表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/113

47 招集


 午前中の訓練が終わって昼食を食べ終えると、城の中で見知った顔を見つけた。


「あれ? ガウルさんとスレイさん?」


「英雄殿」


「よぉ、ユウキ」


 2人も俺に気付くと挨拶を返しながら近寄って来た。


「どうして城に?」


 これからギルドに向かおうと思っていたが、何かあったのだろうか。


「お前は聞いてないのか? ジャック団長に呼ばれたんだ」


 スレイさんがそう返すが、俺は特に聞いていない。


 そういえば、爺さんが午前中の訓練には顔を出さなかったなと思っていると、


「あ、英雄殿!」


 後ろから声が掛かり、振り返れば副団長のマウロさんがいた。


「お二人もご一緒でしたか。丁度良かった。陛下と団長がお呼びです。会議室まで行きましょう」


 そう言って俺達を誘いながら先頭を歩き出すマウロさん。


「どうかしたんですか?」


「実は今朝に汚染地が見つかったと報告がありまして。場所は王都の南にある山の麓です」


 まだ国内の地理を覚えていない俺は場所の想像が出来なかった。


 詳しくは会議室で教えてくれるだろう。俺達はマウロさんの後に続いて会議室へ向かった。


「集まってくれて感謝する」


 会議室に必要な人が揃うと王様が開始の挨拶を述べた。


 招集されたのはジャック爺さん、マウロさんに俺達。それにリーベル宰相とエリスさんとケインさんを加えたメンバー。


「まず初めに経緯から話そう。今朝、南の魔獣被害の鎮圧に赴いた騎士とハンター達から山の麓に汚染地が見つかったと緊急報告が入った」


 ジャック爺さんが何も知らない俺達へ説明を始める。


 南にある村で魔獣による畑の被害が相次いでいるという報告が入り、騎士団とハンターが連携して調査に入った。


 畑を荒らす魔獣の数が不自然なほど多く、原因を調べるべく魔獣がやって来る方向を調べると汚染地が見つかったというのが経緯だそう。

  

「この汚染地は騎士団と魔導師隊による国内調査、及びハンターからの報告には無かった。最近になって出現した、としか言いようがない」


 エリオス王国の騎士団では最重要任務として定期的な国内調査を行っている。


 王都周辺は王都騎士団が、王から拝領した領地はそこを治める貴族が調査して報告・維持をしなければいけない義務がある。


 今回は王都から南にある村という事で、管轄は王都騎士団だ。


「最近になって出現した? そういった事があるんですか?」


 俺がそう聞くと首を振ったのはエリスさんだった。


「ありえない。王都の近くだぞ。人が住んでいない場所ならまだしも、国の中心がある場所を調べないなどあり得んだろう。それに、見つかった場所を前回調査したのは1ヵ月前だ」


「まさか……」


 エリスさんの言葉に、俺は嫌な予感がした。


「例の組織がやったと?」


「我々はそう見ている」


 ガウルさんの質問に王様が答えた。


「今まで行動を起こさなかったのは不明だ。最近になって準備が整ったのか、準備の一環なのか。それとも組織には関係なく自然的な現象なのか。それは分からぬ。だが、組織という存在が明るみに出たのだ。このままジッとしているとは思えん」


 王様の言葉に誰もが黙る中、スレイさんが手を挙げた。


「他国で同じような状況は?」


「他国の首都付近に汚染地が発生したという報告は受けていません。ただ単にターゲットがエリオス王国だけなのか、それとも始まりなのか。全く不明です」


 王様もリーベル宰相も、今回の件は組織が絡んでいると仮定しているようだ。


 確かに何百年も王都近郊には汚染地が発生しなかったのに、最近になって発生したとなれば作為的な意図を感じてもおかしくない。


「よって、現地へ赴いて本格的な調査を行う事にした」


 組織の犯行なのか、自然的な現象なのか。ハッキリさせねば今後にも差し支える。


「私が魔導師達を率いて調査する」


 そう言って王様の話に割って入ったのはエリスさん。王様は納得し難い顔を浮かべているが、好奇心がダダ漏れな母を止められなかったのだろう。


 爺さんは諦めた顔を、ガウルさんは「うわぁ」みたいな心底嫌そうな顔を浮かべていた。過去に何かあったのか。


「私は王都を防衛するので、今回はマウロ、お前が指揮を執れ。それとハンターギルドからはスレイがアドバイザーとして参加する」


「はい」


「ゲェ!?」


 素直に頷いたのはマウロさん。嫌そうに顔を歪めたのはスレイさんだった。


 2人は知り合いだったのかな? スレイさんがマウロさんをめっちゃ睨んでいるけど……。


「2人は元チームだ。マウロがハンター時代に相棒を務めてたのがスレイなんだよ。あいつらの連携はピカイチだ」


 コソコソっと隣に座るガウルさんが教えてくれた。


 マウロさんって元ハンターだったのか。しかもスレイさんの相棒。ほほう。


「お前らはお互いを知り尽くしているだろう。いざという時は連携も取りやすいだろうしな」


 爺さんもガウルさんと同じように2人を見てそう言うが、 


「私の指示に従うように」


「ハッ! お前こそ、足を引っ張るなよ」


 めっちゃいがみ合ってますけど……?


 俺がチラリとガウルさんを見ると、


「あー、まぁ、大丈夫だろう。……たぶん」


 ええ……。


「それよりもユウキ。現地では聖水の効果を確かめるからな」


 咳払いしたエリスさんが俺を見ながら言った。


 そうか。聖水の効果が検証されれば魔獣憑きの人達に使用できるかわかる。


 そうなれば、約束に向かって本格的に動き出せるな。


「うむ。他の準備もアリアが整えている。まずは聖水について十分な検証を頼みたい」


「聖水の効果が分かればお前の計画も一歩前進だ。ついでに魔剣の性能も調べたい。忙しくなるぞ」


 王様もエリスさんもニコリと笑った。俺に協力してくれて、すごくありがたいね。

 

 それにしても魔剣の性能ってなんぞや?


 魔剣にはまだ隠された能力でもあるのだろうか? それとも汚染地を浄化する能力の検証かな?


 とにかく、俺は明日から現地へ向かう事になった。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ