」
「なんでも、ボウガンを使うとかなんとか……
特徴の無い何処にでもいる様な容姿だから
ボウガンの男ってだけしかわからないんだよ」
『あやつか……
心配は要らんぞ?
吾が、滑稽な豚の鼻にしたからの
判りやすい特徴じゃ』
「そうそう!
ユランちゃんが、ボウガンの矢を掴んで
世紀末のヒャッハーキラーみたいに
矢を投げ返したから、鼻に矢を受けてしまって
回復魔法の失敗でブタッパナ!!」
「ブフッ!
ハッハハハハハハ!
いや〜!
良くやったな〜!
モンスターテイマーとして誇らしいだろ?
え? こんな強いラミア手懐けるなんてな!
黒くてかっこいいしな!」
膝をパンパン叩いて爆笑しながら、ユランとシズを誉めあげる
「いや、ユランちゃんは
リヴァイアサンだよ?
それに、ユランちゃんは僕の嫁さ」
『如何にも吾はリヴァイアサンじゃ
そしてシズは吾の配偶者じゃ』
「リヴァイアサン!?
イメージと違うんだけども!?」
『陸に合わせてやってるんじゃ
吾の姿は陸には、強大じゃからなハッハッハ』
不敵に笑うユランを前に苦笑いしか出ない村人と、NPCの様に
「ここはワタツミのムラだよ」
と同じ言葉を繰り返す村人に、シズは腹の虫が鳴る音で
空腹なのを思い出した
「なんだ?
腹ペコか?
食ってけよ! ご馳走するぜ?」
「やった! やった!
渡りに船だ!」
『たこ焼! たこ焼じゃ!』
「いや、ユランちゃん
半球状に窪んだ鉄板と小麦粉と水とタコか、タコの代わりに入れる物が無きゃ
作れないって〜
調味料もいるし〜
マヨネーズだろ?
青のりに鰹節に、ソースだろ?
太めの丈夫な針というか
串」
『むう……』
「まあ、とりあえず村の中へ入って来いよ〜う
鉄板ならミズーリの、おやっさんが鍛冶職人だからな」
「1つ目の?」
「何でだよ!!
サイクロプスじゃあるまいし
おやっさんが1つ目だとか怖い事言うなよ!」
「遮光グラスとかあるの?」
「遮光グラス?
なんだそれ?」
「無いの?
じゃあ、そのうち片方が失明して
最悪一本脚で隻眼になるかもね
タタラ製鉄法ならだけど
鍛冶職人は、温度は目視だから隻眼になりやすいんだよ」
「そういえば……おやっさん
目が、光で悪くなってきたからって眼を回復する魔術や魔法を使える人か薬を作る材料を探すって……
まさか……」
「あぁ〜
目が痛めてたんだな〜
ご飯食べたら、探しに行くか〜
悪い事するより、良い事する方が後味良いからなぁ」
「まさに救世主だ……
ミズーリも喜ぶな」
「そうそう、自分で料理したいんだけど
食材ある?」
▼▼▼
「本当に良いのか?
自分で料理するなんて……」
熱々に熱した鉄板の前に立つ静樹はニコニコしながら答える
「良いの良いの、一度やってみたかったんだよね〜
お料理革命
それより、食材は本当に有る?
ヘラの代わりにナイフ使っちゃうけど良いよね?」
「まあ……新品のナイフだけど洗って有るから……
ほい、用意したキャベツだ」
「これがキャベツ?
ゴムボールじゃないの!?」
「ん?
何言ってるんだ?
キャベツは、木に実る果実だぞ?
中は、葉っぱの様になってるんだ常識だって、子供でも知ってる」
「うわ……切ったらキャベツだ……味も……
みずみずしいキャベツだ〜」
▽▽▽
数分後
「でーきた!!
お好み焼きィ〜!
マヨネーズも作ったかんね〜♪」
『シズ?
何じゃそれは?』
「う〜ふ〜ふ〜ふ♪
テレレレッテテ〜♪
お〜好み〜焼〜きィ〜♪
はい、あーん」
静樹は、ユランにお好み焼きを食べさせた
『旨いぞ!?
何じゃこれは!?』
「This is a okonomiyaki
僕は、少食だから
半分こしよ?
いっぱい焼いたからよかったらどうぞ」
「おっ
わるいね〜♪
良いにおいだな〜
旨い!」
「ここはワタツミのムラだよ」
「ほんと、おめぇ
それしか言えんのな」
静樹とユランが複数人の村人と仲良く食べていると、ミズーリの意識が戻ったと
息を切らしながら、おじさんが食事を終えたタイミングで部屋に入ってくる
「村長!」
「ミズーリの目が覚めた!
……って、何食っとるんじゃ?」
「お1つどうぞ」
「旨い!?
後で作り方教えとくれ!!」
「良いよ!
ミズーリちゃんの、お父さんって鍛治屋だから
たこ焼用の鉄板作ってもらいたいんだよね〜
お金を稼いだ時にまた来ると思うから
もし、武器や防具しか作らねえ!
って言われたら困るから説得をしてほしいなって」
「あぁ……まあ
大丈夫だとは思う」
「じゃあ、ちょっとミズーリちゃんの様子見てから
探しに行くかな〜
元気で一緒に行けそうなら、護衛の形で探しに行けたらいいな〜」
『おっ?
なんじゃ浮気か?』
「ミズーリちゃんのお父さんの顔知らないから……
浮気じゃ無いから夕御飯にしないで?」
『人間は大して旨くも無く腹の足しにもならぬ
食うのは冗談じゃ』
静樹とユランは、ミズーリの元へ向かった
▽▽▽
「Hallo?」
目を覚ましていたミズーリは、扉を開けるなり
外へ飛び出そうとした
『おっと
危ないの〜
何処へ行くつもりじゃ?』
ユランは、海蛇の下半身でミズーリに巻き付いて止めた
「離して!
お父さんが!!
お父さんっ!!」
「まあまあ、落ち着いて
探すのなら手伝うよ?
たこ焼き用の鉄板作ってもらいたいだけだから
ミズーリちゃんに下心とかはないよ?」
「え……あ……お父さん探してくれるの!?」
「ミズーリちゃんの、お父さんの顔知らないから
護衛の様に付いてくるだけなんだけどね」
『吾と共におれば、大抵の輩は尻尾を巻いて逃げるじゃろうから安心じゃぞ?』
「ラーテルを除く獣限定だと思うけどね〜
野生本能が無い人間はむしろね〜
まあ、来ても返り討ちだよね〜」
「そんなに強いの!?
盗賊よりも!?」
「ううん……サラマンダーより、ずっとつよい!!」
『サラマンダーのう……
あやつは、火竜で有りながら
肌が乾燥を防ぐ様にヌメり
火や水に耐性が有るんじゃ』
「えっ!?
サラマンダーって知り合いなの!?」
『いんや?
以前、縄張りに我が物顔で入り
水中も火中も平気と
調子に乗っておったからの〜
喰ってやったわ』
「で、味は?」
『オオサンショウウオの様な味じゃな
サラマンダーで作られた、レザーアーマーやレザーシールドは頑丈で
陸の者共の間では、爆発耐性や耐火性の防具として役立っておるそうな』
「はっ!
サラマンダーで下着を作れば!!
服が燃えたり爆発に巻き込まれても下着が燃えないから
違和感の無い規制になるんじゃ!?」
『着ている者が無事で済まんじゃろ……
下着を残して燃え尽きるか、吹き飛ぶだけじゃ
あり得ない事じゃが、耐性と防御力が並外れ過ぎて
大量の火薬を抱えた状態でメテオ系の強力な魔法を受けてもほぼ無傷で生存するくらいでないとの〜』
「お父さん探しに行ってくれないの……?」
「行くかぁ……
ほら、ミズーリちゃんの分の
テレレレッテレ〜♪
お〜こ〜の〜み焼〜きィ〜!」
ミズーリに、お好み焼きを渡した
「食べれるの……?
コレ……」
「コレ食べないと出発しないよ?
途中でお腹すいたら大変だからね
後ね、食べたことの無い料理にもなれてくれないとね」
『確かに、直ぐ見付かるとは
限らんからの』
「お父さん見付からないの……?」
『わからん』
「大丈夫だって〜
たとえ何処にいても、探しに行くよ?
たこ焼き作りたいからね!」
『素直じゃないの〜
シズは〜
助けたいんじゃろ〜?』
「シズさん……ありがとうございます……」
「よせやい♪」
やめて!
ボウガンの矢で、眉間を撃ち抜かれたら、人間でモンスター娘と繋がりたがってる静樹の命まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないで静樹!
あんたが今ここで倒れたら、ミズーリさんやユランとの約束はどうなっちゃうの?
脳細胞はまだ残ってる
ここを耐えれば、盗賊に勝てるんだから!
次回、「シズ死す」
リヴァイアサンの怒り!