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第8話 俺って強いようです

 俺がギルドを出たとき、外は混乱の最中だった。逃げ惑う人々、迷子になって泣き叫ぶ子供達、漏らしている冒険者、そしてそれを見て笑う子供。


 あ、冒険者は完全に俺ですね。ごめんなさい。


 そんな中俺は商店街をめざし、歩いていた。


『2人とも何が欲しい?』


『私は食べ物が欲しいです』


『んー、じゃあわたしも食べ物!』


『そんなものでいいのか?』


『私は武器ですので食べ物を食べたことなくて。人化すれば食べれるのでぜひと思いまして』


『なるほどな。ゼロは?』


『マスターが美味しそうに食べるから私も食べたいなって』


『そっかー、なら食べ物で決定だな』


 だがしかし、この状況で食べ物屋はやっているのだろうか?


 商店街に着いてみると案の定どこもやってなかった。


『2人ともすまん。今どこもやってないわ』


『そっかー残念』


『ドラゴン倒したらまたやると思うからその時な』


『はい主様』


 そういえば、ドラゴンって言うけど俺は見てないんだよな。鳴き声は聞いたけど。


『ゼロにちょっと聞きたいことあるんだけどいい?』


『何?マスター?』


『ドラゴンってどんなやつだった?』


『んーとね、とりあえずおっきかったよー』


『羽根とかは?』


『なかったよー!』


『空は飛んでないだろ?』


『うん!飛んでなかった!』


 これでだいたい分かった。このドラゴンは地龍と言われる類のものだろう。俺が想像してたドラゴンもだいたいこんな奴だった。


 だが、もし羽根が無いのに飛んでたらそれは蛇みたいに長い竜だっただろう。それはそれで怖いが。


 まぁ地龍は空を飛ばないだけマシだが、腐ってもドラゴンだ。相当強いんだろう。


『ドラゴンってどれくらい強いんかなー』


『わたしよりは強いよー!』


『まぁゼロは逃げてたもんな。そりゃそうだろう』


『私だったらギリギリ勝てると思います』


『レンは強すぎなんだよ。俺より確実に強いだろ。ゼロもだが俺より強いのに従ってるのはなぜなんだ?』


『マスターはわたしより強いよ?前にいったと思うけどなんかオーラが違うもん』


『たしかにゼロ様の言う通り、主様はオーラが違います。なんというか強者のオーラのようなものが漂ってます』


『俺、レベル5なのに強者なのか。ぱねぇな』


『私が主様と戦ったら私が即死してしまうレベルなはずなのですが…』


 ははは、そんなわけないだろ?俺よゆーで死ねるわ。


『じゃあ、なにか?2人とも俺のオーラを見て従ってるのか?』


『うん』『はい』


『それでそのオーラを見る限り物凄く強いと思ってるってことか?』


『うん』『はい』


『じゃあ、もし俺がドラゴンと戦ったらどうなると思ってる?』


『マスターが勝つ!』『ドラゴンが一太刀で死にます』


『ははは!そんなわけないだろ?』


『『…………』』


『えっ?マジなの?』


『うん』『はい』


 2人とも本気でそう思ってるらしい。うーん。確認しに行くか?いや、でも俺Dランクだしなー。討伐隊に入れないし……エルシャさんに頼み込むか。ダメだったら諦めよう。


『今からエルシャさんの所に戻るけどいいよね?』


『またあの人に会いに行くのー?』


『まぁな。ちょっと討伐隊に入れてもらえないか頼みに行こうと思ってな』


『えー。わたしあの人きらーい』


『そう言ってやるな。ギルドマスターっていう役をやってる分、ああやって強く見せないといけないんだよ』


『ふーん』


 まぁ分からなくてもいいか。


 そして戻ってきました。冒険者ギルド。


 中は職員達が一生懸命床を掃除してます。なんというかほんとすいません。


「あのー、今いいですか?」


「はい、どういたしましたか?」


「エルシャさんが今どこにいるかわかりますか?」


「ギルドマスターでしたら、奥の部屋にいますけど……」


「あ、なら案内してくれませんか?ちょっと話したいことがあるので」


「は、はい。分かりました!」


 ああ怯えてるな…。まぁしょうがないよね。あんなことしたんだもん。


 職員の人に案内されてエルシャさんの元へ。


 コンコンコン。


「ギルドマスター。来客でございます」


「分かった。今開ける」


 そして、出てきたエルシャさんの目には沢山泣いたあとが……俺のせいですねごめんなさい。


「ひっ!」


「ど、どうも」


「わ、私を殺すのか!?まだ私は何もしてないぞ!?」


「まだ?」


「あ、いや、こ、これは言葉の綾だ!私は何もしない!」


 ギルド職員の人の顔が真っ青になってるよ……。まあギルドマスターのこんな姿を見たらそうなるのは当然か。


「分かってますよ。ちょっとだけ話があったから来ただけです」


「そ、そうか。分かった。その話聞かせてもらう。中に入れ」


 俺は部屋の中に入り、適当なところに腰を下ろした。


「それで話なんですが、ドラゴンの特徴などの情報です」


「なるほど。それはありがたい。だが、ただとは言わないのだろ?」


「ははは、やっぱりお見通しですか。ええ、そうですね」


「な、なんだ、わ、私が、で、できる限りのこ、ことしよう」


 そんなに怯えた感じで言われるとちょっといじわるしたくなるな。まあ今回は真面目な話だ。そんなことはしない。


「俺も討伐隊に入れてくれませんか?」


「……へ?そ、そんなことでいいのか?」


「ええもちろん。入れてくれるならドラゴンの情報をあげますよ」


「こっちとしては嬉しい限りではあるのだが、お前は損ばかりじゃないか?なにか裏があるとしか思えないのだが…」


「ああ、ただ自分がどれだけ強いのか気になっただけで、ドラゴン相手だと良くわかるかなって」


「なるほどな。だが、死んでもそれは自己責任でお願いするぞ?」


「はい。こちらもそのつもりです」


「では、交渉は成立だな」


「よろしくお願いします」


 交渉が成立したので、俺はドラゴンの情報を教えた。


「・・・なるほど。飛ばないのは不幸中の幸いか…。ありがとう。これで作戦が考えやすくなる」


「いいんですよ。お詫びも兼ねてですから」


 エルシャさんは顔を真っ赤にして今にも泣き出しそうだ。


「あ、あの、そのことなんですけど……。忘れて貰えませんか?」


 おお、急にしおらしくなった。こっちが本当のエルシャさんなのだろうか。


「え、あ、はい。構いませんよ」


「あ、ありがとうございます」


 住民だが、もし俺がドラゴンに負けて動けなくなった場合はゼロが単独で動いてくれることになっている。


「では、俺も準備があるのでこれで失礼します」


「分かった。ではまた後で」


「はい、また後で」


 こうして俺はドラゴン討伐隊に入ることになった。

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