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異世界に転生したので楽しく過ごすようです  作者: 十六夜 九十九
第5章 武道会そして陰謀
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第70話 武道会が開始したようです

「なんと……!ここは聖地だったか……!」


「おいしそーなのいっぱい!」


「ちょっと、ミルとゼロ落ち着いてくれないか……?周りの目が痛いんだが……」


 俺達が今いるのは会場へ続く道。そこは行き交う人で賑わっていて、出店が立ち並んでいる。端的に言ってお祭り騒ぎだ。


 この世界にも飴はあるようで、リンゴとブドウを合わせたようなリンドウとか言う果物に飴をコーティングしたリンドウ飴がある。


 なんだよリンドウって。ちょっとかっこいいじゃないの。


 出店は他にも焼きそばみたいなやつとか焼きとうもろこしに似たやつとかあった。


 そのどれもが美味しそうな匂いを放ち、自然と足を運んでしまうようなものだった。こんなのを出されてしまうと誰もが興味を引かれる。特にミルとゼロは自重とか知らないから、もう大変。何が大変って超大変。


 今だって周りから、あんな子に近づいたら駄目よ!ってな感じの声が聞こえるもん。俺そんなのアニメの世界だけだと思ってたわ。


 だがまあ、出店の食べ物に引かれるのも分かる。だって美味しそうだし。


「マスター!あれ全部食べたい!ダメ?」


 そんなにきらきらした目で見つめないでくれ!そんな事されたらおじさんなんでも買ってあげちゃう!


 まあ冗談はさておき、確かに少しなら食べてもいいかもしれん。


「別に買ってもいいぞ。だが、武道会にこれから出るんだから程々にしとけよ。腹三分目……いや二分目くらいが丁度いいな」


「マスターありがとー!」


「あたしも」


「分かってるよ、ミルもな。この際だ、皆の分も買うか」


「あ、じゃあ私リンドウ飴で!どんな味するのか楽しみだなあ」


 俺が言った途端にこれか。女神お前遠慮というものを知らない様だな。こんなんだから駄女神とか言われるんだよ。まあ別にいいんだけど。


「女神はリンドウ飴な。他は?」


「私もリンドウ飴でいいわ」


「私もリンドウ飴というものでお願いします」


「わ、わたしも……」


「わたしはぜんぶがいいー!」


「あたしはコンプリートする……!」


「よし!全員リンドウ飴だな!オーケーじゃ行こうか」


 ゼロとミルが全部とか言っているがそんなのは知らん。それに全員リンドウ飴って言うのも間違いじゃないし。


 当然ゼロとミルからは反感くらった。しかし、俺はあの手この手で納得させることに成功。皆をその場に残し、リンドウ飴を買いにいった。


 俺含めリンドウ飴を全員分買って皆の元に戻ると、男複数人にナンパをされていた。


 いつしか見た光景だな……。いや、あの時は既にやられてたか。あ、絡んだ方がね。


 んー。これは俺が助けた方がいいんだろうか……?もちろん助けるのは絡んでる方だぞ?あのままいくと絡んでる方が可哀想なことになりかねんし。


 悩んでても仕方がない。助けにいくか。


「おーい。買ってきたぞー」


 俺は自然を装い、皆と男達の間に入り込む。


「あぁん?なんだてめぇ?」


 うっわー。がら悪すぎでしょ。早くも助ける気失せてきたんですけど……。だが、そこを堪える大人な俺。全く我ながら甘いぜ。


「あ、俺?俺はこいつらの連れだけど?」


 そして、俺は皆の方を指さしながらちらっと顔を見る。


 ……え?なんで皆そんなに残念そうな顔してんの?舌打ちとかするのやめようね?どっちが悪いのか分からなくなるから!


「お前みたいな弱そうなのがかぁ?嘘を付くのは大概にしとけよぉ。あんまり見栄張ってもダサいだけだぞぉ?」


「まあまあ。ここは俺に免じて他をあたってくれない?」


 馬鹿にされても優しく対応する俺を褒めて欲しい。しかし、この気遣いこいつらの為なんだけどなあ。


 するとナンパしていた男のうちの一人が怒りに満ちた顔で俺に掴みかかってきた。


「あぁ?てめぇ何様のつもりだ?お前みたいなクソの言うことを聞くと思ってんのか?ガキはお母ちゃんのおっぱいでも飲んでな。チューチューってな」


 それを聞いて爆笑するナンパしてた男達。


 俺の後ろにいる奴らから出てる殺気に気付かずに笑っているとか、なんて哀れなことか。


 俺が目の前の男達を哀れんでいると、ジュリが前に出てきた。


「え?なになに?怒っちゃった?ごめーん!こいつの間抜け面見てたらつい口が滑っちゃった」


 こいつジュリの殺気に気付かないとかどんだけあほなんだよ。こいつの人生が心配なんだが。


「……貴様等。黙って聞いていれば暴言ばかり。覚悟は出来てるな?」


 えっとジュリさん?口調が変わってません?それに何その尋常ではない程の殺気。


「な、何もそこまで怒らなくてもいいじゃん。ちょっと馬鹿にしただけだって!可愛い顔が台無しだよ?」


「お前達のようなゴミ虫が気安く話しかけるな。殺すぞ」


 怖い。超怖い。ジュリめっちゃキレてる。こんなの初めてなんだけど。殺気がどんどん膨れ上がってる……。


 さすがに男達も尋常ではない空気を読み取ったようだ。青い顔をして後退りしている。


「う、うわぁぁ!」


 男達の一人が奇声を上げながら逃げ出した。するとそれに続くように男達全員が同じように逃げていく。


 それが賢い選択だ。このまま他に何か言ってたら確実に殺されてたな。いやさすがにそこまでやろうとしたら俺が止めるけど。


「ふぅ。行ったわね」


 ケロッとした感じのジュリ。先程までの殺気はいずこへ。


「ジュ、ジュリちゃんが怖かった……」


「リン安心しろ。近くにいた俺も怖かったぞ」


「全然安心できませんよぉ!」


「ごめんなさいね?こうでもしないと本当に殺しかねない人が居たから」


 ジュリがちらっと皆の方を見た気がしたかが誰を見たかまでは分からなかった。


 まあいっか。そんなに気にすることでもないだろ。


「それにしてもさっきの口調といい殺気といいめっちゃ怖かったんだけど。ガクブルもんだぞ」


「あれは演技よ。ちょっとした交渉に必須でしょ?」


「演技とは言わんぞあれは……。真に迫っていたんだが」


「本音が8割くらいあったからだと思うわよ?」


「それって演技じゃないぞ?自分で言ってる意味わかってる?頭どこかにぶつけた?」


「別に頭がおかしくなった訳じゃないわよ。演技をしてた事で実際に行動に起こさなかったってことでもあるのだからね。ま、実際に行動に起こしたとしても半殺しくらいかしらね」


 それでも十分にやばいのだが……。


 いつになったら脳筋卒業出来るんだろうな。出来ないとかそういうのないよな?俺はいつか卒業出来るって信じてるぞ。


 俺が皆の将来を案じていると、会場の方で号砲がなった。


 これは武道会がもうすぐ開幕するという意味だ。会場に急ぐか。


「皆行くぞー」


「その前にリンドウ飴」


「ミルお前ほんと食い意地はってんな!」


 俺はそんな軽口を叩きながら会場へと向かった。



◇◆◇◆◇



 会場はほぼ満席。多くの人がこの日を待ち望んでいと言うような事を言っていた。


 これは女神に聞いたのだが、この武道会というのは四年に一回開催されるらしい。まさにオリンピック。


 しかし、オリンピックと違う所はこの武道会で帝王を決めるところだ。帝王となれるのはこの武道会の第一回に参加していた、この帝国に元々いた六種族だけなのだそうだ。


 第一回目は優勝した種族が帝王として君臨した。それから以降は、六種族以外の参加者が来るまでそうやって帝王を決めていたらしい。


 しかし、今は俺達のような六種族以外の者も参加している。その場合は一番良い成績をとった種族が帝王になる資格があるようだ。


 そして、その武道会に参加する俺達は控え室だ。女神は一人で観客席にいる。


 女神は俺達との別れる時に頑張ってね、と軽く行ってそそくさと行ってしまった。全く薄情なものである。


 さて、これから始まるのは競技ではなく、開会式。どんな世界にも始まる時には開会式があるものだ。現在、リング上に一人の男が登っている。


「お前らぁ!!この時が待ち遠しかったかぁ!!」


「「「わあぁぁああ!!」」」


 おっ、早速始まったか。


「四年に一度の白熱したバトル!!強者と強者の戦い!!手に汗握る先の読めない武道会が今始まろうといている!!」


「「「うぉぉおお!!!」」」


「今年の優勝者は誰なのか!!そして気になる帝王の座はどの種族が手にするのか!!それが今日決まる!!」


 おぉ。それっぽい。この胸に轟く観客の歓声が武道会が始まったのだと告げてる感じがする。


「さらに!!今年は特別な解説者をお呼びしました!!冒険者初の女性SSランカー!!エルシャさんだぁ!!」


「「「わあぁぁぁあ!!」」」


 エルシャさん?エルシャさんてあのエルシャさん?


「エルシャさん一言お願いします!」


「どうも。私がエルシャだ。今年の武道会は大荒れになる予感がしている。どんな強者が現れるのかが今からとても楽しみだ。期待している。以上だ」


 この声はあのエルシャさんで間違いない。まさかこんな所で巡り会うとは。


「エルシャさん、ありがとうございました!!」


 エルシャさんに後で挨拶に行ってみよう。


「早速競技を始めたいが、その前に注意事項だ。初めに競技者は配られた一から八の番号が書かれた札が配られたはずた!その番号札は予選の組番号になっているぞ!各組の中で残れるのは二人までだ!」


 俺の番号札は七。つまり七組目だ。


「参加者約320人の中から勝ち残れるのは十六人!この狭き門をくぐり抜けたものが本戦への切符を手にすることが出来る!」


 まあ妥当か?しかし、勝ち残りのシステムはどうなってるんだ?


「予選は一組約四十人で戦ってもらうことになる!その中で最後に立っていた二人が本戦に上がれるぞ!死んでも勝手に蘇生される術式が闘技場にかかっているからどんな手を使っても構わないぞ!」


 それはなんとも。言わる殺しを許容しているということだからな。


「一応戦う場所を説明しておこう。戦うのは縦50m、横50m、高さ1mのリングの上だ!場外に出てしまった場合は失格とするので注意するように!」


 ドラ〇ンボールの天下一〇道会と大体同じか。わかりやすくていい。


「注意事項は以上だぁ!質問は近くの係にしてくれ!!ではこれより武道会を開催する!!!」


「「「うおぉぉおお!!」」」


 こうして武道会の幕があがった。

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