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フェアリーブレイヴ 狭間 弐

蒼疾「今回も前書きおやすみ〜三連休」

フェアリーブレイヴ:狭間

「あの先輩は遠い/俺の後輩は近い」

 俺の目つきは悪いようで、大小様々な連中に絡まれてきた。だが、ある日そんな俺をかばってくれた先輩がいた。そんなとき、髪を縛っていたゴムが俺の近くへと飛んできた。

「やめろよ、お前ら。大人数でひとりを囲むなんてはずいまねしてるんじゃねぇよ」

 瞬く間にその先輩は全ての不良たちを軒並み沈め、俺の前に立って立たせてくれた。

「おら、大丈夫か?」

「え?ええ………」

「そうか、まぁ、一応保健室まで連れてってやるよ」

 その人は生徒会長だった。

―――――

「はぁ………」

「どうした、元気ないな?」

 ゴンゾウが覗き込んでくる。俺はものすごーく不機嫌なオーラをぶつけて見せるがやつだけには通用しない。

「………生徒会長、かっこいいよな」

「ああ、そうだね………一目ぼれでもしたのかい?」

「べ、別にそんなんじゃ………このまえ助けてもらったんだよ」

 その後、保健室で擦り傷とかを治療してもらった。未だにその絆創膏がしっかりと貼り付けられている。

「お礼がしたいと?」

「………そんなところだ」

 そういって俺は両手を挙げてのびをする。

「ん〜それなら、その生徒会長の妹さんの友達になってやったらどうだい?」

「はぁ?」

 こいつは何を言っているのだろうかとふと思った。

「あのなぁ、俺が仲良くなりたいのは………こほん、お礼がしたいのは先輩だよ、えっと………菜々子先輩」

「おいおい、菜々子先輩の家系が複雑っていうの知らないんだろ〜?」

 にやりとした調子でゴンゾウは笑っていた。

「どういうことだよ?」

「知らないのかい?菜々子先輩の今の両親は血がつながってないんだよ」

「?」

「えっと、菜々子先輩は母親一人で育てられて今の父親と彼女の母が結婚。そこで、母親が死んでね………そうして新しい奥さんと結婚してそこの娘が菜々子って同名」

「それはまた………」

 先輩はもしかしてその家庭では孤立しているのだろうか?

「だがね、実はその菜々子ちゃんっていうのも両親とは血がつながってなくて児童擁護施設から引き取ったこらしいよ」

「へぇ………」

 それなら菜々子先輩とその菜々子ちゃんどちらかに愛情が分配されることもないんだろうなぁ………

「だけどさ、菜々子ちゃんは引っ込み思案でよく面倒見ている菜々子先輩から見たら心配らしいんだよ………それにさ、菜々子先輩ってああいう性格してるだろ?だからお姉さんの報復を怖がってスネに傷があるような連中は手を出しにくいって」

「いや、それなら普通の女子とかいるだろ?」

 首を振ってそれを否定。

「何でだよ?」

「えっとね、暗いからっていってた」

「暗い?性格が?」

「多分………だからさ、ちょうど僕たちの部に入ってもらわない?」

 ちょうどというとあまりいい聞こえはよくはないが、俺たちが発足した文芸部(実際のところはだらけてるだけ)に幽霊部員としてもあと一人ぐらい数がほしい。それに………友達はやっぱり、重要だからな。

「じゃ、早速いくか?」

「え?もう?」

「ああ、友達は早くできたほうが嬉しいだろう?」

「………そうだね!そうしようか」

 俺とゴンゾウは一年の教室へと向かったのだった。

――――――

「おい、お前の姉貴に言っとけ!」

「ひぐっ………」

 廊下でそんな場面を見つけた。勿論、これ以上下げられて困る評価なんてもっていないので乱入する。先生?先生にばれるなんてぜんぜんおもってない。

「おい!お前ら何いじめてるんだよ!」

「ああ?」

 相手を突き飛ばして誰がいじめられているか確認する。ゴンゾウが顔をのぞかせる。

「あ、この子が菜々子ちゃんだから」

「なるほど………」

 確かに、こいつは暗いな………前髪で目が隠されている。

「あんたら、二年だろ?何か用かよ?」

 三人いたいじめっ子達がそんなことを聞いてくる。

「お前らじゃなくてこっちに用がある!この菜々子ちゃんを俺らの部活に勧誘しに来た」

 全員がきょとんとしている。

「ははっ、こいつに関わったら先輩だろうと友達いなくなるぜ?」

 にやにやしてそういい、菜々子ちゃんは泣きそうになっていた。

「ああ、知ってる………菜々子先輩の妹さんだろ?」

「知ってていっているのかよ?」

「やぁやぁやぁ、この先輩を誰か知らないのかい?友達の数、ひとり……あ、ちなみに彼の友人は僕だけだからね♪」

 親指をぐっと突き出す。それに対して菜々子ちゃんがきょとんとしており、他の連中は笑っていた。

「ゴンゾウ、名前を教えてやれよ」

「いやだよ、天道時蒼疾」

「て、天道時蒼疾だって?」

「逃げろ!」

 そのままやつらは去っていった。所詮はチキンだな。

「って、名前ばらして菜々子ちゃんの友達になったら菜々子ちゃんが余計嫌われるんじゃないかな?」

「………そうだな、それは忘れてもらおう………こほん、奈々子ちゃんだよね?」

「う、うん………」

 びくっとしてたじろぐ。

「あ、そんなに怖がることはないから」

「そうそう、別に君をどうこうしようってわけじゃないから………これを君に見て欲しくてね」

「?」

 手渡したそれは文芸部歓迎ポスターと入部届けの紙だった。ポスターは俺とゴンゾウの手作りで、絵心のない俺たち二人ではろくなものが完成しなかった。ただ、ゴンゾウが字がうまいので筆で字を書いてもらったのだが下手な謎の絵とはミスマッチだ。

「え、こ、これって……部活勧誘?」

「そうだな」

「ぜひ、君に入ってもらいたいんだよ」

 ゴンゾウが右手を差し出して腰を低くしている。

「あとさ、蒼疾の友達になってほしいんだ」

「友達?」

「ああ、ほら、蒼疾ってとっても怖い顔してるだろ?」

「う、うん……」

「ぐはっ………」

 かわいい子にそういわれるとリアルに心をえぐられた気がするぜ………トホホ。

「けどね、こんなふうに傷つきやすいんだ………だから、ね?こいつの友達になってあげたら菜々子ちゃんにも友達が出来たってことだろ?」

「で、でも…………わたしと友達になったらいじめられちゃうよ?」

「その点は大丈夫だ……俺はいじめてくる友達、いか知り合いなんていないから」

 そうだな、誰一人として関わろうとしてこない………いや、そこに一匹いるが。

「ほ、本当にいいの?」

「ああ、俺からもお願いする………俺と友達になってくれよ」

「う、うん!」

 前髪から覗く瞳がとても綺麗なものだということを今知った………。

「あ、そうだ……」

 そういえばこういうものがポケットにあったな……。

「その前髪、しばっとけよ」

「え?」

 返事をまたずに縛る。

「うん、似合うぞ菜々子ちゃん」

「え?あ、ありがとう………蒼疾お兄ちゃん」

「おい、聞いたかよ!蒼疾おにいちゃんだって!」

「くぅ!うらやましい!菜々子ちゃん!僕も呼んでくれよ!」

「えっと………ゴンゾウさん?」

「くっそう!お兄ちゃんじゃなくてさん!?しかも疑問系!」

 ひとりで騒いでいるゴンゾウを放っておいて俺は菜々子ちゃんに改めて言うことにした。

「場所はそこのポスターに書かれているとおり旧文芸部室だから」

「わかった!絶対来るね!」

 予鈴が鳴り、俺らは別れることになった。

―――――――

 放課後、放送を告げる音が鳴り響き始めた。

『あ〜あ〜…………ありゃ?これ何かおかしくないか?おかしいだろ、おい、聞いてるかって………え?もう放送はいっているのかよ?あ、失礼!』

「………」

 ふと、思う………こんなもんでよく生徒会長になれたもんだよなぁ………

『よくきけ!この学校内に天道時蒼疾っていうのとえっと………なんとかゴンゾウって言う奴いるだろ!』

「くっはぁ!!」

「呼び出しだよ!」

『今からカウントしてやるから10秒以内に生徒会室にこいよな!わたしより後に来たら………覚悟、できてるんだろうな?』

「ひぃっ!?」

「な、なぜだ!?」

 ゴンゾウのほうを見る。急いで立ち上がってどこかへと走っていく。

「お、おいゴンゾウ?」

「いこう!早く行かないと逝っちまうよぉ!」

 目がマジだ。急いで俺たちは生徒会室へと急いだのだった。

「ああっ!このまえ不正にエロ本を同級生に売ったのが間違いだったのかなぁ?」

「しらねぇよ」

「まさか、年齢偽ってAV借りたのがばれたのかも………」

 ずっと墓穴を掘り進めていっている学友が非常に遠くに感じられた。

「あ、ついたぞ」

「ひぃっ!?」

 今更逃げようとしているゴンゾウを試しに放り込んでみた。

「おい、お前もはいってこい」

「え?」

 いきなり現れた手につかまれて俺も引きずり込まれたのだった。

「お前ら、わたしの菜々子に手を出したって?」

 物凄く怖い表情………ゴンゾウは足がぶるぶる震えている。わたしの菜々子?今日から俺らの奈々子ちゃんである……なんてことは口が裂けてもいえないわけですよ、はい。

「どうなんだよ?あ?」

「え、えっとですねぇ………と、友達に」

 実にりりしい姿だなぁと眺めているとこっちを見た。俺は急いでしっかりとした姿勢をとる。

「あれ、お前は……」

 まだ覚えていてくれたらしい。俺は一歩前に出て頭を下げる。

「先輩、この前は助けていただいてありがとうございました」

「ああ、気にするな………ところで、お前は何で菜々子の友達になろうとしたんだ?」

「………友達が欲しいからです」

「はぁ?」

 首をかしげる相手に俺は言った。

「………いけませんか?残念ながら俺には友達がいません。男子は逃げる、または殴りかかってきますし、女子は俺が話しかけようとしても逃げます…………せめて先輩の中に友人を作ろうと努力しましたが結果はあまり変わりませんでした。友達、俺が望んじゃいけませんか?俺が友人といえるのはそこにいるやつと菜々子ちゃんだけです」

 いつの間にか喧嘩をするときのように相手を睨みつけていた。

「蒼疾………」

「………わかった、許そう」

「友達に許すもなにもありません」

「そうか?わたしは柄の悪い連中を友達にしようとは思わない」

 俺も確かに思わない………

「色々と問題を起こしている二人組みだと思ったがそんなに悪じゃなさそうだ」

「先輩、それは誤解です………俺らは潔白です」

「そうですよ!僕らはいい子です」

「そうか、それなら………」

 そこまで菜々子先輩がいっていると扉が開いた。

「はぁ………はぁ…………」

「菜々子ちゃん?」

 そこにはゴムで髪の毛を縛っている奈々子ちゃんが夕焼けを浴びて輝いていた。

「お、お姉ちゃん!二人をいじめないで!」

「菜々子……大丈夫だ、お前らの友達が部活のメンバーが増えたっていっていたから呼び出しただけだ………それで、お前もわたしに何か渡すものがあるんじゃないのか?」

「え?あ、そうだった………」

 子どもみたいな字で書かれた文芸部に入部しますとかかれた紙を生徒会長へと渡す。

「…………お前ら、きちんと後輩の先輩を見てやれよ」

「わかってます……さ、いくぞ二人とも」

「ああ、そうだね」

「うん!」

―――――――

「じゃ、今日はそれぞれがやりたいことをやってくれ………といいたいところだが新しい部員が入ってさらにポスターを改良したいと俺は思う」

「そうだね」

「えっと、わたしはなにをすればいいのかなぁ?」

 首をかしげる菜々子ちゃんに俺は紙を渡した。

「えっと、絵は上手か?」

「うん!得意だよ!」

「よし、それなら文字はゴンゾウ、絵は菜々子ちゃん俺は監督ね♪」

「「了解部長!!」」

 今日はいいひだ……友達が出来る日ってのはこんなに楽しいんだな。


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