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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

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同じ相手が好きなんです!

――「みんな聞いてくれ。彼女と婚約することにした」


 デグランがそんなことを言い出すのではないか。

 しばらくは、そんなことを考えていた。

 でもそんなことを考えているとバレないように、いつも通りに振る舞っている。

 いつも通り。

 デグランもまた、そうだ。

 普段と変わりなく、「キャンディタフト」のオープン準備をしている。

 何か食材を手に入れたとか、婚約話の発表はない。


 そして――。


 今日は週末だ。

 オープンと同時で、カウンターテーブルの五席は満席。

 しかもよく晴れており、寒さも和らいでる。

 おかげで久々に行列ができ、整理券を配ることになった。

 そうなるとデグランの婚約の件など、頭から吹き飛ぶ。

 来店するお客さんは、次々と自身の恋の悩みを打ち明ける。

 なぜかペットのお見合い相手についてまで相談され、店にお見合い犬募集のポスターを貼ることになったり。そんな様々な悩み相談の中で、特に驚いた恋愛相談は、これだった。


「私達、双子の姉妹です。二人とも十六歳。隣のお屋敷に住む同い年の令息のことが、私も妹も好きなんです。どうしたらいいですか?」


 これは前世で聞いた話。双子はジャンケンをしても、なかなか勝敗がつかないと言う。異性の好みが一致することもある……というのも、前世で知った情報。インドには双子だらけの村があり、双子同士の合同結婚式があり、司祭まで双子だったというオチがついていた。


 つまり双子が一人の男性を、同じように好きになってしまうことは、あるのだろう。


 自分以外の男女の縁結びに奔走した前世を持つとはいえ。

 双子からの相談は、激レア過ぎる。

 ただ、「友人と同じ相手を好きになってしまいました!」という相談。

 これはもう、あるあるだった。

 ということで、こちらの恋愛相談も。

 双子という点を差し引けば、アドバイスは可能だった。

 とはいえ、せっかくの双子なのだ。

 今後のためにも、いろいろと聞いてみることにした。


 ちなみに二人とも、赤に近い茶髪に、鼻の辺りにそばかす。瞳は明るいブラウンだ。私から見て右に座るのが姉で、髪にはリボンの髪飾り。妹は薔薇の髪飾りをつけていた。ドレスは二人とも赤と紺と白のチェック柄だ。髪飾り以外で、区別はつかない。


「ところでお二人は、何か趣味をお持ちですか?」


「はい! 刺繍が大好きです」とまず姉が即答すると、妹も「私も刺繍が好きです」と続ける。


「刺繍を始めたきっかけは?」


「乳母がいつもハンカチに、刺繍をあしらってくれたんです。イニシャルと紋章の。それで刺繍、自分でもやってみたいと思いました」


「お姉ちゃんが刺繍をしているのを見て、私も面白そうと思い、始めました!」


「そうなんですね。……お二人とも看板メニューのパンケーキを注文されましたが、甘い物では何が一番好きなのですか?」


 すると……。


「チョコレート」「キャラメル」


 姉はチョコレートで、妹はキャラメルと答えたのだけど……。


「キャラメルと言っても、チョコレート味のキャラメルが好きなんです!」


 なるほどと思いつつ、いろいろ聞いていくと、一つの傾向が見えた。妹は基本的に、姉に共感して動いている気がしたのだ。双子であり、お互いに対する共鳴が強いからだろうか。姉が好きであり、興味を持つことを、妹も好きになり、興味を抱くように思えたのだ。


 双子で仲がいいことが高じ、同じ相手を好きになったのかもしれない。


 そうならば、突破口は見えた。


 パンケーキを食べ終えた二人へのアドバイスは、ズバリこれだ。


「同じ人を好きになり、どうしたらいいかと悩んでいるのですよね。でもそれは変なことではありません」


「「えっ、そうなのですか!」」


 見事なシンクロ率!


「はい。だって皆さん、オペラ歌手のガスパーレは、大好きですよね?」


「「大好きです!」」


「ガスパーレが大好きという令嬢やマダムは、沢山いますよね? 同じ相手を好きになることは、そもそもとしておかしなことではないのです。ガスパーレのように、秀でた才能を持っていたり、人間的に素晴らしいと思えば、自然と好意を持つでしょう。ですから同じ人を好きになってしまった。でもこれは、仕方ないことです」


 双子の姉妹は「「なるほど」」と声を揃え、頷く。


「重要なのは、恋愛はどちらか片方が『好き』なだけでは成立しません。相手もまた『好き』であれば、恋愛として成立するのです。よってお二人が好きだというその令息。彼が誰を好きなのか。それでこの問題は、解決させるしかありません」


 二人は同時に「「あ、ああ、そうなのですね……!」」と気づいたようだ。二人で同じ人を好きになってしまった、どうしましょう!?で立ち止まっていた双子の脳が、ようやく動き出してくれた。


「令息はもしかすると、あなた方二人の、どちらかを好きなのかもしれません。でもお二人ではなく、全く別の方を、好きかもしれませんよね? ともかく令息が好きな相手。それがご自身ではなかったのなら。残念ですが、諦めるしかないでしょう。好きなお相手の幸せを願う。そういう決断も、時に必要です」


 隣のお屋敷に住む令息ということは。幼なじみであり、おそらく初恋、だろう。

 初恋は実ることが少ないと聞く。そして二人もまた、貴族というのだから、この後の政略結婚は、避けられないだろう。社交界デビューして間もない今この時、短い青春アオハルを経験し、二人も大人の階段を上っていく。


「そう言われると……。私、別にもう、いいわ。彼のこと、ちょっといいかなと思ったぐらいだから。それにお父様も私のために、素敵な縁談相手を見つけてくれるって、言ってくれているのよ。だから手を引くわ!」


「え、お姉さま、そんな……! わ、私だって、そこまで好きだったわけではないんです。それにお父様は私にだって、良き相手を見つけてやると、言っていましたから!」


 どうやら恋に恋し、憧れていたのかしら? お互いを思いやる双子の姿に、思わずほっこりしてしまった。

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