フェアリーブレイヴ 狭間 壱
蒼疾「今回は前書き次回予告オヤスミ!以上!」
フェアリーブレイヴ:狭間
「鶴来蒼疾の妹」
俺、鶴来蒼疾には妹がひとりいる。
「もうっ!お兄ちゃんの意地悪!」
「しるかよっ!」
そいつの名前は鶴来奈々枝。めちゃくちゃ生意気でしょっちゅう俺をからかっている。
「怖いんだから一緒に見てよ!」
「だ!か!ら!何で怖いのに怖い番組見ようとしてるんだよ!」
「そこがいいんじゃない!」
今日は両親が外に出払ってしまっているし、奈々枝の我侭を聞いてくれるようなお人よしはいないのだ。
「いやだぁ!あたしと一緒にみようよぉ!」
「しるかよっ!」
俺は妹が嫌いだ。我侭で、うるさくて、ぐずればすぐに何でも皆が言うことを聞いてくれるって思ってる。もう高校生なのに、こいつはぐずっているのだ。
「みてよみてよみてよみてよぉ!!!」
それこそ本当にガキみたいに駄々をこねて足をばたつかせてる。
「パンツ見えてるぞ、おい」
「みてよみてよみてよみてよぉ!!!」
顔を真っ赤にしてそういっているのだが、俺はさっさと自室へと戻ったのだった。
―――――――
「はぁ………七海さんに告白なんてできねぇよなぁ」
なんとなく、憧れの大津地七海さんにはたまに学校であったりするのだがいかんせん、俺は臆病で色々と情けないので告白しても振られるのがオチだろう。そんなオチはいらないし、振られるのならいわないほうがましではないだろうか?
「………って、そんなこといってたらとっくに二時間たっちまってるよ」
既に時刻は十一時ほどになっており、俺は風呂に入る準備をして部屋を出た。
「きゃっ!!」
「うわっ!?」
リビングから短い悲鳴が聞こえてきておそるおそる覗き込む。布団にくるまって泣きそうな顔になった奈々枝の姿があった。テレビの中では何も知らない主人公が今まさに襲われようとしていた。
「………よし」
ここは一つ日ごろの悪さを実感させてやれ♪悪魔が楽しそうにそんなことを言った。
そうと決めた俺はゆっくりと、抜き足差し足忍び足で徐々に奈々枝へと近づく。そろそろテレビの中のお化けも主人公を襲うことを決心したらしい………俺と同じスピードで主人公へと近づいていく。
3………2………1!
「わっ!!!」
「きゃああああああぁぁぁぁあ!?」
布団を取っ払ってそのまま立ち上がって、倒れる。
「あっはっはっはっは!!!」
「う、うわぁぁぁぁあああん!!」
「え?あれ?」
ぎょっとして俺は奈々枝を見る。じゅうたんが、濡れている………?
「も、もしかしてお前………」
「ひぐっ………ばかぁっ!!」
それだけいうとトイレへと姿を隠す。
「………」
俺は雑巾を持ってきて湿っている場所を拭く。テレビの中では主人公が襲われている真っ最中だ。
それから少したって泣きながらトイレから出てきた。
「ばか………ばかぁ………」
「あ、ああ………悪い悪い」
近づいていって頭を撫でてやる。そのまま俺のほうに身体を傾けてきたので抱きしめてやって頭を撫でる。
「よしよし、俺が悪かった…………泣くなよ」
「だって………だってぇ………」
「ほらほら」
「ひぐっ………」
ソファーに二人で座ってそのまま撫で続ける。はは………どうやら悪戯がすぎたようだな。これは反省しないと。
「………す〜………」
十分ほどそうしているとそのまま眠ってしまった。やれやれ、子どもだ。
「よいしょっと………ん?」
パジャマの下が濡れたままだな。うん、このままじゃ風邪ひいちまうな。
――――――
「ん?あれ?」
「あ、起きたか?」
風呂から上がってきたらどうやらちょうど起きたらしい。まぁ、まだソファーで寝るには寒い季節だからな。
「パジャマ、濡れてたから今洗濯機で回してる」
「ん?あ、ありがとう」
俺の目を見ようとしないで奈々枝は床を見ている。既に床にしみなど残っていない。さっさと部屋に戻ろうとすると奈々枝の声が俺を捕まえる。
「………え?パジャマがどうしたって?」
「だから、濡れていたから下だけ脱がして洗濯機に入れたから。あ、さすがに干したりまではしてやらないからな」
今度こそ部屋に戻るために扉を開ける。だが、今度は物理的に奈々枝に捕まった。
「ちょっとまってよ!パジャマを脱がせたってこと!?」
「え?勿論パンツも濡れていたから脱がして新しいのはかせてやったから………ありがたく思えよ」
「何でよ!おかしくない!?」
顔を真っ赤にして俺に食って掛かってくる。
「何がだ?妹が濡れてるんだぞ?風邪引くだろ?間違ってないだろ?」
「そ、それはたしかにそうだけど………」
「じゃ、明日も俺は学校があるからオヤスミ」
部屋に入って扉を閉めようとするが、それを奈々枝が防ぐ。
「だ!か!ら!何でパンツまで脱がせるのよ!」
「はぁっ!?何意味がわからねぇこと言ってるんだよ?いいか?パジャマを脱がせてしたのパジャマだけはかせてやってもパンツが濡れてるだろ?実際肌に触れているのはパンツだ!違うか?大体、パンツが濡れてたらまたせっかく履かせてやったズボンが濡れちまう!」
「そ、そうだけど、そうだけど………本当!信じられないっ!兄さんのばかっ!!」
奈々枝はそういって自室へと走って戻ってしまった。
「………あのなぁ、俺も悪いと思ってるよ」
そういって俺は鼻の頭をかく………まさか、まさかあいつが………
「もらしちゃうなんて思わなかったから」
―――――――
うとうととしていると扉を誰かがノックする。寝ぼけたままで返事をすると静かに誰かが覗き込んでいた。
「………誰だよ」
「あ、あたし」
なんだ、奈々枝か………脅かしやがって。
ベッドから抜け出す事無くその場で対応することにした。
「何かようか?」
「えっと………怖いの」
「………はぁ?」
「怖いの見たから、ひ、ひとりじゃ怖くて………」
馬鹿か、あいつは。そんなの俺に関係ないだろうと思ったのだが………もしかして、俺のせいでは?と考えてしまうところもあった。ただ、それを認めてしまうのは嫌だったので寝返りをうち奈々枝を見ないようにした。
「……はいってこいよ」
「あ、ありがとう………」
部屋に入って来いって意味だったのだがどうやら俺のベッドに入れって意味と誤解したようで………静かに俺のベッドに滑り込んできた。
「………あったかい」
「………あのなぁ、奈々枝……」
「何?」
「………いや、なんでもない」
眠気が襲ってきてこれ以上無駄な時間を使いたくなかった。
「あのね、兄さん………」
「何だ?」
「あ、あたしの………あたしのことた、大切?」
「はぁ?意味わからねぇこと言ってんじゃねぇよ……」
眠くてまともな会話がそろそろ出来なくなってくる。
「………大切だから、色々と、してやって………」
俺の記憶はそこから先がなかった。
―――――――
「………朝か」
昨日の夜のことが嘘じゃなかったという証拠にそいつは静かに俺にしがみついて眠っていた。
「………やれやれ」
そういって頭を撫でてやる。幸せそうなこいつが昼間はわがままだからなぁ………人間は何がなんだかよくわからんもんだな。
今日は休みだ、もっと眠っていいだろうな…………せめて、こいつが目を覚ますまで。
さて、どうだったでしょうか?あとがきまで読んでくださいました方々ありがとうございます。ここで一つお願いがあります。あと二つほどこの狭間という部分を出そうと思っているのですがよければこの狭間についてだけの感想をお願いしたいのです。勿論、誰が好きだ〜とかそういったものでも構いませんが、ぜひ、聞きたいと思っています。メッセージから感想、評価のどれでもいいので!あと二つの話を読んだあとで構いません。よろしくお願いします。




